マイコプラズマ肺炎の症状や診断の仕方と治療法
咳や鼻水が出て、体が気怠く、おまけに熱っぽい・・。
そんな症状が現れたら、あなたはどんな病気を疑いますか?「寒くなってきたし、風邪でも引いたかな・・」そう思うのではないでしょうか。
また、風邪の症状が出た場合、あなたはすぐに病院へ行きますか?
高熱が数日続いたり、もしくは激しい咳や鼻水によって睡眠を妨げられたりした場合にやっと病院へ行くという方が多いのではないでしょうか。
しかし実はその風邪が、マイコプラズマ肺炎だとしたらどうでしょう。
「肺炎なら、薬を飲めばすぐ治るし・・」と、まだそんな考えをお持ちですか?
もしその肺炎が人にうつしてしまうものだとしたら、それでもあなたはまだ病院へは行きませんか?
マイコプラズマ肺炎って何?どんな肺炎なの?
マイコプラズマ肺炎は、正式名称が「Mycoplasma pneumoniae」という微生物による感染が原因の肺炎を言います。
細菌やウイルスと異なる病原体となり、これらと大きく違う特徴の一つにマイコプラズマは細胞壁を持たないため、ペニシリンやセフェムといった抗生物質が効きません。
さらに以前は、オリンピックが開催された1984年、1988年と4年ごとに大流行したことから「オリンピック熱」とも呼ばれていましたが、2000年以降は大流行はないものの年々感染者数を増やしている傾向にあります。
秋から春に掛けて流行し、また喫煙者は感染しにくいといった報告もされています。
症状や特徴は?人にうつるの?
マイコプラズマ肺炎になると、初期症状としては喉の痛みや咳、発熱、鼻水や鼻づまりといった、いわゆる風邪とよく似た症状を引き起こします。
このため、地域的にマイコプラズマが流行していると認知・確認されていない場合は、病院へ行っても風邪と診断されてしまうケースも多いようです。
また、乳幼児が感染すると風邪と同程度の症状で治まることが多いですが、小学校以降の年齢になると肺炎になる場合が増えてきます。
さらに大人が掛かると重症化するケースが増えているようです。
さらに、マイコプラズマ肺炎は閉鎖的な空間での集団感染が高く、主に幼稚園や小学校、家族間で小流行します。
マイコプラズマ肺炎と診断されたら、出席停止の措置を取っている場合が多いようですので、必ず幼稚園や学校に問い合わせをして下さい。
また、急性期を過ぎたら登園・登校が可能となるようですが(人にうつす心配がなくなり、かつ本人の健康状態がよい)ガイドラインでは「抗生剤治療後3日ほど経過し、症状が改善している」ことを目安としているようです。
潜伏期間や感染経路は?
マイコプラズマ肺炎に感染してから、実際に発症するまでは1~3週間、場合によっては4週間程度も潜伏期間が長くなるケースもあります。
実はマイコプラズマ肺炎は、それほど強い感染力のあるものではないとされています。
しかし、それにも関わらず小流行を起こすのは、この潜伏期間の長さが影響していると言われています。
感染してから症状が出るまで長くて一ヶ月も経過してしまうので、その間に学校や幼稚園といった密度の濃い接触がある場所において、感染者を増やしてしまうのです。
また、マイコプラズマ肺炎は飛沫感染と接触感染の2つの感染経路がありますが、飛沫感染よりも接触感染による二次感染の方が多いとされています。
マイコプラズマ肺炎の診断の仕方は?
肺炎の診断方法の一つに、聴診器で胸から雑音が聞こえるかどうか調べるというものがありますが、マイコプラズマ肺炎の場合は、この雑音がしないのでレントゲンを撮るに至らず、症状から風邪と診断されるケースも多いようです。
風邪と似たような症状がありながらも、咳が長い間続いている(特に乾いた咳、夜間や早朝になると激しくなる場合は要注意)、発熱が続いているといった場合は、あらかじめマイコプラズマ肺炎を疑って検査をしてもらうのがよいでしょう。
また、痰や血液検査によってマイコプラズマ肺炎かどうかは診断することができます。
しかし、これらの検査が行える設備のない病院の場合は外部へ委託するので、結果がわかるまである程度の時間(一週間程度)を有します。さらにこの検査を30分で行える迅速検査もありますが、結果が必ずしも正確ではないと言われています。
これらの現状から、マイコプラズマ肺炎が疑われる場合は胸部レントゲンにて肺の状態を確認し、なおかつ迅速検査と抗体検査を用いてマイコプラズマ肺炎の有無を調べます。
また、マイコプラズマ肺炎にかかると強い炎症反応が出るので、血液検査により白血球の数を調べたり、尿検査にて肝機能の状態を確認します。
治療法は?
マイコプラズマ肺炎は、細胞壁を持たない微生物が病原体のため、ペニシリンやセフェムといった抗生物質は効きません。
代わりにマクロライド系抗生剤が第一選択薬として使用されます。しかし2000年以降、このマクロライド系抗生剤に耐性のあるマイコプラズマ肺炎が確認されています。
その場合は、テトラサイクリン系抗生剤、もしくはニューキノロン系抗生剤を使いますが、子供には副作用が懸念されるケースもあり、テトラサイクリン系ではミノマイシン、ニューキノロン系ではトフスロキサシンが使用可能となっています。
またマイコプラズマ肺炎は、1才までに40%、5才までに65%、大人になると97%が一度は感染したことがあると言われています。
つまりは、風邪だと思っていたものが本当はマイコプラズマ肺炎だった可能性が高いのです。
そのため、症状が軽症の場合は風邪の症状と同じく、加湿を保ちながら家で安静にしていると自然治癒する場合もあるようです。
マイコプラズマ肺炎にかからないように予防するには?
マイコプラズマ肺炎は、感染者の飛沫を浴びたり接触することで感染します。
そのため、人の多い場所へ行く際にはマスクをし、帰宅後はうがい・手洗いをするのが予防に効果的です。
また、すでに家庭内でマイコプラズマ肺炎感染者がいる場合は、寝る場所を別々にするなど極力接触を避けることが必要となります。
まとめ
風邪によく似た症状のマイコプラズマ肺炎ですが、長く続く咳や熱がある時はマイコプラズマ肺炎を疑って、早めに病院へ行くようにしましょう。
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