死亡リスクのある睡眠時無呼吸症候群の対策と治療法!
人生の3分の1を費やすと言われている睡眠時間。
以前までは、寝る間も惜しんで働くというのが日本人の常識のようにも言われていましたが、近年は睡眠の重要性に関心が高まっており、よい睡眠をとることを心掛けている方も増えています。
そのような中で注目を集めているのが、睡眠時無呼吸症候群という病気です。
名前は聞いたことがあるけれど、どのような病気なのかはよくわからないという方が多いと思いますが、この病気の怖いところは、病気を患っている本人にその自覚がない場合が殆どという点です。
そのため、治療を開始するのが遅れてしまい、症状が進行してしまったり、他の病気を引き起こしてしまうなどのリスクが高いと言われています。
そこで今回は、睡眠時無呼吸症候群について調べてみました。
睡眠時無呼吸症候群の原因やセルフチェックの方法、対策や予防の仕方から治療の費用に至るまで、睡眠時無呼吸症候群についてくまなくご紹介したいと思います。
睡眠時無呼吸症候群とは?
英語ではSleep Apnea Syndromeということから、頭文字をとってSAS(サス)と呼ばれることもあります。
呼吸をしていない状態=無呼吸となるのは、医学的には10秒以上の呼吸停止が認められる場合と定義しており、睡眠時無呼吸症候群では、この無呼吸が一時間に5回以上、もしくは7時間に30回以上ある場合に診断されます。
しかし、病名でもわかる通り無呼吸状態となるのが睡眠時のため、一人暮らしの方など身近に異変を察知してくれる人がいない場合には、本人は病気に気付きにくいという特徴があります。
病気の発見が遅れると、様々な合併症を引き起こすことがわかっているため、睡眠時無呼吸症候群はできるだけ早い段階で治療を開始することがとても大切です。
睡眠時無呼吸症候群こんな症状の時には要注意(寝ている時・起きた時・起きている時)
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時に無呼吸状態となるため、本人が病気に気付きにくいと言う大きな特徴がありますが、一方で睡眠時に無呼吸状態が起こることで、起床時や日常生活に様々な形で影響を及ぼします。
では、睡眠時無呼吸症候群に気付くためには、どのようなことに注意してみるのがよいのでしょうか。
また、家族の方が就寝時の様子を見ることができる場合なら、睡眠時無呼吸症候群の可能性を探ることができるので、次のような症状が現れている時がないか、確認してみましょう。
寝ている時
・いびきをかいている
・いびきが止まった後、深い呼吸と共に再びいびきを繰り返している
・朝起きるまでに、何度も目が覚める
・呼吸が苦しいと感じることがある
・寝ていて、突然むせることがある
起きた時
・朝まで寝ていたはずなのに、熟睡した感じがない
・喉が乾いている
・頭が痛い
・体が重い
・すっきりと起きることができない
起きている時
・体がだるく、作業が捗らない
・非常に強い眠気がある
・疲れがとれない
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック
睡眠時無呼吸症候群は、自分自身で症状に気付くことがなかなか難しい面があるため、セルフチェックにてどれくらいあてはまるか確認することが大切です。
そこでここでは、睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック方法をご紹介します。
次の質問に「はい・いいえ」で答えてみましょう。
1.毎日いびきをかいている。または家族からいびきを指摘されたことがある
2.朝起きると頭が痛い、重いと感じることがある
3.ここ5年の間に、体重がかなり増えた
4.寝ている時に、呼吸が止まっていたことを指摘されたことがある
5.昼間、強烈な眠気に襲われることがある
6.車の運転中、居眠りしそうになったことがある
7.体の疲れがとれない、いつも調子が悪いように感じる
いかがでしたか?
