涼風の候を使う時期や使い方と読み方、例文などをまとめています。
涼風の候を時候の挨拶に使って手紙やはがきを送りたいけれど、涼風の候はいつ使うのが正しいのでしょうか。
涼風という言葉には、夏の暑さが収まってより秋らしい季節になる9月下旬や10月のイメージがありますよね。
その時期に使うのがよいのか気になります。
そこで今回は、涼風の候について詳しく調べてみました。
涼風の候を使う時期はいつ?
涼風の候は、8月下旬から9月上旬に使用される時候の挨拶です。
この時期には、まだ夏の厳しい暑さが続いていますが、朝晩に吹く風に一瞬の涼しさを感じることができるため、この表現が適しています。
涼風の候という表現には、「涼しい」という字が含まれているため、初夏の爽やかな空気感や、夏の終わりを告げる秋の始まりの風を連想する方も多いかもしれません。
しかし、日本の気候において、8月下旬から9月上旬はまだ残暑が厳しく、その中で感じる少しの涼しさが特に貴重です。
このような微妙な季節の変わり目を表現するために、「涼風の候」という表現が用いられるのです。
具体的には、8月25日から9月10日頃が適した時期とされています。
この期間は、夏休みが終わり、学校や仕事が再開されるタイミングでもあります。
季節の移ろいを感じさせるこの時期に、「涼風の候」という挨拶を使うことで、相手に対して季節感を共有し、親しみを感じてもらえるでしょう。
以下の表で、涼風の候を使用する適した時期とその背景についてまとめました。
時期 | 背景 | 使用する理由 |
---|---|---|
8月下旬 | 夏の終わり、まだ残暑が厳しい | 朝晩に涼しい風を感じ始める |
9月上旬 | 季節の変わり目、学校や仕事の再開時期 | 夏から秋への移ろいを表現するため |
このように、涼風の候を使う時期は、夏の終わりと秋の始まりを感じる微妙な季節の変化を捉えたものです。
涼風の候の意味や読み方は?
涼風の候は「りょうふうのこう」と読みます。
この表現には、夏の終わりに感じる秋の気配を感じさせる風のことを意味しています。
まず、「涼風」という言葉について詳しく見てみましょう。
通常、「涼風」は「すずかぜ」と読まれることが多いですが、この場合は「りょうふう」と読みます。
これは、季節の挨拶として使われる際の特別な読み方です。
涼風は、暑さが和らぎ、ほっと一息つけるような、秋の訪れを感じさせる風のことを指します。
次に、「候」についてです。「候」は「こう」と読み、これは「時候」や「気候」、つまり季節や天気を表す言葉です。
ここでは、「涼風の候」と組み合わせることで、「秋らしい涼しい風が吹く時期になりました」という意味になります。
「そうろう」と読んでしまいがちですが、季節の挨拶文においては「こう」と読むのが正しいです。
以下に、涼風の候についてのポイントを整理しました。
言葉 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
涼風 | りょうふう | 夏の終わりに吹く秋の気配を感じさせる風 |
候 | こう | 時候、気候、季節を表す言葉 |
このように、涼風の候という表現は、日本の美しい季節の移り変わりを感じさせる言葉です。
暑い夏が過ぎ去り、涼しい風が吹き始めるこの時期にぴったりの表現と言えるでしょう。
涼風の候の正しい使い方は?
