頭痛・口臭や鼻が臭い蓄膿症の治し方とツボ!
通常、私達の鼻は粘膜によって、ウイルスや温度差などから体を守ってくれています。
埃っぽい場所や、温度差の激しいところに行くと鼻水が出ることがありますが、これは空気中に漂うウイルスや細菌の侵入を防ぐためや、温度差によって冷たい(もしくは熱い)空気が肺に流れこまないように、鼻水によって調整しているからと考えられています。
そのため、鼻水が出ることはごく正常な体の防衛反応と言え、それ自体は病気や疾患であるとは言えません。
しかし、常に鼻が詰まるほどの鼻水が出たり、頭痛や口臭などを伴う時は蓄膿症を疑う必要があります。
では、なぜ蓄膿症になってしまうのでしょうか。
そこで今回は、蓄膿症の原因やその症状、治し方について調べてみました。
蓄膿症の原因と種類は?
蓄膿症は、風邪や花粉症といったウイルスの感染症やアレルギーなどによって、鼻の入口にある鼻腔が炎症を起こし、その炎症によって鼻の奥の副鼻腔に膿が溜まる疾患です。
風邪を引いた後、熱や咳などの症状は治まったにも関わらず、ドロッとした鼻水だけがしばらく続いた・・ということはありませんか?
この場合、急性副鼻腔炎を起こしていたと考えられます。
急性という名の通り、炎症が治まるとやがて症状は消失しますが、この状態が3ヶ月以上続く場合は慢性副鼻腔炎と診断され、これがいわゆる「蓄膿症」と呼ばれるものになります。
また、蓄膿症は副鼻腔炎以外にも、事故などの影響で鼻の骨が曲がってしまうと、鼻腔が狭くなってしまい鼻水が詰まりやすくなって蓄膿症を発症しやすくなると言われていますし、鼻の形や粘膜の質など親から受け継いだ体質が、元々蓄膿症になりやすいという方もいらっしゃいます。
蓄膿症の特徴的な7つの症状
蓄膿症になると、次のような特徴的な症状が現れると言われています。
1.鼻が詰まって息苦しくなる
単なる鼻詰りとは異なり、炎症が慢性的に続くことで鼻の粘膜の一部が肥大化し、「鼻茸」と呼ばれる腫瘤ができ、これが鼻腔を塞いでしまいます。
これにより副鼻腔と鼻腔を繋ぐ穴が閉じてしまうと、鼻水をかんでもかみきれず、ひどい鼻詰りを起こしてしまいます。
2.黄色や緑色の鼻水が出る
風邪やアレルギーによる鼻水の場合は、透明のサラッとした鼻水が出ますが、副鼻腔で炎症が進んで膿になると、ドロッとした黄色、もしくは緑色の鼻水が出るようになります。
3.咳込んで夜眠れなくなる
溜まった鼻水が喉に落ちてしまうことで、喉の粘膜に着いてひどく咳込んでしまうことがあります。
これを「後鼻漏(こうびろう)」というのですが、特に夜、仰向けで寝ると鼻水が喉に落ちやすくなり、急に急き込んで眠れなくなるということが起こります。
4.頭痛や頭重が起こる
常に鼻が詰まっている状態になることから、ボーッとして集中できなくなったり、頭がモヤモヤするなどの症状を感じます。
また、頭痛や疲労感といった症状が現れる方も多くいらっしゃいます。
5.口臭や鼻の臭いが気になる
蓄膿症になると、慢性的に鼻詰りが起こっているため、口呼吸をすることになりますが、そうなると口の中が乾きやすくなり口臭が発生しやすくなります。
また、鼻水自体が臭うことから、それが喉に落ちた時なども口から臭うこともあります。
6.目の下や鼻の周り、歯に痛みがある
副鼻腔は眉の上から目の下あたりまでに、蝶を縦にしたような形で存在するため、炎症の起こった場所によって目の下や鼻回りなど、顔に痛みを生じることがあります。
また、人によって歯痛が起こるケースもあります。
7.食べ物のにおいや味がしない
ひどい鼻詰りのため、食事をしても食べ物のにおいや味がしない場合があります。
蓄膿症は治るのか?
