秋色の候を使う時期や読み方、使い方と例文について解説しています。
秋色の候は秋という字が入っているので、秋に使う時候の挨拶とわかりますが、秋色とは具体的にどの時期を指すのか気になりますよね。
銀杏が黄色く色づく11月頃なのか、それともうっすらと紅葉が始まる9月下旬頃なのでしょうか。
そこで今回は、秋色の候の使い方を詳しく調べてみました。
秋色の候を使う時期はいつ?
秋色の候は、9月下旬から11月上旬までの期間に使える時候の挨拶です。
この時期は、夏の暑さが和らぎ、秋の穏やかな気候が感じられる季節を表現するのに最適です。
まず、一般的に「下旬」は月の21日から末日、「上旬」は月の1日から10日を指します。
したがって、秋色の候は具体的には9月21日頃から11月10日頃まで使用することができます。
この期間は、木々の葉が色づき始め、秋の深まりを感じる美しい季節です。
しかし、なぜ11月10日までとされるのでしょうか。
これは、「秋色の候」という表現が、まだ秋の名残が感じられる時期に適しているためです。
11月中旬以降になると、地域によっては冬の気配が濃くなり、秋色という表現が少し季節外れに感じられることがあります。
そのため、11月上旬までがこの表現の最もふさわしい使用期間とされています。
秋色の候の使用期間
期間 | 日付 | コメント |
---|---|---|
9月下旬 | 9月21日頃から | 夏の暑さが和らぎ、秋の気配が感じられる時期 |
10月上旬 | 10月1日から10日 | 秋の風情が深まり、紅葉が始まる時期 |
11月上旬 | 11月1日から10日 | 秋の名残を感じられるが、冬の気配も近づいてくる時期 |
秋色の候を使う際には、その時期の自然の変化や風景の美しさを感じ取り、挨拶文に取り入れることで、より心温まる表現ができるでしょう。
秋色の候の意味や読み方は?
「秋色の候」とは、「しゅうしょくのこう」と読みます。
この言葉は、秋の風情を感じさせる時候の挨拶として使われます。
つい「秋色」を『あきいろ』、「候」を『そうろう』と読んでしまいがちですが、時候の挨拶は音読みで読むのが一般的です。
「秋色の候」もその例に漏れず、正しい読み方は「しゅうしょくのこう」となります。
秋色の候の意味
「秋色」とは、その字が示す通り、秋の季節に見られる美しい自然の色合いを指します。
紅葉した木々、澄んだ青空、黄金色の田畑など、秋ならではの景色が目に浮かぶでしょう。
「候」には、時期や時候という意味がありますので、「秋色の候」という表現は、「秋らしい景色が広がる季節になりましたね」という意味を持ちます。
秋色の候の正しい使い方は?
秋らしい景色と言えば、黄色く色づいたイチョウ並木を思い浮かべる方は多いでしょう。
特にイチョウの鮮やかな黄色は秋の象徴とも言えます。この美しい光景を楽しむ時期について、もう少し詳しく見てみましょう。
イチョウが紅葉する時期は地域によって異なります。関東近郊や西日本では、一般的に11月下旬から12月にかけてが見ごろとなります。
例えば、東京都内の有名なイチョウ並木である明治神宮外苑では、毎年11月末から12月初旬にかけて黄金色のトンネルが現れ、多くの観光客が訪れます。
このような背景から、「秋色の候」という表現を使う時期について考えると、11月下旬から12月初旬が適しているように感じるかもしれません。
しかし、ここで注意が必要です。
毎年11月7日頃には、二十四節気の一つである立冬が訪れます。
立冬は冬の始まりを意味し、旧暦ではこの日から季節は冬となります。
したがって、暦の上では11月7日以降は冬に分類されるのです。
現在の新暦では、確かに11月はまだ秋の季節ですが、伝統的な暦に基づく表現では、立冬を過ぎた後に「秋色の候」を使うのは適切ではありません。
以下の表を参考にしてください。
時期 | 暦の分類 | 表現の使用例 |
---|---|---|
11月6日まで | 秋 | 秋色の候 |
11月7日(立冬)以降 | 冬 | 初冬の候、冬支度の頃 |
このように、「秋色の候」を使う場合は、立冬以前の11月上旬までが適しています。
立冬以降は、「初冬の候」や「冬支度の頃」といった冬を意識した表現に切り替えることが大切です。
秋の深まりとともに、季節の移ろいを感じながら、適切な言葉を選んで表現することで、より豊かなコミュニケーションが生まれることでしょう。
ぜひ、この知識を活用して、季節の挨拶を楽しんでみてください。
時候の挨拶を使った具体的な書き方(基本文例)
