かかとの痛みの原因と治療法や対処法!病気の疑いは?
肩が痛い、首が痛い、足が痛い、腕が痛い、お腹痛い、胸が痛い・・。
体に発生する痛みというのは数多くありますが、「かかと」の痛みというのは、あまり経験したことがある方は少ないのではないでしょうか。
そのため、かかとの痛みに対する情報が不足しがちで、「何か悪い病気ではないのだろうか?」「知らない間に怪我をしたのか?」と不安になってしまう場合もあると思います。
しかし、かかとの痛みの原因がわかれば対処や治療も行えますし、かかとの痛みが症状として現れる病気を知ることでその病気を放置して悪化させることも防ぐことができますよね。
そこで今回は、かかとの痛みの原因や対処法についてご紹介したいと思います。
かかとが痛い原因は?
1.靴の選び方によるもの
自分の足に合わない靴を履いていると、靴の中で足が滑ったり強い締め付けなどで、かかとに負担を掛けることがあります。
また、ヒールの高い靴を長時間履き続けたり、クッション性の乏しい靴底の薄い靴などもかかとに疲労が溜まりやすくなり、かかとが痛む原因となります。
2.歩き方によるもの
正しい歩き方というのは、かかとから地面につき、指先で地面を蹴るようにして歩くのですが、最近は足の指をぎゅっと縮めたまま歩いていたり足の指が地面に接地しない状態で歩いて行く「指上げ歩き」をしている方が増えています。
足の指が地面につかないと重心がかかとに掛かり過ぎてしまい、疲労しやすくなってしまいます。
3.太り過ぎによるもの
肥満とかかとの痛みには密接な関係があります。
体重が重くなればその分、立ったり歩いた時に体への負担が大きくなりますが、中でも体を支える足裏やかかと、足には想像以上の負担が掛かります。
4.運動不足によるもの
慢性的な運動不足によって筋力が低下すると、当然ながらかかとの負担をやわらげるはずの筋肉や骨の形成にも害が及び、少しの運動などで疲労が溜まりやすくなってしまいます。
5.外部的な原因によるもの
ふと周りを見渡すと、一昔前に比べて舗装のされていない土や砂の道は随分と少なくなってきたと感じませんか?
アスファルトやコンクリートでできた道は歩きやすいというメリットはあるものの、実は足裏やかかとにとっては大きな負担になってしまいます。
6.病気によるもの
かかとの痛みが症状として現れる病気によって、その痛みが引き起こされている場合があります。
寝起きにかかとが痛い時の原因と対処法は?
寝る前までは何ともなかったのに、寝て起きてベッドや布団から一歩歩き始めたら、急にかかとに激痛を感じた場合は「足底筋膜炎」の疑いがあります。
足底筋膜炎とは、足裏に膜状にある組織のことで、この膜が何らかの形で炎症を起こし、歩くことで断裂をして強い痛みを発生させます。
足底筋膜炎は寝ている間に膜が修復され、起きて歩き始めるとまた断裂をするのを繰り返しますが、繰り返すことで徐々に痛みを感じなくなり、通常は自然に痛みがなくなります。
ただし、1ヶ月近く経過しても痛みが取れない場合は、病院で鎮痛剤を処方してもらったり、痛みの度合いが強い時は手術するケースもあります。
立ち仕事でかかとが痛い時の原因と対処法は?
美容師さんや営業マンなど、一日中立っていることが多い方も、「足底筋膜炎」によるかかとの痛みが多いと言われています。
足裏やかかとは、体重を支える場所のためどうしても負担が掛かりやすくなってしまいます。
とは言え、同じ美容師さんや営業マンであっても足底筋膜炎にならない方もいらっしゃいますが、その理由の一つに偏平足があります。
偏平足とは足裏に土踏まずの部分がないことを言い、足裏がアーチを描かないため立ったり歩いている時の衝撃が、直接足底筋膜に掛かって炎症を起こしてしまいます。
また美容師さんの場合は前のめりの姿勢が多いことも、特定部分の筋肉ばかりが疲労するため痛みが出やすい原因と言われています。
このような方の対処法としては、寝る前に下半身のマッサージを行うことをお勧めします。
足裏やかかと部分のコリを解し、血流を促すことで老廃物の滞留を防ぎ、痛みが出るのを予防してくれます。
ランニングでかかとが痛み出した時の原因と対処法は?