「はい」の数が多いほど、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
また、「はい」の数が少ない場合でも、日中の眠気や居眠り運転などは事故に繋がる恐れもあることから、早めに病院へ行って診てもらうことが必要です。
睡眠時無呼吸症候群になる人の特徴や性別や年齢
睡眠時無呼吸症候群は、中年以降の肥満の男性がなりやすいというイメージを持っている方も少なくないようですが、実は痩せている女性であっても発症すると言われています。
その要因の一つとして、睡眠時無呼吸症候群になりやすい方の身体的な特徴があるからです。
睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の身体的な特徴には、以下のものがあります。
・首が短い
・首が太い
・顎が小さい、細い
・舌が大きい
・扁桃腺が肥大している
日本人の7割は、元々骨格的にあごが小さく、そのため気道が狭く塞がりやすいという特徴があります。
つまり、自分はあごが小さいという自覚がない方でも、実はあごが小さい可能性があるというのが現状です。
また、睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣にも深く関わりがある病気と言われており、次のような方は睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われています。
・喫煙の習慣がある
・毎日お酒を飲んでいる
・脂っこいものや甘いものが好きで、太り気味である
・高血圧や糖尿の指摘を受けたことがある
なお、男女別の罹患率を見ると男性の方が睡眠時無呼吸症候群になる確率が高いと言われています。
これは、女性よりも男性の方が上半身に脂肪がつきやすい傾向があるためで、喉や首に脂肪が多いことが挙げられます。
さらに、年齢別に見てみると、30~60代に発症が多いとされていますが、これは加齢によって喉の筋肉が衰えて、気道を塞ぎやすくしてしまうことが原因として考えられています。
なぜ睡眠中に呼吸が止まるのか?
寝ている時に呼吸が止まってしまうのは、空気の通り道である気道が狭くなることが主な原因と言われています。
喉や首周りの脂肪が増えると、気道が狭窄して空気を取り込む量が極端に減ってしまいます。
また、加齢によって喉や首周りの筋肉が衰えると、舌が喉の奥の方へ落ちやすくなってしまい、空気の出入り口を塞ぐことでいびきが生じ、さらに空気が取り込めなくなると無呼吸となってしまいます。
なお、睡眠時無呼吸症候群を発症している方の約9割が、この気道の閉塞が原因と言われていますが、残りの数%の方は、脳から「呼吸をしなさい」という指令が出なくなってしまう、中枢性の睡眠時無呼吸症候群が見られます。
睡眠時無呼吸症候群の病気のリスクは?死亡する危険性はないの?
「寝ている時に、自分が気付かないうちに呼吸が止まっているなんて・・。それってそのまま窒息して死んでしまうことはないの?」
睡眠時無呼吸症候群に対して、このような恐怖心を持っている方というのは少なくありません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群そのもので死亡するということはないそうです。
これは、睡眠時無呼吸症候群を発症している患者の9割が、気道の閉塞が原因によるもののため、無呼吸状態が長く続くと息苦しさを感じて、自発的に呼吸を始めたり、起きて呼吸を行うからと考えられています。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の患者は、そうではない人と比べて高血圧や糖尿病といった生活習慣病になりやすいと言われており、心筋梗塞や脳血管障害を発症するリスクが高くなることから、睡眠時無呼吸症候群を放置しておくことは、それだけ自分の命を脅かすことになると言えるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の対策法や睡眠の質を高める方法!
