中耳炎の原因や症状と治し方!滲出性中耳炎との違いは?
夜間、子どもが急に「耳が痛い」と泣き出したことはありませんか。
痛がり方が尋常じゃないため、何か悪い病気では?脳に何かあったのでは?と、慌てて救急病院へ連れていくと中耳炎だった・・。
こんな経験をしたことのある親御さんは、多いのではないでしょうか。
中耳炎は、子どもがなりやすい病気と言われていますが、そもそも何が原因で発症するのかご存知ですか?
また、中耳炎と言えば耳を痛がる症状が出るのが一般的ですが、それ以外にも顕著な症状はないのでしょうか?
そこで今回は、子どもを持つ方にとっては身近である中耳炎について調べてみました。
中耳炎の原因や症状、治し方など、親であれば知っておきたい情報は勿論のこと、中耳炎になった場合の対処法もご紹介していますので、是非一度目を通してみて下さい。
中耳炎とは?場所はどこになるの?
私達が通常、耳と呼んでいる部分は〝耳介〟という場所になります。
耳は目に見える耳介だけではなく、穴の入口から鼓膜までの外耳(もしくは外耳道)、鼓膜から耳小骨までの中耳、その奥にある蝸牛と呼ばれるカタツムリのような形をした内耳に分かれています。
中耳炎は、この中の中耳の部分が炎症を起こした状態を言い、子どもに多く見られる病気ですが、子どもだけがなるわけではなく大人も発症します。
中耳炎になる原因は?
よく、海やプールで泳いで耳に水が入ると「中耳炎になる」という方がいらっしゃいますが、耳の構造上、耳の穴から入った水が鼓膜を通って耳小骨まで入り込むことは考えられません。
中耳炎の原因の多くは、耳管を通じて細菌が中耳に入り込み、そこで増殖してしまうこと。
耳管は鼻やのどと繋がっているため、例えば、風邪を引いて鼻水が出たりのどに炎症が起こると、その細菌が中耳まで侵入してくることがあるのです。
特に子どもの場合、大人に比べて耳管が短くまっすぐなため、細菌が侵入しやすいと言われています。
また、胃腸器官の未発達な赤ちゃんは、母乳やミルクを吐きやすいですが、その際吐いたミルクが中耳にまで流れ込んでしまい、中耳炎を発症するケースもあります。
中耳炎の症状
中耳炎は、鼓膜から耳小骨の間で起こる炎症の総称を言い、原因や発症場所によっていくつかの種類があります。
そのため、中耳炎の症状としてひとくくりにすることは少し難しいのですが、ここでは中耳炎を発症した場合に、よく見られる症状をご紹介したいと思います。
- 耳が痛い
- 耳の聞こえが悪い
- 耳が詰まっている感じがする
- 発熱
- 耳だれ
- めまい
- 頭痛
- 食欲不振
子どもの場合(特に乳幼児)は、自分の体に起こっている症状を上手く言葉で表すことができません。
そのため、上記のような症状を訴えないからと言って中耳炎ではないと思ってしまうと、治療の開始がそれだけ遅れてしまいます。
不機嫌な状態が続いたり、理由がなく(お腹が空いた・おむつを替えて欲しいなど)泣いている、耳を気にしてよく触っているなどの症状がある時は、中耳炎を疑って病院へ連れていくようにしましょう。
中耳炎の種類
1.急性中耳炎
中耳に細菌が感染し炎症を起こすもので、一般的に言われる中耳炎は急性中耳炎のことを指しています。
多くの場合、風邪やアレルギーなどにより鼻水やのどに炎症が起こり、細菌が耳管を通して中耳に侵入して発症します。
2.滲出性中耳炎
中耳に滲出液が溜まることで起こる中耳炎です。
急性中耳炎の回復途中には、炎症によって中耳に滲出液が溜まることがありますが、通常は耳管を通じて鼻や口から排出されます。
しかし、耳管が未発達であったり動きが悪い状態だと、排出の働きが上手く行われず、そのまま中耳に蓄積してしますのです。
大人の場合は、その状態を自覚することができるのですぐに治療が行われますが、子どもの場合は違和感に気付かないことも多く、放置されがちです。
風邪を引いた後などに、テレビの音が大きくなったり、呼んでも聞こえていない様子が見られる時は、急性中耳炎から滲出性中耳炎を発症している可能性があります。
3.慢性中耳炎
急性中耳炎の際に鼓膜が破れてしまい、耳の穴からの細菌の感染が起こるため、繰り返し中耳炎を起こしてしまうものを言います。
