潰瘍性大腸炎の原因と治療法!漢方は効果的か?
腸内フローラや腸活など、近年は腸の健康を意識したものが、テレビや雑誌などで多く取り上げられています。
健康にとって腸は大切だということがわかりますが、これは裏を返せば、現代はそれだけ腸にまつわることで悩みを抱えている方が多い、ということにも繋がります。
実際に、元々欧米人には多く発症していたものの、日本人には少ないと言われていた「潰瘍性大腸炎」の患者が急増しており、症状に悩む方が多くいらっしゃいます。
そこで今回は、潰瘍性大腸炎の原因や症状、治療法について調べてみました。
潰瘍性大腸炎は、まだまだ聞き慣れない方も多い病名ですが、2011年現在では患者数が13万人近くいると推定され、今後も増えていくと予想されています。
いつ自分が、または家族や身内が発症するかもわかりませんので、是非この機会に潰瘍性大腸炎について知って頂けたらと思います。
潰瘍性大腸炎とは?難病なの?
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、やがてただれ(びまん)や潰瘍になってしまう病気のことを言います。
似たような病気にクローン病がありますが、クローン病と潰瘍性大腸炎を合わせたものは、炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれています。
潰瘍性大腸炎は、20~30代の比較的若い世代に見られる症状、と言われていましたが、最近は40~60代にも多く発症することがわかっています。
潰瘍性大腸炎は、日本人の患者数が欧米と比べて少なかったことから、これまであまり注目されることがありませんでしたが、現在の日本の総理大臣である安倍首相もこの潰瘍性大腸炎を患っていることがわかり、広く知られるようになりました。
なお、潰瘍性大腸炎は厚生労働省より難病指定を受けています。
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潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎は、その発症のメカニズムが現在まで解明されていません。
つまり、原因は不明とされています。
しかし最近は、研究によって「免疫機能の異常」が原因として挙げられています。
免疫機能とは私達の体に備わっているもので、体の外から侵入してきた細菌やウイルスを攻撃・排除する働きのことを言いますが、この免疫機能が正常に働かなくなると、本来は異物ではない大腸の粘膜を異物とみなし、攻撃してしまうことで炎症が起こり、やがて潰瘍になってしまうのではないかと考えられています。
そして、日本人にこの病気が増えてきた理由には、食の欧米化と共にストレスがあると言われています。
ストレスが潰瘍性大腸炎の直接の原因となるわけではありませんが、免疫機能の異常を起こしているところにストレスが掛かることで、より粘膜が傷付きやすい状態になるのでは?と言われています。
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潰瘍性大腸炎の症状
- 下痢
- 腹痛
- 血便(粘血便)
- 貧血
- 体重減少
- 発熱
潰瘍性大腸炎の初期症状では、下痢が多いようです。
しかし、下痢は消化不良などでも起こることなので、この時点で自分が潰瘍性大腸炎であると疑う人はまずいないでしょう。
そこから、血便や粘液と血液が混じった粘血便が出るようになり、さらに腹痛や微熱、発熱、体重減少などの症状が現れます。
症状が悪化すると、大量の血便や粘血便が出ることから、貧血になることも増えていきます。
潰瘍性大腸炎は、症状がずっと続く場合もありますが、多くは寛解といって症状がやわらいで回復をする寛解期と、症状がぶり返す再燃期を繰り返します。
そのため、下痢や発熱などの症状がありながらも、その症状がやがて治まってしまうことから、「治った」と勘違いをして病院を受診するのが遅くなり、症状が悪化した時はかなり進行しているケースも多いようです。
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潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療では、主に炎症を抑えるための抗炎症効果のあるサラゾピリンやステロイドなどの薬物治療が主となります。
また、潰瘍性大腸炎は直腸を始点に腸に広がっていくことから、直腸や腸の左半部に肛門から直接ステロイド剤などを注入する治療が行われることもあるようです。
このような治療は、症状が軽症~重症まで比較的広範囲に渡って行われますが、薬物治療を行っても症状が悪化する場合や炎症部分の炎症の度合いが重い場合には、手術によって炎症部分を切除する場合もあります。
潰瘍性大腸炎は完治するの?