睡眠時無呼吸症候群は、完治が難しいと言われている病気の一つですが、だからといってそのまま放置することは、より重大な病気を引き起こすリスクを高めることになってしまいます。
では、睡眠時無呼吸症候群を発症した場合、無呼吸状態をできるだけ起こさないためには、どのような対策を行うのがよいのでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群は、舌の筋肉が弛緩し喉の奥へ落ちてしまったり、喉周りの脂肪によって気道が圧迫されることが原因と言われていることから、仰向けよりも横向きになって寝るのがよいと言われています。
また、この場合、寝ている時に寝返りをして仰向けになるのを防ぐために、枕の左右どちらかの下を折りたたんだタオルを入れておき、傾斜を付けておくのも有効な方法と言えるでしょう。
さらに、自分に合った枕の高さで寝る、抱き枕を利用して寝やすい体勢を作るといった工夫も、睡眠の質を高め、睡眠時無呼吸症候群を起こさないよい対策法になります。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
病院で睡眠時無呼吸症候群と診断を受けた場合、どのような治療があるのでしょうか。
1.マウスピース
比較的軽度の睡眠時無呼吸症候群の患者に行われる治療法で、口腔内に取り付けるマウスピースによって下顎を上顎より前に出すことで、気道を広く保つことができます。
2.CPAP
睡眠時無呼吸症候群の治療として世界的に普及しているのが、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)です。
これは、専用のCPAP装置を睡眠時に装着することで、自動的に空気が送りこまれて気道の狭窄を防ぐのが目的で、睡眠時無呼吸症候群を根治するものではなく、睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害などを改善する対処療法となります。
3.外科手術
のどちんこや扁桃腺が大きく、それが原因で気道の入口を塞いでいる時などは、手術によって形成術や摘出術を行うことがあります。
睡眠時無呼吸症候群がひどい時には病院は何科に行けばいいの?
自分、もしくは家族に睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、病院へ行って早めに診てもらうことがとても大切です。
では、睡眠時無呼吸症候群を診てもらいたい時は、何科に行けばよいのでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠障害に分類される病気です。
そのため、近くに睡眠障害を扱うクリニックや、睡眠外来を併設している総合病院があれば、そこへ行くのがもっともよいと言えるでしょう。
しかし、このような専門的な科が近くにない場合は、呼吸器内科か耳鼻咽頭科に行くようにして下さい。
なお、その場合は、病院のホームページなどを見て、受診項目の欄に睡眠時無呼吸症候群が記載されていることを確認しておくのがよいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の検査や治療にかかる費用について
病院に行くとなったら、心配なのは検査や治療にかかる費用ですよね。
費用については病院によって差があるため、必ずしも「いくらかかります」と断言できない部分もあるのですが、ここではおおよその費用についてご紹介したいと思いますので、これから睡眠時無呼吸症候群の検査や治療を行う方は参考程度に見て頂けたらと思います。
なお、睡眠時無呼吸症候群の検査、治療については健康保険が適用されます。
<睡眠時無呼吸症候群の検査費用>
簡易検査及びPSG検査 14,000円程度
ただし、PSG検査では一日入院が必要になることから、入院費や差額のベッド代が別途必要となる場合もあります。
<睡眠時無呼吸症候群の治療費用>
CPAP治療の場合 月に4~5,000円程度
マウスピース制作 15,000~30,000円程度
外科手術 手術の内容によって異なるが、100,000~150,000円程度
睡眠時無呼吸症候群の予防法
睡眠時無呼吸症候群は、肥満の方だけがなる病気ではなく、痩せている方でも発症するものです。
とは言え、体重が重い方というのはそれだけ喉周りにも脂肪が多いことから、当然睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクを高めてしまいます。
そのため、自分が肥満であることを認識している方や、最近少し太ってきたと感じている方は、適度な運動や正しい食生活を心掛け、体重を適正な状態に保っておくことがとても大切です。
また、普段いびきをかかない人でも、アルコールを摂取した時はいびきをかきやすくなってしまいます。
これは、アルコールによって筋肉が弛みやすくなり、舌が喉の奥へと落ちてしまうからです。
つまり、アルコールはいびきを誘発し、いびきは睡眠時無呼吸症候群の引き金となるもののため、毎日寝る前にお酒を飲む習慣のある方は、これを改めることも予防の一つとなります。
睡眠時無呼吸症候群の症状や対策と治療法!死亡リスクはないのか?のまとめ
睡眠時無呼吸症候群の罹患者は増加傾向にあり、潜在患者数も含めると300万人に登るとも言われています。
睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣の改善などで症状の進行を防ぐことが可能ですし、何より、十分寝たはずなのにすっきりとした目覚めが得られないことは、大きなストレスになることから、上記のような症状がある場合は躊躇わずに病院へ行くようにしましょう。
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