ヘルパンギーナの感染経路と潜伏期間や症状と治療法!
以前までは、夏に熱や咳、鼻水などの症状があって病院へ行くと「夏風邪ですね」と言われることが多かったように思います。
夏風邪と言われると、「夏に風邪を引いたから?」と思うかも知れませんが、実際には夏に流行する風邪は、冬のものとは大きく異なり、症状にも違いがあることから、冬の風邪と同じように対処しても、なかなか回復することがなく返ってこじらせてしまうケースも多いのです。
そのため最近は、夏風邪という曖昧な言い方でなく、しっかりと病名を告げられることが増えてきました。
その中でも、ここのところよく耳にするようになった病名に〝ヘルパンギーナ〟があります。
皆さんも、テレビのニュースなどで「ヘルパンギーナが流行の兆し・・」など、聞いたことはないでしょうか。
ヘルパンギーナは、プール熱、手足口病と並んで、<夏の3兄弟>と称されるほど、夏に患者が増える病気です。
では、ヘルパンギーナとは一体どのような病気なのでしょうか。
そこで今回は、ヘルパンギーナの原因や症状、感染経路、潜伏期間や治療法などについて調べてみました。
ヘルパンギーナってどんな病気なの?
ヘルパンギーナは、主に乳幼児や子どもに多く発症するウイルス性の感染症です。
日本では5月あたりから感染者が増え始め、6~8月に発症のピークを迎え、9月を過ぎると殆ど見られなくなることから、夏風邪の代表的なものを言われています。
毎年、保育園や幼稚園、小学校などで流行し集団感染が見られ、感染力も弱くはないため、家族内に感染者がいると兄弟などにも感染してしまうことがあります。
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ヘルパンギーナの主な症状
ヘルパンギーナに感染すると、ある日突然38~40度の高熱が出て、口や喉の痛みを訴えます。
口の中を見ると、喉の付近が赤く炎症を起こし、水泡ができていることが確認できますが、この症状こそヘルパンギーナの代表的なものと言えます。
水泡が破れると、その部分は白い潰瘍のようになり、強い痛みを発生させます。
場合によっては、唾液を飲みこむのもつらいほどの痛みがあることから、食事を摂るのを嫌がる子どもも多くいます。
言葉を話すことができない赤ちゃんの場合は、唾液が多くなる、不機嫌になる、敏感な子は吐きやすくなるなどの症状が現れます。
なお、発熱後7~10日程度でこれらの症状は治まると言われていますが、稀に無菌性髄膜炎などの合併症が起こるケースもあり、熱がなかなか下がらない時や、一日に何度も吐く、頭痛を訴えるなどの症状がある時はすぐに病院で診てもらうようにしましょう。
ヘルパンギーナの感染経路と潜伏期間は?
ヘルパンギーナは、感染者のくしゃみや咳などによる飛沫感染、コップなどの共有による接触感染、および便による糞口感染が感染経路になります。
また、感染者が赤ちゃんの場合、おむつを替える時に便を処理するため、そこから親が感染することがあります。
感染力は発熱時にもっとも強く、解熱後2日程度経過するとだんだんと弱くなりますが、熱が完全に下がっても感染者の便には2~4週間に渡ってウイルスが排出されることから注意が必要です。
なお、ウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は2~5日程度と言われており、長くても一週間後には発症すると言われています。
ヘルパンギーナになる原因は?
ヘルパンギーナの多くは、エンテロウイルス属のウイルスであるA群コクサッキーウイルスに感染することで発症しますが、稀に同属のB群コクサッキーウイルスやエコーウイルス、エンテロウイルスによる感染も認められます。
エンテロウイルス属のエンテロとは腸という意味があることから、これらのウイルスは腸で急速に増殖するため、場合によっては腹痛や下痢の症状が現れることもあります。
夏風邪はよく「お腹の風邪」と称されますがありますが、それはこのようなウイルスの生態によるものからと言えるでしょう。
また、ヘルパンギーナを発症するウイルスは単一ではないため、一度かかったらもう二度とかからないということはありません。
例えばA群コクサッキーウイルスによるヘルパンギーナを発症した後、今度はエコーウイルスによるヘルパンギーナを発症するなど、立て続けに2度発症するケースもあります。
ヘルパンギーナは感染するの?大人に二次感染するの?その症状は?