残念ながら、潰瘍性大腸炎は一度発症してしまうと完治することはありません。
潰瘍性大腸炎は、症状が治まる「寛解期」と症状が再び起こる「再燃期」を繰り返すと言われており、症状がないからといって自己判断で病院へ行くのを止めたり薬の服用を中止すると、再燃の可能性が高くなってしまいますし、病状が進行して以前よりも悪化してしまうこともあります。
また、潰瘍性大腸炎を患っている年数が長くなるにつれ、合併症として大腸ガンを発症する割合が上がると言われており、発症から10年では2%、20年では8%、30年では18%となっています。
さらに、潰瘍性大腸炎に伴う合併症では、大腸ガンだけではなく肝機能障害や関節炎などが起こると言われています。
潰瘍性大腸炎の場合、病院は何科に行けばいいの?
潰瘍性大腸炎が疑われる場合は、消化器科か内科を受診するのがよいでしょう。
また、最近は潰瘍性大腸炎を含む炎症性の疾患を総合的に診る科を併設している大学病院などがあることから、近くにそのような病院はあれば、そちらの方が望ましいと言えるでしょう。
また、最近は子どもにも潰瘍性大腸炎の発症が増えていることから、お子さんに上記のような症状がある場合は、大人と同様に潰瘍性大腸炎を疑った方がよいでしょう。
その場合は小児科で診てもらって構いませんが、できれば専門医がいる病院を探す方がより確実と言えるでしょう。
潰瘍性大腸炎におすすめの漢方
症状にピンポイントに効く西洋薬に対し、体全体の血流や抵抗力を高める狙いのある漢方薬は、潰瘍性大腸炎の改善に取り入れる方も少なくないようです。
そこでここでは、潰瘍性大腸炎にお勧めの漢方薬をご紹介したいと思います。
青黛(せいたい)
(画像はhttp://hbm-life.com/%E9%9D%92%E9%BB%9B/)
潰瘍性大腸炎の改善に取り組んでいられる患者さんの間では、青黛が効くとして注目を集めているようです。
青黛については、医療機関や大学病院なども研究を重ねているところで、今後、治療の一つとして選択肢にも含まれるかも知れません。
参考URL: http://shohei-clinic.com/an12-4.html
参考URL: http://www.keio-med.jp/gastro/patient/progress.html
桃黄湯(とうおうとう)
潰瘍性大腸炎の患者さんに、漢方を処方して治療効果を上げている昌平クリニックの鍋谷院長によると、桃花湯(とうかとう)と黄土湯変方(おうどとうへんぼう)の一部を混ぜた桃黄湯を処方したところ、8割近くの方に改善が見られたということです。
参考URL: http://shohei-clinic.com/kanpo03-8a.html
啓脾湯(けいひとう)
(画像はhttps://www.qlife.jp/meds/rx9158.html)
啓脾湯(けいひとう)は、下痢症や慢性胃腸炎などに処方される漢方ですが、潰瘍性大腸炎の患者さんが服用したところ、2週間で出血が止まり、7ヶ月後には排便が1日2回に減ったそうです。
参考URL: http://shohei-clinic.com/kanpo03-8a.html
潰瘍性大腸炎の原因や症状と治療法!完治するの?のまとめ
潰瘍性大腸炎は、いつ、誰が発症してもおかしくない病気です。
また、初期症状が下痢や腹痛と、誰にでもよく起こるもののため、「いつものこと」「仕事が忙しいから、疲れているのかな」と思い放置してしまうケースも多くあります。
しかし、血便や粘血便はそうそう起こりうることではありません。
体の異常を察知したら、できるだけ早い段階で病院へ行き、適切な治療を受けることが何よりも大切です。
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