若葉の候という言葉を聞いたことがありますか?
この美しい季節の挨拶は、いつからいつまで使えばいいのか、その意味や読み方はどうなっているのでしょう。
そして、実際に手紙やはがきに書くとき、どのような使い方や書き方をすればいいのか、特に書き出しや結びにはどんな言葉を選べば心が温まるのでしょうか。
これらの疑問は、ビジネスやプライベートでの手紙のやり取りをもっと豊かに、そして心に残るものにするために非常に重要です。
この記事では、そんな「若葉の候」にまつわる疑問を解消し、あなたが相手に感謝や思いやりを伝える手紙を書くためのヒントをご紹介します。
- 「若葉の候」がどの時期に使う時候の挨拶であるかがわかります。
- 「若葉の候」の正しい読み方とその意味を理解できます。
- 様々なシチュエーションでの「若葉の候」の使い方や書き方、特に書き出しや結びの例文について学べます。
- 漢語調の時候の挨拶を使う際の注意点や、若葉の候以外の時期に使える時候の挨拶についても知ることができます。
若葉の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?
若葉の候を使う時期はいつからいつまで?
若葉の候は5月上旬から中旬に使える時候の挨拶になります。
ただし、若葉の候を使える時期については、4月下旬からというものや6月上旬までOKなど様々にあるため、「絶対に5月上旬から中旬までしか使えない」ということではないようですね。
若葉の候の読み方
若葉の候の意味
「若葉の候」は厳しい冬を耐え抜いた木々に若葉が生い茂る季節を表す時候の挨拶です。
「若葉」という言葉は、まさに生まれたばかりの、瑞々しさを保った葉を指します。
これらの葉は、まるで生命の喜びを全身で表現しているかのように、木々に新たな命を吹き込みます。
そして、「候」という言葉には、時期や気候、季節を意味する幅広いニュアンスが含まれており、「若葉の候」は、文字通り「新緑が目を覚ます季節になりましたね」という心温まるメッセージを伝えるのです。
春の訪れを告げる「若葉の候」は、新しい季節の始まりと共に、私たちの心にも新鮮な風を吹き込みます。
この表現を通じて、私たちは自然界の変化を深く感じ取り、その一部として生きる喜びを見出すことができるのです。
若葉の候の正しい使い方は?
先ほどもお伝えした通り、若葉の候を使う時期については様々な説があります。
4月下旬に若葉の候を使ってもよいという説では、地域によっては4月下旬頃から若葉が見られるようになるから、というのが主な理由のようですね。
しかし、若葉は夏の季語であり、暦の上での夏は立夏(例年5月5日頃)を過ぎてからとなっています。
そのため、ここでの見解としては、4月下旬はまだ春のため、若葉の候を使うのは避けた方がよいとしています。
また、5月下旬や6月上旬については、5月下旬になると地域によっては本格的な夏が到来し、葉の色は若葉というよりも青々として濃くなる時期ですし、梅雨に入るところもありますよね。
このようなことから、若葉の候は葉の色がまだそこまで色濃くなく、なおかつ梅雨に入る前の時期に使うのが適切ではないかと判断し、5月上旬から中旬の使用をお勧めしています。
若葉の候を使った例文
若葉の候を使った手紙やはがきの書き出し(冒頭)の例文をご紹介します。
「どのように書き始めたらよいのかわからない」という場合は、ぜひ参考になさってみてくださいね。
ビジネスで使う場合
書き出し文
- 謹啓 若葉の候、貴社におかれましては益々ご盛栄の御事慶賀の至りに存じます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 若葉の候、貴社におかれましてはなお一層のご発展のことと大慶至極に存じます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
- 拝啓 若葉の候、貴社にはますますご清栄の由大慶に存じます。毎々格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
結び文
- 現在は梅雨の季節にさしかかっておりますが、貴社がさらに大きく発展されることを心から願っております。
- 初夏を迎え、日差しが一段と強くなってきたこの時期に、貴社の更なる成功をお祈りしております。
- 自然が色鮮やかに彩られるこの時期、貴社の繁栄を心より願っております。
目上の人に使う場合
書き出し文
- 謹啓 若葉の候、〇〇様にはますますご壮健のことと拝察いたしお慶び申し上げます。
- 拝啓 若葉の候、〇〇様にはいっそうご活躍のことと慶賀の至りに存じます。
- 拝啓 若葉の候、〇〇様はお変わりなくお過ごしでしょうか。
結び文
- 初夏の爽やかな風が感じられる季節が到来しました。どうかお体を大切になさってください。
- 山々に広がる新緑が鮮やかな季節、どうぞお元気にお過ごしください。
- 梅雨の季節がもうすぐそこまで来ています。どうぞご自愛ください。
親しい人に使う場合
書き出し文
- 少し暑く感じる日が多くなってきましたね。いかがお過ごしでしょうか。
- 公園の花壇では、葉っぱがぐんぐん成長しています。ご健康でいらっしゃいますか。
- 梅雨の季節が近づいてきていますね。〇〇様、お元気でいらっしゃいますか。
結び文
- 梅雨のじめじめした天気にも負けず、将来的にお会いできる日を心待ちにしています。
- 季節が夏へ移り変わるこの時期、どうかご自身を大切になさってください。
- 気温が上昇していますが、気温の変化で健康を害されないよう、ご注意ください。
結び文とは?