健康のためにランニングを始めたものの、かかとの痛みが出てきてしまい続けるかどうか迷っている・・。
このような悩みはランニング初心者には以外と多いと言われています。
かかとの痛みは「ランニング障害」の一つですが、これも足底筋膜炎が原因と言われており、通常であれば自然治癒しますが、だからと言って痛みを我慢して走るのは厳禁です。
足底筋膜炎は慢性化すると自然治癒が難しくなるため、痛みがある時は走らないことが原則です。
そして、痛みが徐々にやわらいできたら、クッション性の高いシューズや中敷きを用いて、少しずつランニングを再開させて下さい。
かかとが痛い時に疑うべき病気とその症状は?
かかとの痛みが一時的なもので、数日程度で治まるのであれば、靴の選び方や歩き方による負担が原因と考えてよいでしょう。
しかし、痛みが1ヶ月以上引かない場合は、病気の可能性も考えられます。
病気の場合は、自然治癒が難しいケースもあるため病院で診察・治療を受けることが必要となります。
では、かかとの痛みが発生する病気には一体どのようなものがあるのでしょうか。
足底筋膜炎
足底筋膜炎は、足底筋膜に沿ったどの部分にも症状が現れますが、特に多いと言われているのが「かかと」と言われています。
寝ている時は座っている時など、足裏に負担の掛かっていない時は痛みませんが、立ち上がった時や歩き始めの一歩目に鋭い痛みを感じます。
また、痛みは常に起こるわけでなく歩いてしばらくすると痛くなくなったりしますが、波のように一日のうちで何度か繰り返すのも特徴です。
通常は痛むまでの間隔が少しずつ長くなり、やがて痛みを感じなくなりますが、1ヶ月以上痛みが消えない場合は慢性化してしまう恐れもあります。
踵骨下滑液包炎
かかとには踵骨があり、その下にはクッションの役割を果たす「しょう液性粘液嚢」というものが存在します。
しかし、かかとに負担を強いる歩き方や靴の履き方を繰り返すことで、このしょう液性粘液嚢が炎症を起こし、痛みを発生させることがあります。
これを踵骨下滑液包炎と言います。
アキレス腱皮下滑液包炎
アキレス腱皮下滑液包炎は、かかとの後部にある滑液包が炎症を起こすことで発生する病気です。
特に女性に多いと言われ、ハイヒールなどかかとの後部を覆う部分が内向きになっている靴を履いていることによって圧迫されるのが主な原因とされています。
アキレス腱皮下滑液包炎の症状として、かかとの後部の熱感や腫れ、圧迫痛がありますが、慢性化すると滑液包が硬くなった状態で赤いしこりとなって現れます。
踵骨棘(しょうこつきょく)
踵骨棘とは、踵骨が増殖し棘状になったものを言います。
足底筋膜がかかとの方向に引っ張られると、骨の石灰質が異常増殖して棘を作り、その棘が周辺組織を刺激して痛みを引き起こします。
坐骨神経痛
痛みがかかとだけではなく、腰からかかとに掛けて起こる場合や、痛みと共にしびれがある時は座骨神経痛の可能性が考えられます。
坐骨神経痛は、立ったり歩いたりする動作よりも座る時に痛みが発生することが多いため、足底筋膜炎と区別することができます。
疲労骨折
疲労骨折とは、一度の衝撃で骨折に至ったわけではなく、軽度から中度の衝撃を繰り返し同一部分に受けることで起こる骨折を言います。
しかし、腫れや内出血などを伴わないケースも多いことから、見た目では判断ができないこともあります。
症状としてはかかとの後部・アキレス腱付近に痛みを感じることが多く、かかとを地面から浮かせると痛みが軽減するのが特徴です。
痛風
かかとの痛みとして挙げられる主な原因に、特に当てはまるものがなく、かつ痛みが発作的に現れる場合は痛風の可能性があります。
痛風とは、尿酸が体内に蓄積し、やがてそれが結晶体となって関節痛を引き起こす病気です。
痛風の多くは足の指の付け根部分に痛みが出ると言われていますが、足首やかかと部分にも痛みが出ることがあります。
足底筋膜炎の対処法や治療法
足底筋膜炎の対処法としては、足裏の疲労をとることが最も大切です。