ヘルパンギーナは、乳幼児に多い感染症のため大人はかからないと思っている方も多いですが、大人も感染する病気です。
大人の場合、多くは家族内に感染者(子ども)がいて、看病をしている時に移ってしまうケースが多いようです。
ヘルパンギーナは症状が治まり、通常通りの生活が送れるようになってからも、感染者の便に混じって排出されるため、赤ちゃんのおむつ替えの時などに感染してしまうこともあります。
また、大人がヘルパンギーナに感染すると、高熱や、口腔内の水泡という症状は子どもと変わりませんが、子どもよりも重症化しやすいと言われています。
熱が長く続く、関節が痛む、全身の倦怠感を始め、口内の潰瘍の痛みもさらに強く出る傾向にあり、体調が戻るまで10日以上かかってしまう場合もあります。
大人がヘルパンギーナに感染するのは、ストレスや疲れなどで免疫力が落ちている時と言われているので、ヘルパンギーナの感染者の看病をする際は、自身の体調管理にも十分気を遣う必要があります。
ヘルパンギーナの治療法
ヘルパンギーナの発症原因であるエンテロウイルス属は、現在のところ有効な治療薬は見つかっていません。
また、予防接種で防ぐこともできません。
そのため、ヘルパンギーナに感染した時は、基本的には対症療法となります。
対症療法とは、現れる症状に合わせて治療を行うもので、高熱が出たら解熱剤を使用して熱を下げる、といった治療法になります。
なお、口腔内に痛みがあるため、子どもの場合水分の摂取を避けるようになりますが、夏に流行する感染症ということを考えても気を付けなければならないのが脱水症状です。
場合によっては、病院での点滴が必要となることもありますので、そうならないように適度に水分補給をしてあげるようにしましょう。
イオン飲料や麦茶などを、少しずつ飲ませるようにして下さい。
ヘルパンギーナにかかった場合、保育園に登園してもいいの?
ヘルパンギーナは、学校保健法で特に登園禁止になっている感染症ではありません。
そのため、登園再開については親の判断ということになりますが、熱が下がっていることと、口や喉の痛みが治まって食事が摂れるようになっていることを目安とするのがよいと思われます。
「熱が下がったら通わせてもよいのでは?」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、食事がままならないうちは栄養が足りないため、免疫力や体力が回復していません。
そのような状態で保育園や幼稚園に行くと、新たなウイルスを貰ってしまう可能性があります。
なお、ヘルパンギーナの症状が治まっても、感染者の便からは一ヶ月ほどウイルスが排出されます。
周囲に感染を広めないことは勿論のこと、他のウイルスや細菌に感染しないためにも、トイレの後はきちんと手洗いをするように指導することが大切です。
ヘルパンギーナにかかった時の食事はどうすればいいの?