「涼風の候」の正しい使い方について詳しくお話しします。
8月下旬から9月上旬に使えるとされる「涼風の候」ですが、この時期に使用することに対して違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんね。
まだまだ暑さが続くこの時期に「涼風」という言葉を使うことに対する疑問は、ごもっともです。
しかし、これは正しい使い方なのです。
まず、なぜこのような違和感が生じるのかを説明しましょう。
時候の挨拶である「涼風の候」は、旧暦に基づいて作られています。
旧暦は太陰暦、つまり月の満ち欠けによって1年を決めていたため、現在の太陽暦(新暦)とは1ヵ月から1ヵ月半ほどの季節感のズレが生じます。
旧暦の8月下旬から9月上旬は、現代の暦では9月下旬から10月中旬に相当します。
このような背景を理解すると、現在の8月下旬から9月上旬に「涼風の候」を使うことが、実は旧暦における秋の風を指していることがわかります。
これが、時候の挨拶として正しい使い方であり、季節感のズレを考慮に入れると納得できるのではないでしょうか。
具体的には、以下のように「涼風の候」を使うのが適切です:
使用時期 | 挨拶例 |
---|---|
8月下旬から9月上旬 | 「涼風の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」 |
「涼風の候」は、夏の暑さが少しずつ和らぎ、秋の気配が感じられる時期を表現しています。
そのため、この表現を使うことで、季節の移ろいを感じさせる挨拶をすることができます。
最後に、旧暦と新暦の違いを理解し、正しい時候の挨拶を使うことは、相手に対する敬意と日本の伝統を尊重することにつながります。
8月下旬から「涼風の候」を使用することは、マナーとしても正しいとされています。
どうぞ、季節の挨拶を楽しんでお使いください。
時候の挨拶を使った具体的な書き方(基本文例)
文例をご紹介しますが、基本的な構成が決まっていますので、まずは基本形をどうぞ。
項目 | 内容 |
---|---|
1.頭語 | 拝啓 |
2.時候の挨拶・書き出し | 〇〇の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 |
3.本文・用件 | 本文の内容はここに記入します。手紙を書こうと思った気持ちを思い出しながら、筆を進めてください。 |
4.結びの言葉 | 〇〇の季節も過ぎましたが、御社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 |
5.結語 | 敬具 |
6.日付 | 令和〇〇年〇月〇〇日 |
7.送り主 | 涼風太郎 |
8.宛先 | 〇〇〇〇様 |
ポイント:
- 頭語と結語は決まり文句です。これらはそのまま使用します。
- 時候の挨拶では、季節感を出すことが大切です。季節に合った挨拶を選び、天候や気候に言及して具体的な情景を思い浮かべられるようにします。また、相手の健康を気遣う言葉を加えることで、相手への思いやりを表現します。
- 句読点やスペースを適切に使い、読みやすい文章を心掛けます。
- 親しい友人に対しても、基本的な形式を押さえつつ、個人的なメッセージを加えることで、温かみのある手紙を作成できます。
涼風の候を使った例文
涼風の候を時候の挨拶に使う場合の例文をご紹介します。
ビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3パターンを掲載しています。
ビジネスで使う場合
- 謹啓 涼風の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
- 拝啓 涼風の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
- 拝啓 涼風の候、貴店ますますご発展のこととお慶び申し上げます。平素は当店を御利用いただき御厚情のほど、心より御礼申し上げます。
目上の人に使う場合
- 謹啓 涼風の候、皆様におかれましては一段とご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 涼風の候、朝晩いくぶん、しのぎやすい季節となってまいりました。○○様には一段とご隆盛のご様子心よりお喜び申し上げます。
親しい人に使う場合
- 涼風の候、朝夕には涼しさを感じるようになりましたが、ご家族の皆様、お元気でいらっしゃいますか?
