お宮参りや七五三のお参りは、産土神が祀られている産土神社へ行くのがよいという話を聞いたことはないでしょうか?
しかし、産土神や産土神社がよくわからないという方は多いと思います。
そこで今回は、産土神について調べてみました。
産土神とは?などの疑問はもちろんのこと、意味や由来、読み方などを解説していきます。
また、産土神と混同しやすい氏神様との違いについてもご紹介していますので、「産土神と氏神は同じと聞いたけれど何が違うの?」という場合なども、ぜひご一読いただけると幸いです。
産土神とは?読み方は?
日本には仏教だけではなく神道も根付いているので、様々な神様の名前を知っていると言う方が多いと思いますが、産土神はなかなか読める方が少ない神様と言われています。
また、どのような神様なのかよく知らないという方も多いでしょう。
産土神は、土を産む神と書く通り、その土地を生み出した神様、その土地に宿る神様になります。
産土神がその土地を守り、作物を育て、河川や自然など、地域に生きる人々と密接に関わっていると言われており、さらにその土地に自分が産まれる時に、魂と肉体を結び付けてくれるのも産土神と言われています。
このようなことから、お子さんの誕生や健やかな成長に感謝するお宮参り、七五三と言ったお参りは、産土神が祀られている神社で行うのが一般的と言われています。
産土神の意味や由来は?
産土神は、その場所に住む人々が土地の繁栄や五穀豊穣、健康や安全を願って祀る神様になります。
さきほど、お宮参りや七五三は、産土神が祀られている神社で行うのが一般的と言いましたが、出産した産院と実際に暮らしている場所が違うことがありますよね。
出産した産院のある土地=産土神と考える方が少なくないようですが、実は明確な定義はありません。
ただし、一つの基準として受胎して8週目に、お母さんのお腹の中にいた時にどこにいたかによって、産土神が決まるという考え方があるようです。
受胎して8週目ということは妊娠3ヵ月に入ったばかりになりますが、多くの方はこの辺りで「妊娠したかも?」と気づくタイミングです。
自宅と実家が別の場所にある場合、多くは結婚をして家を出ているので、受胎8週目は自宅(現在の住まい)であることが多いでしょう。
そのため、産土神も自宅のある土地の産土神社ということになりますが、出産は実家のある土地の産院で行いしばらくそこで過ごすなど、お宮参りの時期に自宅に戻らないこともあるかも知れません。
そのような時は、実家のある土地の産土神へのお参りで問題はありません。
実家の産土神はあなたが生まれた時から成長を見守って下さっていた神様ですし、自宅のある場所の産土神はあなたがまだお母さんのお腹にいた時から成長を見守ってくださっています。
このようなことから、実家と自宅、どちらの産土神にお参りをしても問題はありません。
氏神様との違いは?
氏神様も産土神と同じように、生まれた土地を守る神様だと聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。
氏神様は正確に言うと、土地ではなく、その土地に繁栄する一族を守る神様です。
日本では昔から先祖をお祀りし、お参りをする習慣が根付いていました。
そのため、同じ土地に暮らす血縁同士が先祖をお祀りし、その先祖を「氏神様」と呼ぶようになりました。
そして、氏神様が守る特定の土地に暮らす人を「氏子(うじこ)」と呼んでいました。
それが時代の流れとともに、血縁同士よりも、地縁(近所付き合いなどで生まれる地域コミュニティのこと。自治体や町内会のような感じです)が重視されるようになっていきました。
それに伴い、その土地にお祭りされていた氏神様を血縁関係にない人もお参りするようになり、いつしか氏神様は特定の土地を守る神様という意味合いが強くなっていったと言われています。
なお、氏神様、産土神と似た神様に、地主神、地主神がいます。
地主神とは、その土地に昔から暮らす神様のことです。
人が住んでいる・いないに関係なく存在し、どのような土地にも地主神がいると言われています。
地主神の中には荒神と呼ばれる人に災をもたらすものもいたため、移り住んできた人は荒神をなだめるために祠や社を立てました。
また、移り住む時点で地主神から被害を与えられないために、祠や社を建てることもあったそうです。
その際に、荒神より強い神様を連れてお祀りしたのが鎮守神の始まりと言われています。
しかしこちらも、時代の流れによって混同されるようになり、今では氏神様、産土神、地主神、鎮守神はほぼ「その土地を守る神様」と捉えられています。
産土神社とはなに?
産土神社とは、産土神がお祀りされている神社のことを言います。
自宅近くの住み慣れた場所にお祭りされているのが産土神であれば、産土神社は自宅近くの住み慣れた場所にある神社ということになります。
産土神社は、生涯に渡ったあなたを守る存在となってくれます。
そのため、生まれてから違う土地へ引越しをしても、産土神社は一生変わることなく、ずっとあなたを見守ってくれています。
また、生まれた時からずっと同じ土地で生活をしている方であれば、氏神様と産土神が同じということもあり得ます。
氏神様は一族(血縁)を守る神様で、産土神は産まれた土地の神様であるからです。
さらに、家を建てる時、地鎮祭と言ってその土地の神様に建物を建てる許可を得て、工事の安全や安心を祈願しますが、この時に許可を得ているのが氏神様や地主様と言われています。
現在では氏神様、産土神、地主神、鎮守神の区別がほとんどなくなっていますが、地鎮祭に参加することがあれば、どの神様であっても「今、土地の神様に許しを得ているのだな」と感じることができると思います。
開運の地固めになるの?
昔は一度住まいを構えたら、遠方に引越しをすることがなく、さらに周囲も血縁関係者が住んでいたことや、産まれた子どもも同じ土地で育つことがほとんどだったので、氏神様をお祀りすることで産土神をお参りすることになりました。
しかし現在では、産まれた場所と今住んでいる場所が違う人も多く、近隣に血縁関係者がいないことも少なくありません。
そのため、氏神様も産土神も遠方になるということもあるでしょう。
そのような時は、住んでいる場所に近い神社をお参りし、まずは地固めを行います。
近くに神社がないという場合は、自分にとって心惹かれる神社などでも構いません。
その上で、氏神神社と産土神社をお参りすると、運が開けると言われています。
氏神神社や産土神社がわからない時は、神社本庁に問い合わせると住所から探すことができます。
まとめ
産土神とは、その土地を守る神様のことを言い、受胎して8週目にお母さんのお腹の中にいた時にいた場所の神様を指します。
土地を守る神様であると同時に、その土地に産まれた子どもを生涯に渡って見守る神様であるため、お宮参りや七五三は産土神のお祭りされている神社へと出向くのが一般的とされています。
産土神の他にも土地を守るとされる神様には氏神様や地主様、鎮守様がいます。
氏神様、地主様、鎮守様は本来は産土神とは異なる神様ですが、現在はこの4つの神様はほぼ同じように土地を守る神様と捉えられています。
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