足裏の疲労をとるにはマッサージやストレッチが有効ですが、痛みが強い場合に行うと筋肉に余計な負担を掛けてしまう恐れもあるため、状態を見極めることが必要です。
また、温めることで血行を促進し疲労を回復させることができるため、お風呂にゆっくり浸かることも足底筋膜炎を改善する方法となります。
踵骨下滑液包炎の対処法や治療法
踵骨下滑液包炎は、炎症を起こしている部分に靴の中底が当たらないようにすると痛みが軽減することがあります。
そのためにはまず病院へ行き、踵骨下滑液包炎が起こっている場所を確認する必要があります。
場所を特定した上で、インソール(中敷き)に穴をあけ、靴を履いた際に炎症部分にインソールが当たらないようにするとやがて痛みが治まります。
アキレス腱皮下滑液包炎の対処法や治療法
アキレス腱皮下滑液包炎の場合、ヒールパッドを入れかかとの炎症部分に靴が当たらないように対処をします。
その経過を見た上で、痛みが改善しない場合は非ステロイドの抗炎症薬を用いたり、炎症を起こしている滑液包に直接注射をして炎症を抑える治療が行われますが、それでもよくならない時はかかとの骨を削る手術を行うケースもあります。
踵骨棘(しょうこつきょく)の対処法や治療法
踵骨棘の治療は、欧米では手術によって骨を削る治療がされていますが、日本においては自然治癒することもあることから手術が第一選択となっていません。
ただし自然治癒すると言っても棘状の骨がなくなるのではなく、炎症がなくなることで痛みが取れるものとなっています。
対処法としては、足に合った靴に替えることや、足を温めると炎症を抑えることができると言われています。
また、扁平足の方は足裏にアーチを持たせる中敷きを入れることで、痛みが軽減し踵骨棘を予防することができるとされています。
坐骨神経痛の対処法や治療法
座骨神経痛は、症状が現れる原因によって対処が異なるため、まずは整形外科を受診し原因を詳しく調べてもらうことが最優先です。
座骨神経痛と診断されたら、薬物による痛みの軽減やコルセットの装着で体に掛かる負担を取り除くことで、症状を改善させます。
また、自宅でできる座骨神経痛の対処法の一つに、ストレッチがあります。ストレッチによって筋肉のコリを解すことで関節の可動域を広げ、症状を和らげることができます。
ただし、病院から安静にするように言われている場合や、痛みがある時は行わないようにしましょう。
疲労骨折の対処法や治療法
骨折した場所に応じて固定をし、4~12週間ほど日常生活でも骨折部分に負担を掛けないよう配慮する必要があります。
安静後、痛みがなくなっていれば徐々にリハビリを開始しますが、運動はまだ行ってはいけません。
疲労骨折は、同じ場所に負担が掛かりやすいため何度も骨折してしまう恐れがあることから、運動の再開は慎重に行う必要があります。
また、骨のズレや曲がりなどが著しい場合は、手術をする場合もあります。
痛風の対処法や治療法
痛風発作が起こった場合は、保冷剤などで患部を冷やして下さい。
また、マッサージをしたり患部を無理に動かすようなことは止めましょう。症状が治まるどころか返って悪化してしまいます。
さらに痛みが強いからといって市販の鎮痛剤を飲むのも止めましょう。
鎮痛剤の中には尿酸値に影響し痛みを強くしてしまうものもあります。
なお、痛風発作自体を起こさないために、食生活やアルコールの摂取に気を付けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
かかとの痛みと一口に言っても、その原因や症状は数多くあります。
痛みが強い場合や長引く時は自己判断せず、早めに病院で診てもらうことで症状を悪化させずに済みます。
また、日頃からかかとに負担を掛けない靴を選び、その日の疲れはその日のうちに解消しておくことも大切です。
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