一昔前までは、蓄膿症は根治が難しいと言われる疾患でしたが、最近では蓄膿症に有効な薬が見つかったこともあり、完治できるようになったと言われています。
また、昔に比べて重度にまで進行してしまう人は減っていることから、蓄膿症は治らない病というイメージはかなり払拭されつつあります。
とは言え、風邪などの感染症が引き金となって、鼻腔に炎症が起こる急性副鼻腔炎が原因の蓄膿症とは異なり、遺伝などによって鼻の構造上蓄膿症になりやすい方の場合は、薬を使ってもなかなか完治することは難しいと言えます。
しかし、その場合も、手術によって鼻腔を広げるなどの手術をすることで、蓄膿症になりにくくすることができます。
自宅でできる蓄膿症の治し方や対策法
蓄膿症は、風邪やインフルエンザなどの感染症の他にも、花粉やハウスダスト、カビ、ほこりといったものが鼻の粘膜に吸着して炎症を起こすことで発症してしまいます。
そのため、自宅の掃除をこまめに行い、清潔な空間を心掛けることは、蓄膿症の悪化を防ぐだけではなく、改善のためにもよい方法と言えるでしょう。
また、花粉飛散時期には空気清浄機を使用したり、外出から戻った時の上着を室内に持ち込まないなどの対策も効果があります。
蓄膿症は「鼻うがい」でも解消できるの?そのやり方は?
1.ぬるま湯と塩、容器、スプーン、洗面器を用意します。
2.0.9%の塩水を作ります。これは私達の体液と同じ浸透圧になります。鼻うがいに真水を使うと、浸透圧の違いからツーンとした痛みを発生させてしまうため、必ずこの浸透圧を守るようにして下さい。
3.塩水を容器に入れたら、容器の口を片方の鼻に優しく差しこみます。
4.洗面器を鼻の下に置き、そのまま顔を傾けて塩水を鼻の穴に通します。右の鼻の穴から入れた塩水が左の鼻の穴から出るようにして下さい。
5.鼻うがいをしている時は、口を開け、口で呼吸するようにして下さい。
6.反対側も同様に行います。
7.最後に、頭を少し下に傾けながら鼻をかみ、鼻腔に残った水分を出します。
鼻うがいは、鼻洗浄とも呼ばれるもので、鼻から生理食塩水を注入して、ウイルスやほこり、溜まった膿などを排出する方法です。
正しいやり方を行うことで、蓄膿症の症状を改善する効果があると言われており、花粉症などで鼻水がひどくなる方が増える時期になると、薬局などでも鼻うがい用のポットが販売されています。
また、生理食塩水も薬局にて購入することができます。
蓄膿症に効果的な「ツボ」は?頭痛にも効果があるの?
風池(ふうち)
後頭部の、髪の生え際から3㎝ほど上にあるでっぱりの骨を探し、さらにそこからやや下の脇にあるのが風池です。
鼻水や鼻詰りを解消するだけではなく、それに伴う頭痛にも効くツボです。
上星(じょうせい)
顔の中央の前髪の生え際から、親指一本分ほど上にあるツボです。
このツボを、10秒ほど少し強めに押しては離すのを繰り返していると、次第に鼻の通りがよくなってくるのを感じられます。
蓄膿症に効果的な市販薬は?
蓄膿症は、症状が初期の段階で病院へ行き、適切な治療を受けることが早く治す一番の近道と言えます。
しかし、仕事などの都合ですぐに病院へ行くことができないという場合には、症状を緩和させるために市販薬を使用するという方法もあります。
そこでここでは、蓄膿症に効果的な市販薬をご紹介します。
チクナイン
9種類の生薬が配合された「辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)」(漢方薬)の働きにより、膿や炎症を抑えて呼吸を楽にしてくれます。
錠剤と顆粒の2種類から、お好みで選ぶことができます。
参考URL: https://www.kobayashi.co.jp/brand/chikunain/about_tkn.html
ベルエムピL錠
古くから蓄膿症に効く漢方薬として使われていた「荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)」が配合された錠剤です。
眠くなる成分が含まれていないため、仕事中などに服用しても支障がありません。
参考URL: https://www.kracie.co.jp/products/ph/1202019_2220.html
モリ チクノーン
モリ チクノーンは、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)という漢方薬のエキスを飲みやすい顆粒剤にしたものです。
副鼻腔炎(ちくのう症)、慢性鼻炎というかかって長い病気の治療に効果があります。
蓄膿症に効く漢方は?子供にも大丈夫?