4.真珠腫性中耳炎
中耳炎を何度も発症していくうちに、鼓膜が真珠腫と言われる組織を形成します。
腫とありますが腫瘍ではありません。
しかし、真珠腫は一度できると自然治癒することはないため、放置していると鼓膜から内耳、周囲の骨などに浸出してしまいます。
5.好酸球性中耳炎
中耳に、好酸球が浸出し、にかわ状の滲出液が溜まって起こる中耳炎です。
慢性的な鼻炎や、アレルギー、気管支喘息を持病として持っている方が発症すると言われています。
大人が中耳炎になった場合の対処法
子どもが掛かる病気として知られている中耳炎ですが、大人はかからないわけではありません。
耳の構造上、子どもよりも大人の方がなりにくいのは事実ですが、鼻やのどの細菌が耳管を通って中耳に入りこめば、大人も子ども同様に発症してしまいます。
大人が中耳炎を発症すると、耳の痛みは子どもよりも強く出ます。
これは、中耳炎を発症すると白血球が細菌を攻撃しますが、その際、白血球の残骸が血管から沁み出した水分と共に中耳に溜まっていき、やがて鼓膜に圧力を掛けて破ります。
しかし、大人の鼓膜は子どもよりも厚いため簡単には破けません。
そのため、滲出液はより強い圧力で鼓膜を押すため、痛みが強くなるのです。
このようなことから、大人が中耳炎になると耐えられないほどの痛みを感じる場合も少なくありません。
この時、体を横にするよりも椅子に座るか、立っている姿勢をとると痛みがやわらぐと言われています。
また、中耳炎が疑われる場合は、病院を受診するまでの間に解熱鎮痛剤によって痛みを使って痛みを抑えても構わないので、痛みを我慢せず手持ちの解熱鎮痛剤を利用しましょう。
幼児が中耳炎になった場合の対処法
子どもの場合も、中耳炎になったら基本的には大人と同じ対処法になりますが、大人用の解熱鎮痛剤を子どもに使ってはいけません。
必ず子ども用のものを使うようにして下さい。
また、痛む方の耳の後ろをアイスパックや氷のうで冷やすと、血管が収縮して痛みがやわらぎます。
逆に、体を温めてしまうと血管が拡張され痛みが強く出るので、エアコンの冷風や窓を開けて外気を取り入れ、できるだけ涼しい環境にしてあげましょう。
中耳炎の時にお風呂に入っても大丈夫?
中耳炎の時、お風呂に入ると耳からお湯や水が入って症状が悪化してしまうのでは・・。
こう考える方は多いと思いますが、そのような理由で中耳炎の炎症がひどくなることはありません。
しかし、体温が上がると血管が拡張し、滲出液が漏れやすくなることから痛みが強くなってしまうことから、痛みが強い時や高熱が出ている時は控えるようにしましょう。
また、鼓膜が自然に破れたり、病院で鼓膜切開後など、耳だれがある時はお風呂はNGと思われがちですが、鼓膜が破けて膿が出ると痛みや炎症の度合いは低くなります。
この場合、ガーゼなどで耳の中にお湯が入らないように注意すれば、お風呂に入ることができます。
中耳炎の治し方!治療法はどういうのがあるの?
中耳炎は、細菌による感染が原因で起こるため、細菌の増殖を防ぐ抗生物質による治療が効果的です。
また、痛みの症状が強い場合には解熱鎮痛剤や、炎症を抑えるステロイド入りの点耳薬が処方されることもあります。
さらに、鼓膜が膿でパンパンに膨らんでいる場合は、鼓膜を切開して膿を出す方法もとられます。
鼓膜を切って大丈夫なの?と思うかも知れませんが、鼓膜は再生しますので、切開によって耳が聞こえなくなることはありません。
中耳炎になった場合の注意点
中耳炎になった時、特に痛みや炎症が強い場合は安静に過ごすようにしましょう。
また、鼻水をかむ時に力を入れると鼓膜にダメージを与えてしまうことがあるため、なるべく力まずにそっとかむようにして下さい。
そして、中耳炎で病院に行っても、症状がよくなったからといって通院を止めてしまう方がいますが、医師から「もう大丈夫ですよ」と言われるまでは必ず診てもらうようにして下さい。
症状がないからといって、中耳炎が完治したわけではありません。
回復の途中で治療を止めてしまうと、急性中耳炎から慢性中耳炎になり、難聴などが起こる場合があります。
急性中耳炎と滲出性中耳炎の違いは?
