麻疹の症状や潜伏期間や感染経路と予防接種の時期と治療について!
WHO(世界保健機構)は、日本由来の感染症である麻疹が日本において撲滅されたことを認定しています。
このことは大きなニュースとなり、「日本では麻疹に感染しない」と受け取った方も多いのではないでしょうか。
しかし、2016年の8月に、関西や関東で麻疹の流行が伝えられ、「え?日本って麻疹がなくなったんじゃないの?」と驚いた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
WHOの発表は、あくまでも日本由来の麻疹の発生が過去3年以上起こっていないとされるもの。
実は、海外から持ち込まれたウイルスによる感染は、年間数100件に及んでいるため、日本国内で麻疹が全く発生していないわけではないのです。
そこに来て、2016年9月に、空の玄関口である関西空港で麻疹による集団感染が起こり、流行が懸念されています。
では、麻疹とはそもそも、どのような病気なのでしょうか。
そこで今回は、麻疹の初期症状や治療方法、混同しやすい風疹との違いについて調べてみました。
麻疹とは?
この病名自体には馴染みがない、という方が殆どだと思いますが、では「はしか」と言われたらどうでしょうか?聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。
日本では昔から麻疹をはしかとしていたため、はしかの方が聞き覚えがある方も多いと思いますが、最近は本来の呼び方である麻疹(麻しん)と呼ばれることの方が多くなっています。
麻疹は、麻疹ウイルスによる感染症で、主に乳幼児が感染しやすいことからワクチンによる予防接種の対象となっており、予防接種によって生涯免疫を獲得できるものとされていますが、近年は予防接種をしても十分な対価を得られない場合や、ウイルスの変異などによって感染する人が増えていると言われています。
麻疹の症状
麻疹は、発症から回復までが3段階に分かれており、それによって症状に違いがあります。
①カタル期
麻疹を発症すると、発熱や咳、鼻水、目やになどの症状が現れますが、風邪とよく似ているため、症状だけではなかなか麻疹と気付きにくい時期です。
②発疹期
麻疹という名の通り、顔や体全体に発疹が現れます。
ポツポツとした赤い発疹が、くっついて大きく見え、咳や鼻水などの症状が強く現れます。
また、一度下がった熱が再び上がり始め、40度近い高熱になることもあります。
③回復期
熱が下がり、発疹が次第に茶色になり、消えていきます。
症状は治まりますが、体力や免疫力が著しく低下しているため、合併症などに気を付ける必要があります。
麻疹の初期症状の特徴
麻疹は、最初は風邪とよく似た症状で、それだけでは麻疹と気付きにくいという面があります。
その後に発疹が現れることで「もしかしたら麻疹かも・・」と気付くケースが殆どですが、実は体に見られる発疹の中でも麻疹特有のものがあります。
それは、「コプリック斑」です。
コンプリック斑は、口の中の頬の内側に見られるもので、周囲が赤く中心が白く見える発疹がポツポツとできます。
このコプリック斑を確認することで麻疹と診断されるため、麻疹の初期の特徴として覚えておくとよいでしょう。
麻疹の潜伏期間と感染経路
麻疹はとても感染力が強いため、症状がある方との接触はもちろんのこと、特に症状のないこの間にも麻疹ウイルスに感染した人との接触によって、次々と感染すると言われています。
では、麻疹の感染経路にはどのようなものがあるのでしょうか。
①飛沫感染
麻疹ウイルスに感染した人のくしゃみや咳を吸い込んでしまい、感染するものです。
②空気感染
麻疹ウイルスは空気中に放出されるとふわふわと浮いているため、その空気を吸いこむことで感染してしまうことがあります。
③接触感染
感染者の唾液などが付着したドアノブなどに触れ、その手で口や目などに触れると、そこからウイルスが侵入し麻疹に感染します。
麻疹の治療法
麻疹の発症原因である麻疹ウイルスに効く治療薬というのは、現時点では見つかっていません。
そのため、麻疹を発症した場合は、基本的には対処療法を行った上で、安静に過ごすことになります。
対処療法とは、症状に応じた治療を行うもので、例えば熱が高い場合には解熱剤を、咳がひどい時は鎮咳薬、結膜炎で目がかゆい時は点眼薬や抗ヒスタミン剤を使う、といった具合になります。
また、発熱によって汗をかくため、脱水症状になりやすいことから、こまめに水分補給をすることも大切になります。
なお、麻疹ウイルスの感染者と思われる人と接触した時に、ワクチンを接種することで発症を抑えられる可能性があることがわかっていますので、そのような場合はできるだけ早く病院へ行くようにしましょう。
麻疹の予防方法や予防接種について
麻疹は、高熱や発疹など、それ自体がつらい症状を伴うものですが、怖いのは合併症を引き起こす恐れがあることです。
麻疹による合併症には様々なものがありますが、例えば中耳炎は5~15%が発症すると言われていますし、この他にも気管支炎や急性咽頭炎、肺炎などの発症も多く見られます。
中でも、麻疹によるウイルス性脳炎は1,000~2,000人に1人の割合で発症し、死亡するケースもあります。
このような重篤な症状を招く恐れのある麻疹ですが、現時点では有効な治療法が確立していないことから、麻疹に掛からないように予防接種をすることがとても大切です。
また、うがい・手洗いやマスクによって感染を防いだり、規則正しい生活を送って免疫力を高めておくことも重要と言えます。
なお、接種後5~14日の間に予防接種の副反応として、発疹や発熱が見られることがありますが、いずれも一過性で数日中に消失すると言われています。
麻疹と風疹の違いは?
どちらも発疹を伴う感染症ですが、発症原因となるウイルスが異なるため、症状にも違いがあります。
風疹を発症すると、細かい発疹が首の周りを起点として、やがて全身に広がります。
高熱が出ることもありますが、発熱は全体の半分に過ぎなく、中には発疹のみの症状で終わる場合もあるようです。
また、症状が比較的長く続く麻疹に比べて、風疹は3日程度で熱や発疹が消えることから、「三日ばしか」と呼ばれることもあります。
このように、風疹は麻疹よりも症状が軽く、短い期間に回復すると言えますが、稀に脳炎や紫斑病といった合併症を引き起す他、妊婦が感染すると胎児に悪影響があり、先天性の心疾患や聴覚・視覚障害、心身発達の遅延といった、「先天性風疹症候群」を起こす恐れがあるため、特に注意が必要です。
麻疹(はしか)の初期症状と治療方法!風疹との違いは?のまとめ
WHOによる日本の麻疹撲滅は嬉しい話題でしたが、最近は頻繁に麻疹感染者のニュースを聞くようになっており、日本にいれば必ず安心とは言えない状況と考えるべきでしょう。
麻疹感染による重い合併症の危険を回避するためには、麻疹に掛からないように予防接種を受けることが大切です。
また、予防接種は自分の身を守るだけではなく、持病を持っていることで予防接種を受けられない方が、麻疹感染の脅威に晒されないように協力することにも繋がります。
お子さんがいらっしゃる方はもちろんのこと、これから妊娠を望む方やそのご家族は、是非この機会に麻疹の怖さと予防接種の重要性を知って頂けたらと思います。
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