- 涼風の候、鈴虫の音が美しいこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
涼風の候の結び文
涼風の候を時候の挨拶に使う場合、結び文も時候の挨拶に合ったものにするとよいでしょう。
結び文とは締めくくりの文章のことで、時候の挨拶と合わせることで統一感や季節感を出すことができますよ。
ここでは涼風の候に合う結び文の例文をいくつかご紹介します。
- 皆様お元気で、爽やかな秋を満喫されますことをお祈り申し上げます。
- 秋風が肌に心地の良い季節となりました。皆様、お健やかにお過ごしください。
- 夏の疲れが出やすい頃でございます。体調を崩されないよう、くれぐれもご自愛ください。
涼風の候を使うときに注意すること
時候の挨拶として「涼風の候」を用いる際には、相手との関係性や手紙・はがきの用途に応じて適切な使い方を心がけることが重要です。
特に以下の点に注意しましょう。
まず、親しい友人や家族に対しては、文章の書き出しを「涼風の候、~」で始めても問題ありません。
この場合、カジュアルで親しみやすい雰囲気を大切にし、相手との距離を感じさせない書き方が適しています。
しかし、ビジネス関係者やお世話になった恩師など、目上の方に対しては、単に「涼風の候」と書き出すのではなく、より丁寧な表現が求められます。
こうした場合、まずは「頭語」を使用することが基本です。
頭語とは、「拝啓」や「謹啓」などの形式的な挨拶であり、これにより文章全体が丁寧で礼儀正しい印象になります。
具体的には、以下のような書き方が推奨されます。
対象 | 書き出しの例 | 結語の例 |
---|---|---|
親しい友人 | 涼風の候、~ | なし |
ビジネス関係者 | 拝啓 涼風の候、~ | 敬具、敬白 |
目上の方 | 謹啓 涼風の候、~ | 謹白、謹言 |
「拝啓」や「謹啓」を使った場合は、必ず文章の最後に「結語」を入れることが必要です。
例えば、「拝啓」の場合は「敬具」または「敬白」、「謹啓」の場合は「謹白」もしくは「謹言」を用います。
これにより、手紙全体が一つのまとまりを持ち、より丁寧な印象を与えることができます。
また、頭語と結語の組み合わせにはルールがあるため、間違えないように注意しましょう。
以下に、頭語と結語の適切な組み合わせをまとめました。
頭語 | 結語 |
---|---|
拝啓 | 敬具、敬白 |
謹啓 | 謹白、謹言 |
このように、時候の挨拶を使う際には相手との関係性を考慮し、適切な表現を選ぶことが大切です。
特にビジネスや公式な場面では、丁寧さを欠かさないように注意しましょう。
これにより、相手に対する敬意を十分に表現することができます。
涼風の候以外の9月の時候の挨拶はある?
9月には涼風の候以外にも使える時候の挨拶があります。
ここでは、涼風の候以外の9月の時候の挨拶をご紹介します。
爽秋の候
9月上旬から中旬にかけて使える時候の挨拶になります。
爽やかという文字の通り、爽やかな秋の季節になりましたという意味がありますよ。
白露の候
9月上旬から9月下旬に使える時候の挨拶です。
白露は二十四節気の一つで初秋(秋の始め)に使われる言葉になります。
秋分の候
9月下旬から10月上旬に使える時候の挨拶になります。
秋分と言えば「秋分の日」が有名なので、二十四節気にあまり詳しくないという方でも馴染みがあるのではないでしょうか。
この場合の秋分は秋分の日とは異なり、二十四節気の秋分から次の節気である寒露まで使うことができます。
秋分は例年9月22~23日頃、寒露は例年10月7~8日頃になりますよ。
仲秋の候
9月中旬から10月上旬に使える時候の挨拶になります。
二十四節気の白露から寒露(例年10月8日頃)まで使うことができ、秋の半ばという意味がありますよ。
秋晴の候
9月上旬から10月下旬まで使える時候の挨拶です。
長く使えるので、9月に送る手紙やはがきの時候の挨拶に悩んだら、秋晴の候を使うのもよいでしょう。
ただし、「晴れ渡る秋の季節」という意味があるので、悪天候が続いている時には使うのは控えた方がよいでしょう。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordにはあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
涼風の候のまとめ
涼風の候は8月下旬から9月上旬に使える時候の挨拶です。
使える期間が短い上、実際の季節感と涼風という言葉に違和感があり、使うタイミングがないと感じる方も多いようですね。
そのような時は、9月には他にも時候の挨拶がありますので、そちらを使ってみるのがよいでしょう。
コメント