急性中耳炎は、鼻やのどの細菌が耳管を通じて中耳に侵入し、そこで感染・増殖して炎症を起こすのに対し、滲出性中耳炎は中耳に滲出液が溜まることで発症します。
そもそもの発症原因は異なるものの、急性中耳炎から滲出性中耳炎に移行してしまうことが多いと言われています。
また、大人は中耳炎にならないと言われていますが、ストレスや加齢による滲出性中耳炎の発症が多いと言われています。
さらに、急性中耳炎と滲出性中耳炎は併発することもあります。
痛みや発熱などの症状がある急性中耳炎に対し、そのような症状が出ない滲出性中耳炎では、痛みが治まったことで中耳炎が治ったと誤解してしまうことも多いと言われています。
痛みや炎症が治まってからも、耳の閉塞感や耳鳴りが続いている時は、滲出性中耳炎が治っていない可能性があります。
このようなことから、中耳炎の治療は必ず医師から「もう通院の必要がなし」と言われるまで続けることが大切です。
急性中耳炎と慢性中耳炎の違いは?
慢性中耳炎は、急性中耳炎を繰り返すことで、鼓膜に穿孔(せんこう)と呼ばれる穴ができ、そこから膿が出るため痛みや炎症が起こりません。
しかし、鼓膜に穴が空くことで耳の穴の外から入りこんだ細菌などが中耳にまで侵入してしまい、長期間に渡って中耳炎を引き起こしてしまいます。
慢性中耳炎になると、音が聞こえにくくなったり難聴などの症状が現れます。
ただし、大人であれば違和感から病院へ行きますが、子どもの場合はその状態に気付かないことも多いようです。
そのため、音が聞こえないためテレビに近付きすぎて視力が下がってしまったり、授業中の先生の話が聞こえず成績が落ちるなどの弊害が現れることがあります。
中耳炎と外耳炎や内耳炎との違いは?
中耳炎は、耳の中耳部分(鼓膜から耳小骨まで)に起こる炎症の総称を言います。
同様に、内耳炎は内耳部分(耳小骨から蝸牛)、外耳炎は外耳部分(鼓膜から耳の穴の入口まで)に起こるものを言います。
外耳炎と中耳炎は症状が似ており、なかなか見分けがつきにくいのですが、耳を引っ張って強い痛みがあれば外耳炎、痛みがなければ中耳炎の可能性があります。
また、中耳炎でも耳の閉塞感などからめまいが起こることもありますが、内耳炎の場合は平衡感覚を司っている蝸牛に直接炎症が起こるため、ひどいめまいやふらつき、吐き気、嘔吐といった症状が現れます。
いずれにしても、耳の中のことですので判断が難しいケースが殆どだと思いますので、耳の異常を感じたらすみやかに耳鼻科を受診するようにして下さい。
中耳炎の予防法
中耳炎は、風邪やアレルギーによる細菌感染が大きな原因になるため、これらを予防することが中耳炎発症を防ぐポイントとなります。
風邪や花粉症などの流行期には、マスクを着用し鼻や口から細菌やウイルスを体内に入れないようにする、手洗い・うがいをこまめに行う、十分な睡眠・栄養バランスのとれた食事によって体の抵抗力や免疫力を上げておくことなどが大切です。
また、子どもが以前、風邪から急性中耳炎を発症したという場合は、再び風邪を引いた時は耳鼻科で耳を診てもらうのもよいでしょう。
早めに治療を始めることで、症状の悪化を防ぐことができます。
中耳炎の治し方と原因や症状!うつる場合もあるの?のまとめ
子どもが急性中耳炎を発症すると、慌ててしまう場合が多いと思いますが、まずは痛みを抑えるための応急処置を行いましょう。
患部を冷やす、体を横にせずに座るか立っている、窓を開けたりエアコンで部屋を冷やす、などの対処法により痛みが軽減するケースが多いようです。
実際、車に乗せて慌てて救急病院へ向かったら、エアコンの効いた車の中で座っていたことで痛みが治まったという子もいます。
このように、病気の原因や症状を知っておくことは、いざという時に冷静に対応することができます。
中耳炎は、子どもの多くが発症していると言われますので、お子さんをお持ちの方は覚えておいて損はないのではないかと思います。
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