お中元ののしの意味や由来!貼ってはいけない時がある?
日ごろお世話になっている方へ、感謝の気持ちとして贈るお中元。
しかし、普段あまり意識しない「のし」の書き方に戸惑ってしまうという人も多いのではないでしょうか。
また、のしには「内熨斗」や「外熨斗」があり、お中元の場合はどちらを選んだらよいのか悩んでしまう場合もあると思います。
そこで今回は、今さら聞けないお中元ののしの書き方や、内熨斗、外熨斗の使い分けの基準についてご紹介します。
お中元を始めとしたお祝い品には必ずのしが必要なイメージがありますが、必ずしものしをつける必要はなく、むしろ貼らない方がよいケースについても合わせてご案内します。
お中元ののしの書き方
お中元ののしは、品物を購入したお店で店員さんが付けてくれるので、何を選んだらよいかわからなくても何とかなる場合も多いかも知れません。
しかし、表書きや名入れはそうはいかず、自分でしなければいけませんよね。
それでは、お中元ののしの表書きや名入れはどのようにするのがよいのでしょうか。
ここでは、個人以外に連名で出す時や夫婦で出す場合なども合わせてご紹介します。
表書き
水引の上段中央に縦書きで「御中元」と書きます。
なお、気を付けたいのは、お中元の時期は地域によって変わるため、時期を過ぎていたら「暑中御見舞」や「残暑御見舞い」に変更します。
個人名で贈るとき
個人で贈る場合は、水引上段中央の「御中元」の表書きに合わせるように、水引下段中央に縦書きでフルネームを書きます。
目下の人に贈るなら、名字だけでも構いません。
会社名を入れるとき
個人名と一緒に会社名を入れたい時は、個人名で贈るときと同様に水引下段中央にフルネームを入れ、その右横にやや小さめの文字で会社名を入れます。
会社名を個人名の少し上から書くようにして、バランスをとるようにしましょう。
連名で贈るとき
複数で贈る場合は、目上の人が右になるようにして書きます。
特に地位に違いがないなら、五十音順に書くようにします。
連名は3人までとし、4人以上になる時は代表者のフルネームを個人名と同様に、水引の下段中央に書き、その左下に「他一同」と書きます。
そして、代表者以外の名前は中包みに記載します。
夫婦連名で贈るとき
夫婦連名で贈る場合は、個人名と同様に夫のフルネームを水引の下段中央に書き、その左横に妻の名前のみを書きます。
内熨斗と外熨斗の使い分け
品物を購入した際、「内熨斗にしますか?外熨斗にしますか?」と尋ねられますが、よくわからず「どちらでもいいです」と答えてしまう方も多いのではないでしょうか。
一般的にのしと言われているのは、本当はのし「紙」なのですが、のし紙の使い分けには実は特にこれと言った決まりがありません。
内熨斗にするのか外熨斗にするのかは、心遣いによるものと言ってよいでしょう。
そこでここでは、内熨斗にした方がよい場合と、外熨斗の方がお薦めのケースをご紹介します。
内熨斗
内熨斗とは、品物にのし紙を掛けた後、包装紙で包む形のものです。
内熨斗はのし紙が包装紙によって隠れますが、これが「控えめ」と捉えられることから、内熨斗は内祝いの際にお薦めののしの掛け方と言われています。
内祝いとは出産祝いや結婚祝いのお返しというのが一般的な認識ですが、そもそもは身内や自分に起きた慶事を親戚や知人などにお知らせし、幸せをお裾分けするという意味があります。
そのため、のしも表に大々的にするのではなく、内のしにして控えめにするのがよいと言われています。
なお、昔はのしに内熨斗も外熨斗もなく、のしを掛けた品物を風呂敷などで持参していましたので、のし=内熨斗というのが基本の考え方と言えるかも知れません。
また、近年はお中元を宅急便で送ることも多くなっており、その際にのし紙が破けたりしないように、内熨斗を選びます。
外熨斗
外熨斗は、品物を包装した後にのし紙をかけるため、表書きや名前が見える状態になります。
つまり、「どのようなお祝いを、誰が贈った」か、一目瞭然ということになります。
外熨斗は結婚祝いや出産祝いなどの他、イベントなどの景品や開店祝いなどで多く使われます。
また、お中元を持参して直接手渡しするなら外熨斗でも構いません。
なお、群馬県ではのしと言えば外熨斗が一般的となっているそうです。
これは頂き物を床の間などに飾る風習があるからだそうで、地域によっては明確なのしの使い分けがされているケースもあります。
お中元ののしの意味や由来
お中元は、中国の上元(旧暦の1月15日)、中元(旧暦の7月15日)、下元(旧暦の10月15日)を合わせた「三元」が起源と言われています。
三元の日に神様にお供え物をすると、それまで犯した罪から免れると言われていたのが、日本に伝わった際、盂蘭盆会(お盆の起源)と結びつき、夏の贈り物としてお中元が普及したと言われています。
神様へのお供え物だったはずが、お互いに品物を贈り合う風習へと変わっていったのは、日本には古来より神様にお供えした物を食べることで、神様の力を頂くことができるという考えが浸透していたからです。
つまり、お中元とはそもそもは神様へのお供え物を贈り合うという意味があるのです。
なお、今のようなお中元が盛んになったのは明治時代からと言われています。
東京や大阪と言った大都市に人口が集中し、人の交際範囲が広くなったことや、デパートの発展が大きな理由とされています。
のしを貼ってはいけない時がある?
そもそも、のしとは、水引の上段右上についている記しのようなものを指します。
これは本来はのした干しあわびで、こののしをつけることで「生ものを添えました」という意味になります。
(ちなみにのしに水引が印刷された掛け紙を『のし紙』と言います)
そのため、のし紙が掛けられている品物は生もの以外である必要があります。
例えば、タオルや陶器、ガラス製品などにはのし紙を掛けて贈るのが礼儀となりますが、生肉や生魚など生ものを贈る場合には品物自体が生のため、のしをつける必要はないのです。
なお、お中元の品物によく選ばれるハムや鰹節といった加工品にも、のしをつける必要はありません。
この他に、生ものをお供えしてはいけない仏前に供える物にも、のしは不要になります。
のし=のし紙と覚えていると、のしがいらないのなら掛け紙も必要ないと思ってしまいがちですが、あくまでも貼らなくてもよいのはのしだけです。
お中元として生肉やハムなどを贈る時は、のしをつけずに掛け紙に水引を掛けて(お店ではのしが付いていないのし紙にして下さいと言うと対応してもらえます)贈るのがマナーとなります。
まとめ
お中元ののしは、表書きに「御中元」と書き、その下に個人名を入れます。
のしには内熨斗と外熨斗がありますが、宅急便で送ることを考えるとのし紙が破けない内熨斗にするのがよいでしょう。
また、お中元を始めとしたお祝いの品にはすべてのしをつけると思っている方も多いと思いますが、生ものにはのしは不要であることも今回わかりました。
お中元は年に一度のご挨拶となるため、マナーや礼儀などをつい間違って覚えてしまいがちですが、年に一度だからこそ間違いのないように贈りたいものですよね。
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