時候の挨拶と同様に、結び文にも季節を感じる表現を取り入れてみましょう。
ここでは、若葉の候を使う時期に使える結び文の例文をご紹介します。
- 風薫るさわやかな季節、社業のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 軽暑の時柄、なおいっそうご自愛ください。
- 暦の上では夏とは言え、朝晩はまだ肌寒さを感じます。風邪など引かないように気をつけてくださいね。
若葉の候を使うときに注意すること
時候の挨拶には漢語調と口語調があり、若葉の候などの「○○の候」は漢語調になります。
漢語調は口語調よりも丁寧な表現になるため、漢語調の時候の挨拶を使えばそれだけで丁寧と思ってしまいますが、ビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきに若葉の候を使うときは、漢語調の時候の挨拶だけでは不十分になります。
ビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきには、最初に頭語をつけましょう。
頭語とは「拝啓」や「謹啓」などのことで、これらには「つつしんで申し上げます」という意味がありますよ。
相手に対する敬意を表す言葉のため、文章の書き出しは頭語で始めるようにしましょう。
また、頭語をつけたら文章の終わりは結語で締めてください。
「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」、「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」になりますね。
なお、親しい友人に送る手紙やはがきには、頭語や結語をつける必要はありません。
若葉の候以外の時候の挨拶はある?
若葉の候は使える期間が短いですし、地域によってはすでに緑が濃くなっている場合もあるなど、使うタイミングが難しいと感じる方もいるでしょう。
しかし、5月には若葉の候以外にも使える時候の挨拶があるので、若葉の候の使い方に悩んだら他の時候の挨拶を使うのがよいでしょう。
ここでは、若葉の候以外の5月に使える時候の挨拶をご紹介します。
立夏の候
例年5月5日頃から5月21日頃までに使える時候の挨拶になります。
立夏は二十四節気の一つで、夏の始まりという意味になりますね。
ニュースなどでよく聞く「暦の上では夏」の暦とは二十四節気のことを指していますよ。
小満の候
例年5月21日頃から6月5日頃まで使える時候の挨拶になります。
小満も二十四節気の一つになるため、使える期間が明確に決まっていますよ。
小満には太陽の光を浴びて万物がすくすくと成長するという意味があります。
新緑の候
5月全般に使える時候の挨拶になります。
新緑は若葉に近い意味があるので、すでに本格的な夏を迎えて緑が濃くなっている地域に送る手紙やはがきには、使わない方がよいかも知れません。
薫風の候
5月全般に使える時候の挨拶になります。
薫風は新緑の葉の香りが風に漂う様子を表した言葉になりますよ。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
若葉の候のまとめ
若葉の候は、春の終わりから初夏にかけての時期、特に5月上旬から中旬に使われる挨拶ですね。
この季節は、木々が若葉で生い茂り、自然が新しい命で溢れる美しい時。
手紙やはがきでの時候の挨拶として、この言葉を使うことで、受け取る方に季節の移ろいを感じてもらい、心温まるメッセージを届けられます。
地域によっては4月下旬から6月上旬まで使う場合もありますが、一般的には5月が最適です。
時には、新緑を感じさせる言葉選びで、大切な人への思いやりを伝えましょう。
この記事のポイントをまとめてみますと
- 若葉の候は5月上旬から中旬が適期
- 読み方は「わかばのこう」
- 厳しい冬を越えた木々が若葉で生い茂る季節を象徴
- 新生の葉が瑞々しさを保ち、生命の喜びを表現
- 6月上旬までOKとする説もあるが一般的には5月が望ましい
- 夏の季語であり、立夏以降が適切との見解も
- 5月下旬や6月上旬は葉が濃くなり適さない場合も
- ビジネス文書では「拝啓」や「謹啓」から始める
- 若葉の候以外にも立夏の候、小満の候、新緑の候、薫風の候がある
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