ヘルパンギーナになると、口内炎がいくつも口や喉にできたような状態になることから、強い痛みにより食事をするのが困難になります。
症状が重くなると、自分の唾を飲みこむのさえつらくなりますが、そのまま何も飲まず食わずでは体の栄養が足りなく、なかなか症状が回復しません。
そのような時は、無理して通常の食事を摂る必要はありませんが、水分はこまめに摂る必要があります。
その際、水よりも麦茶やイオン飲料、味噌汁の上澄みなど、ミネラルが含まれるものを摂取するのがよいでしょう。
ただし、温かい飲み物は痛みが出ますので、冷ましたものを飲ませるようにして下さい。
なお、オレンジジュースなど酸味のあるものは、刺激になり返って痛みを誘発するため避けた方がよいです。
また、固形のものを食べられそうな場合は、アイスクリームやプリン、ゼリーなど口当たりがよく飲みこみやすいものを選ぶとよいでしょう。
特にアイスクリームは、冷たいので食べると体がひんやりするだけではなく、カロリーも高いのでお勧めです。
口や喉の痛みが治まって、食事ができるようになってきたら、うどんやおかゆなど消化のよいものから少しずつ食べるようにしましょう。
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ヘルパンギーナの予防法
ヘルパンギーナは、予防接種がないため、普段の生活の上で感染しないように予防を心がける必要があります。
ヘルパンギーナの感染は、飛沫感染、接触感染、糞口感染によって起こるため、まずは感染者との接触を避けるのがよいでしょう。
特に、乳幼児は保育園や幼稚園、学校、公園など、集団に属する機会が多いため、ヘルパンギーナの流行時はうがい・手洗いを徹底し、ウイルスを体内に持ち込まないようにすることが大切です。
また、食事や睡眠などをしっかり摂り、免疫力や体力をつけておくことも、ヘルパンギーナを始めとした感染症を防ぐのに有効ですので、栄養バランスの摂れた食事を行い、十分な睡眠を確保しましょう。
さらに大人の場合、仕事や人間関係などのストレスが溜まっていると、免疫力が落ちて感染しやすくなります。
日頃からストレスを解消する方法を見つけておくことも、ヘルパンギーナに感染しない予防方法になります。
ヘルパンギーナと手足口病との違い
ヘルパンギーナとよく似た症状が出る病気に、手足口病があります。
どちらも初期症状として口や喉に水泡が現れるため、その段階ではどちらの病気なのか見分けがつきにくい場合もあります。
しかし、ヘルパンギーナは高熱が出るのに対し、手足口病は熱が出たとしても37~38度ほど。
人によっては熱が出ないこともあります。
また、ヘルパンギーナは口や喉のみに水泡ができるのに対し、手足口病はその名の通り、手や足、場合によっては全身に発疹が出るのが特徴です。
さらに、ヘルパンギーナを発症した子どもの多くは、ぐったりとして元気がないことが多いのに対し、手足口病の場合は比較的元気に見えることが多いようです。
このようなことから、症状によってヘルパンギーナと手足口病を見分けることは可能と言えます。
ただし、初期の場合は医師であっても診断に迷うほど共通する部分が多いことから、勝手な自己判断はしない方がよいでしょう。
初期症状の対応によっては、回復の度合いも変わってくるため、必ず病院の指示に従ってケアをするようにしましょう。
ヘルパンギーナと溶連菌感染症との違い
ヘルパンギーナと似た病気には、手足口病の他にもう一つ、溶連菌感染症があります。
初期症状は共に高熱(38~39度)が出ることと喉の強い痛みがあり、それだけではどちらに感染したのか判断が難しいですが、喉の粘膜を擦って検査することですぐに調べることができます。
また、溶連菌感染症はウイルスではなく細菌による感染症のため、抗生物質の投与が治療として有効になります。
溶連菌感染症では高熱や喉の痛みの他に、嘔吐や〝いちご舌〟と呼ばれる特有の症状が現れる場合があります。
いちご舌とは、いちごのように舌が真っ赤になり、白いポツポツが見えるものです。
なお、溶連菌感染症は抗生物質を医師から指示された期間、しっかり飲む必要があります。
元気になったからと言って、途中で止めてしまうと体内に残っていた溶連菌が増殖し、リウマチ熱や急性糸球体腎盂炎などを発症する恐れがあります。
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ヘルパンギーナの症状や原因と治療法!感染する場合もあるの?のまとめ
ヘルパンギーナは、子どもがかかるものと思っている方が多いですが、大人も感染することがわかりました。
さらに、大人が感染すると子ども以上に厄介なこともわかりましたので、何より感染しないように毎日の生活習慣を改め、うがい・手洗いを行うことが大切です。
また、夏は気温や湿度からつい、喉越しのよいさっぱりとした食事を選ぶ傾向にありますが、それでは体に必要な栄養が足りなくなり、ヘルパンギーナを始めとしたウイルスに感染しやすくなります。
そのため、家族や周囲に感染者がいる・いないに関わらず、日頃から栄養バランスの摂れた食事を心掛け、さらに睡眠をしっかり摂って体調を整えておくようにしましょう。
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