打ち水はいつどのような時にやるのがベスト?やり方はどうしたらいい?
近年の日本では年々最高気温が更新され、最近は35度、地域によっては40度を超えるところも出てくるようになりました。
もはや0度でも、「今日は涼しい」と錯覚してしまう人もいるのではないでしょうか。
地球温暖化やヒートアイランド現象など、気温上昇の原因が様々に叫ばれる中、熱くなった地表を少しでも冷まそうと2003年から取り組まれているのが「打ち水大作戦」です。
「打ち水大作戦」は、国土交通省を始めNPOや企業などが文字通り打ち水をすることで、気温を下げようとする試みです。
昔の映像などで見たことがあるという方も多いと思いますが、打ち水とはそもそもどのような意味や由来があるのでしょうか。
そこで今回は打ち水について調べてみました。
打ち水の効果ややり方などをご紹介します。
打ち水のタイミングは?
打ち水は、朝の早い時間帯か夕方に行うのがよいと言われています。
どちらも気温のピークに到達する前のため、「それでは効果がないのでは?」と思うかも知れませんが、一日で最も暑い時間帯に打ち水をしても、すぐに水が蒸発してしまいますし、水蒸気が増えるとその分湿度が高くなり、かえって蒸し暑さを増幅させてしまいます。
そのため、太陽の日差しが強くない朝か夕方に打ち水をした方がひんやりとした空気が留まって、涼しさを感じやすくなります。
ガーデニングを行っている方なら朝に植物に水を与えると思いますが、そのタイミングで一緒に打ち水を行うのがお勧めです。
もし、どうしても日中に打ち水を行うなら日陰を選ぶようにしましょう。
日陰は水が蒸発するスピードが遅いので、打ち水の効果を得ることができます。
打ち水のやり方
打ち水は一度に大量の水をまくよりも、こまめに水をまいた方が効果が持続しやすいと言われています。
また、土や芝生のように保水性のある場所にまく方が、吸い込んだ水を徐々に放出してくれるため、効果が長い時間続きます。
水のまき方については、昔は木の桶に水を入れてひしゃくでまいていましたが、同じように行う必要はありません。
ガーデニング用のジョウロがあればジョウロを使い、なければペットボトルを利用しても構いません。
植物を植えているなら、植物に水をかけてもOKです。
植物は地上に出ている部分から空気中に水蒸気を放出する蒸散活動を行っているため、周囲の温度を下げるのに役立ちます。
ただし、アスファルト舗装された道路やコンクリートの建物への打ち水は、土や芝生などへの打ち水と比べて効果が少ないと言われています。
場合によっては逆効果になってしまうとも言われているので、アスファルト舗装やコンクリートに打ち水をするのは止めた方がよいでしょう。
打ち水の効果は?
道路や土に水をまく打ち水ですが、「ただ水をまくだけで本当に効果があるのだろうか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、打ち水の効果をご紹介します。
① 温度を下げる
夏の強い日差しに照り付けられている道路や土の表面は、かなり高い温度になっています。
そこに打ち水をすると高温によって水が蒸発しますが、その際に気化熱が発生し、表面の温度を下げてくれるのです。
私たち人間の体も、運動などによって体温が上昇すると汗をかいて体温を下げようとしますが、汗が蒸発する気化熱によって肌の表面の熱を奪うことで体内の熱を発散させています。
場所や気象などの条件にもよりますが、打ち水を行うことで2度ほど温度が下がると言われています。
また、気化熱が発生するとそこに空気の流れが生じるため、風によって涼しさを感じやすくなるとも言われています。
② 涼しくなったように感じる
道路や土が水で濡れていると、視覚的に「涼しさ」を感じやすくはないでしょうか。
人は視覚によって感覚を左右されることがわかっており、例えば赤には暖かいイメージが、青には冷たいイメージを感じる方が多いと思います。
これと同じで、濡れている(水がある)とそれだけで何となく水のひんやりとしたイメージが沸きやすくなり、見ているだけで涼しさを感じるというわけです。
③ 気持ちがすっきりとする
「水に流す」という言葉がある通り、打ち水をすることでその場の穢れや淀みが綺麗になくなる気がしませんか?
また、土埃が舞いにくくなることで、気持ちがすっきりとする効果もあります。
打ち水の意味や由来
打ち水の歴史は古く、安土桃山時代に茶人・千利休が茶の作法の一つとして、客人をもてなす際に水をまいて穢れを祓い、涼を呼ぶために行っていたことが「南方録」(千利休の秘伝が綴られた古伝書)に記載されています。
一般的に行われるようになったのは江戸時代とされ、当時は当然ながらエアコンや扇風機などはなかったので、暑さ対策として打ち水を行っていたようです。
また、今のように道路が舗装されているわけではないので、土埃も舞いやすい環境でしたが、打ち水をすることで土が水分を含んで埃が舞いにくくなるため、お客さんを迎える際の店の心遣いで行っていたとも言われています。
打ち水と雨は違う?
猛暑に振る雨は、「天然の打ち水」と呼ばれることがあり、気温を下げる効果があります。
実際に京都府城陽市のデータを見てみると、雨が降る前の気温が35.4℃だったのが、雨が降ってからわずか一時間で26.3℃まで下がったことがあります。
暑さに参っている中での雨はまさに恵みの雨になりますが、一方で局地的に短時間で激しく雨が降ると災害が起こる可能性が高くなってしまいますよね。
日本は昔から夏は降水量が少なかったのですが、それでも夕方に突然雨が降ることがありました。
以前まではこれを夕立ちと呼んでいましたが、最近は「50年に一度の」のように経験のない雨量が降ることが予想されることからゲリラ豪雨と呼ばれています。
打ち水のイベントがある?
冒頭でもご紹介しましたが、国土交通省や環境庁、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、さいたま市などが行っているのが「打ち水大作戦」という打ち水のイベントです。
打ち水大作戦とは、日時を決めて残り水を使って打ち水を行うもので、打ち水の効果を得るというよりは打ち水の効果を実証するための社会実験という位置付けになっています。
2003年から始まったこのイベントは、打ち水を通じて環境意識の啓発や水の再利用の促進、近隣コミュニティの再生などを行うものとなっており、毎年推定500万人が参加しています。
この他にも、各地の商店街や企業が独自に、暑い夏を涼しく乗り切るための打ち水のイベントを行っています。
今日午後の
銀座涼風計画
→打ち水 pic.twitter.com/0Sy1gOOGvk— ZHUyz (@Japanzhu) July 30, 2022
まとめ
打ち水は江戸時代には土埃が舞うのを避けるためや、お客様をおもてなしするためにお清めの意味で行っていたと言われています。
もちろん、その当時から空気を冷やして涼をとるという意味でも行われており、エアコンや扇風機のない時代には打ち水は見ているだけで涼しさを感じさせてくれるものであったと思われます。
現在でも「打ち水大作戦」と称したイベントが全国各地で行われるなど、打ち水によって暑い夏を乗り切ろうとする方がたくさんいます。
ただし、その一方で日中のアスファルトやコンクリートへの打ち水は、水の蒸発が早すぎるため効果がないとも言われていますし、湿度が上昇して蒸し暑くなるなど、逆効果になることも考えられるので、行う場合には慎重に時間や場所を選ぶようにしましょう。
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