感染性胃腸炎の治療法と予防法!感染性胃腸炎はうつるの?
お腹が痛い、お腹が下る、吐き気がある。
このような症状が現れたら、胃腸炎を疑いますよね。
胃腸炎の原因は様々にありますが、もし自分と同じ症状の人が周囲にいるとしたら、それは「感染性胃腸炎」かも知れません。
感染性胃腸炎とは、文字通り人から人へ感染する胃腸炎のことを言います。
しかし、どうして胃腸炎が人に感染するのでしょうか。
お腹が痛くて下痢としている時は、必ず感染性胃腸炎なのでしょうか?
そこで今回は、感染性胃腸炎の原因や症状、治療法や予防法などをご紹介します。
感染性胃腸炎とは?
感染性胃腸炎には、「細菌性胃腸炎」と「ウイルス性胃腸炎」の2つがあり、細菌性胃腸炎は主に夏、ウイルス性胃腸炎は冬に流行しやすい傾向があります。
細菌性胃腸炎は、黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどの細菌に汚染された食べ物を摂取することで感染し、嘔吐や下痢といった症状を引き起こします。
一方のウイルス性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスの感染によって胃腸症状が起こるもので、嘔吐下痢症と呼ばれることもあります。
感染性胃腸炎の原因
感染性胃腸炎の主な原因は、細菌やウイルスですが、細菌性胃腸炎の原因の一つである黄色ぶどう球菌は、私達の皮膚に常在する菌で通常は非病原体ですが、体内に入り込むことで胃腸炎症状を引き起こします。
細菌性胃腸炎を起こすものは、黄色ブドウ球菌の他にも、サルモネラ菌(鶏卵や鶏肉)やカンピロバクター(豚肉や鶏肉)、腸炎ビブリオ(牡蠣などの魚介類)などがあり、これらの菌に汚染された食物を摂取したり、菌に汚染された調理道具などから別の食品へと移ることで感染します。
また、ウイルス性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどに感染した人の嘔吐物などに接触したり、ウイルスに汚染されたものを摂取することで感染します。
感染性胃腸炎の症状
感染性胃腸炎は、細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎によって症状の度合いが異なることもありますが、主に次のような症状が現れると言われています。
- 下痢
- 腹痛
- 嘔吐
- 悪心
- 発熱
細菌性胃腸炎の場合は、血便や腹部の膨満感が症状として現れることもあります。
また、ウイルス性胃腸炎の中でもノロウイルスは、上記の症状の他に関節痛や頭痛を伴うこともあり、ロタウイルスは米のとぎ汁のような水様便が何度も出ることから「白色便性下痢」と呼ばれることもあります。
感染性胃腸炎の感染経路と潜伏期間
細菌性胃腸炎の感染経路と潜伏期間
細菌性胃腸炎の感染経路は、主に細菌に汚染された食べ物を摂取することです。
食べ物を食べてお腹が痛くなると言うと、食中毒が思い浮かびますよね?
食中毒の原因は、きのこなどの毒によるもの、化学物質によるもの、細菌やウイルスによるものの3つに分かれており、約9割が細菌感染によるものだと言われています。
つまり、食中毒の殆どは細菌性胃腸炎が原因となり、細菌性胃腸炎=食中毒と言えるのです。
細菌性胃腸炎が、人から人へと移ることは比較的少ないと言われていますが、細菌に汚染された手で調理したものを食べたり、細菌を持っている人が触れたまな板や包丁などに細菌が移り、それが食べ物に移ることで、それらを食べた方が感染するということは十分にあり得ます。
また、細菌性胃腸炎の潜伏期間は、細菌によって日数が異なりますので、ここでは主な細菌の潜伏期間を記載しておきます。
黄色ブドウ球菌
1~6時間と、潜伏期間はとても短いです。
サルモネラ菌
1~2日の潜伏期間を経て発症します。
カンピロバクター
1~7日の潜伏期間を経て発症します。
ウイルス性胃腸炎の感染経路と潜伏期間
ウイルス性胃腸炎の感染経路は、経口感染と空気感染があります。
経口感染は、ウイルスに汚染された食べ物を食べることで起こりますが、空気感染は感染者の嘔吐物や便などを処理する際に空気中に巻き散ったウイルスを吸い込むことで感染します。
また、ウイルス性胃腸炎の潜伏期間は次のようになっています。
ノロウイルス
18~48時間と短く、症状が早くに現れます。
ロタウイルス
1~3日と比較的短い潜伏期間を経て発症します。
アデノウイルス
7~8日と比較的長い潜伏期間を経て発症します。
感染性胃腸炎の治療法は?
細菌性胃腸炎の場合もウイルス性胃腸炎の場合も、基本的には下痢止めや吐き気止めなどは使用しません。
これは、原因となる細菌やウイルスを体外へ排出しなければ、症状がいつまで経っても治まらないからです。
ただし、乳幼児は体の抵抗力が弱いことから、抗生剤を使った治療を行うこともあります。
感染性胃腸炎で怖いのは、脱水症状です。
嘔吐や下痢が続くと、その分体内の水分が減ってしまうため脱水になりやすくなってしまいます。
また、嘔吐している時は水も飲みたくないと、水分の補給が疎かになることも多いようです。
しかし、脱水が進むと意識障害やけいれんなどが起こることもあるため、水分が摂れない状態の時は病院を受診し点滴などの治療を受ける必要があります。
自宅では、無理に食事をする必要はありませんが、こまめに水分を摂るようにし、その際は水ではなく経口補水液やスポーツドリンクなどを摂るようにしましょう。
感染性胃腸炎はうつるの?
ストレスによる胃の痛みや、消化不良に伴う下痢といった胃腸症状は、人から人へと感染することはありませんが、細菌性胃腸炎ウイルス性胃腸炎のどちらも、人に移す・人から移ってしまう場合があります。
感染性胃腸炎にならないための予防法
感染性胃腸炎にならないためには、次のポイントに注意をして予防を心掛けましょう。
食品の加熱や調理には十分気をつけること
食べ物に付着した細菌やウイルスは、加熱処理をすることで死滅することが多いため、生のままや半分火を通した程度ではなく、しっかりと加熱して食べるのがよいでしょう。
また、食べ物を扱った調理器具は放置したままにせず、すぐに洗うようにしましょう。
その際も熱湯処理をすると付着した細菌やウイルスが落ちやすくなります。
感染者の嘔吐物などを扱う時は慎重に
素手では扱わず必ず手袋やマスクをした上で、消毒用エタノールや塩素系漂白剤などを使用しましょう。
手洗い・うがいは習慣にしましょう
外出から帰宅後や、トイレの後などは必ず手洗い・うがいをするように習慣づけることで、細菌やウイルスの感染を防ぐことができます。
タオルの共有や同じ湯船に入らない
感染者の使用したタオルには細菌やウイルスが付着している可能性もあることから、同じ物を使わないようにしましょう。
また、お風呂もできれば別にした方がよいですが、小さなお子さんと入る時などはシャワーなどで感染者の体全体をよく洗い流してから湯船に浸かるようにしましょう。
まとめ
感染性胃腸炎は、人に移してしまう可能性のあるものです。
下痢や嘔吐などの症状があり、それが食べ物などによる感染が疑われる場合は、自宅安静を心掛け、会社や学校への通勤・通学を行わないようにしましょう。
また、感染性胃腸炎は乳幼児や高齢者が発症すると重症化しやすいと言われていますので、症状がなかなか回復しない、悪化している場合はすぐに病院を受診して医師の診断を受けるようにして下さい。
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