蓄膿症は大人がなるイメージを持っている方も多いようですが、年齢や性別は関係なく小さなお子さんでも発症する恐れのある疾患です。
特に子どもの場合は、上手に鼻をかむことができないため、急性副鼻腔炎を発症しやすく、そこから慢性化しやすいと言われています。
病院で鼻水を吸引する治療や、菌を死滅させる抗生物質を服用することで症状を改善することが可能ですが、体質的に鼻水が出やすい子は、症状を繰り返してしまいがち。
そのような時、根本から治すという意味で漢方薬の服用を考える親御さんも多いと思いますが、漢方薬は種類が多いため、どれを選んだらよいか悩んでしまいますよね。
まず始めに、お子さんに漢方薬を飲ませる時は、年齢や症状を必ず医師や薬剤師に相談して下さい。
漢方薬は体に無害と思っている方もいらっしゃいますが、薬である以上、副作用の懸念もあるからです。
その上で、症状などから漢方薬が処方される場合に、お子さんでも服用できるのが「葛根湯加川きゅう辛夷」です。
蓄膿症に伴うつらい鼻の症状に効くと言われています。
蓄膿症がどうしても治らない場合、病院は何科に行けばいいの?
鼻水がなかなか止まらない、頭痛や倦怠感を伴うなど、蓄膿症が疑われる症状が現れた時は、早めに病院へ行きましょう。
その場合、受診する科は「耳鼻咽頭科」になります。
近くに耳鼻咽頭科やない場合、内科や小児科などでも診断してもらうことは可能ですが、しっかりと治すためにはやはり専門科である耳鼻咽頭科に行くのがよいでしょう。
蓄膿症がひどい場合、手術をすれば治るの?費用や手術のやり方は?
蓄膿症で病院へ行ったからといって、すぐ手術というわけではありません。
多くの場合、まずは抗生剤による治療や、膿を出す治療をすることで経過を観察します。
ただし、鼻腔を塞ぐ鼻茸ができている場合や、薬による治療を行っても思うような回復が見込めない場合は、手術を行うことがあります。
なお、一昔前までは蓄膿症の手術は痛みが伴うものと言われていましたが、現在は内視鏡を用いた手術が普及しており、患者の負担は大幅に減っています。
蓄膿症の程度によっては日帰り手術が可能の場合もありますが、一般的には5~10日ほどの入院が必要となり、一週間ほどの入院で費用は30万円程度となるようです。
また、手術後も鼻の状態を診てもらう必要があることから、暫く通院することになるため、自宅や職場から通いやすい病院を探すことも、覚えておきたいポイントと言えます。
蓄膿症と風邪や花粉症との違いは?
蓄膿症と風邪、花粉症は、主症状である鼻水にまず、大きな違いがあります。
蓄膿症の場合、黄色や緑色の粘着質な鼻水が出ますが、風邪や花粉症は透明でサラサラとした鼻水が出ます。
ただし、風邪の症状が進むと体内に侵入した菌と白血球が戦い、黄色や緑色の鼻水が出ることもありますが、風邪の症状が治まると共に、色のついた鼻水は再び透明に戻るのが一般的です。
また、蓄膿症では、発熱や咳といった風邪症状や、くしゃみ、目のかゆみといった花粉症の症状があまり見られません。
鼻水が喉に落ちた時に咳込むことはありますが、風邪の時の咳とは異なります。
蓄膿症の予防法
蓄膿症は自然治癒しない疾患と言われていますが、毎日の生活を見直すことで蓄膿症の発症を防ぐことは可能と言えます。
蓄膿症は、多くの場合風邪やインフルエンザなどの感染症が発端となり、副鼻腔の炎症を起こすことから、このような病気にかかりにくい体を作る、というのがとても大切です。
そのためには、栄養バランスのよい食事を心掛け、しっかりとした睡眠をとることが必要です。
外食やコンビニでの食事が多く、夜遅くまで起きていると、体が疲労しやすくなり免疫力が落ちて、風邪などの感染症に罹りやすくなってしまいます。
また、鼻水が出た時はすすったりせず、必ず鼻をかむ癖をつけることや、虫歯やアレルギーといった疾患を早めに治療することも大切です。
まとめ
蓄膿症は、単に鼻水が鼻の奥に詰まりやすくなる疾患ではありません。
炎症が起こる場所が脳や目に近いことから、症状が重症化すると深刻な合併症を引き起こす恐れがあります。
そのため「たかが蓄膿症」と思わずに、症状がある場合は早めに病院へ行き、適切な治療を受けることが大切です。
また、お子さんがよく口を開けていることが多い場合や、集中力や続かない、常に疲れているといった様子を見せた時も、蓄膿症の可能性が考えられます。
このような時は一度、耳鼻咽頭科を受診し、副鼻腔に膿が溜まっていないか確認してもらうのがよいでしょう。
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