文例をご紹介しますが、基本的な構成が決まっていますので、まずは基本形をどうぞ。
項目 | 内容 |
---|---|
1.頭語 | 拝啓 |
2.時候の挨拶・書き出し | 〇〇の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 |
3.本文・用件 | 本文の内容はここに記入します。手紙を書こうと思った気持ちを思い出しながら、筆を進めてください。 |
4.結びの言葉 | 〇〇の季節も過ぎましたが、御社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 |
5.結語 | 敬具 |
6.日付 | 令和〇〇年〇月〇〇日 |
7.送り主 | 秋色太郎 |
8.宛先 | 〇〇〇〇様 |
ポイント:
- 頭語と結語は決まり文句です。これらはそのまま使用します。
- 時候の挨拶では、季節感を出すことが大切です。季節に合った挨拶を選び、天候や気候に言及して具体的な情景を思い浮かべられるようにします。また、相手の健康を気遣う言葉を加えることで、相手への思いやりを表現します。
- 句読点やスペースを適切に使い、読みやすい文章を心掛けます。
- 親しい友人に対しても、基本的な形式を押さえつつ、個人的なメッセージを加えることで、温かみのある手紙を作成できます。
秋色の候を使った例文
社会人になって身に着けるマナーの一つに時候の挨拶がありますが、最初はどのように書いてよいのか悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。
そこでここでは、秋色の候を使った例文をいくつかご紹介します。
秋色の候をビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのパターンに分け、それぞれ例文を掲載しているので、手紙やはがきなどを送る相手に合わせて参考にしてみて下さい。
ビジネスで使う場合
- 拝啓 秋色の候、貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。
- 謹啓 秋色の候、貴殿におかれましてはますますご清栄のことと拝察いたします。
- 拝復 秋色の候、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。
- 敬具 秋色の候、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
- 前略 秋色の候、貴社ますますご隆盛の段、慶賀の至りに存じます。
目上の人に使う場合
親しい人に使う場合
なお、親しい人に送る手紙やはがきなどでは、必ずしも秋色の候を使う必要はありません。
秋色の候などの〇〇の候という形は、時候の挨拶の漢語調と言って、それ自体は丁寧な表現になります。
ビジネス関係者や目上の人に使うのはよいのですが、親しい人に使うとよそよそしさを感じてしまうこともあるようです。
親しい人に使うなら、「秋らしい景色が見られる過ごしやすい時期になりましたね」のような書き方でよいでしょう。
秋色の候の結び文
結び文とは文章の締めくくりに書く文です。
結び文には季節に関係なく使える定型文がありますが、時候の挨拶の季節感に合わせた結び文にすると、文章全体に統一感が出るのでおすすめですよ。
秋色の候を時候の挨拶に使った文章なら、秋の天気やイベントなどを盛り込んだ結び文がよいでしょう。
ここでは、秋色の候の結び文の例文をご紹介します。
- 秋の深まりとともに、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。紅葉の美しい季節、どうぞご自愛ください。敬具
- 実りの秋を迎え、貴社のますますのご発展を願っております。爽やかな秋風とともに、この書面をお届けいたします。草々
- 秋の夜長にふさわしい読書の季節となりました。皆様におかれましては、充実したひとときをお過ごしください。謹言
- 秋の味覚が豊かな季節となりました。皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。敬白
- 澄み切った秋空のように、貴社の未来が明るく輝かんことを願っております。秋の気配とともに、ご挨拶申し上げます。頓首
秋色の候を使うときに注意すること
秋色の候は、季節の挨拶の中でも特に丁寧な表現です。
しかし、ビジネス関係者や目上の方に対して用いる場合には、それだけでは不十分となります。
ここでは、より具体的かつ専門的な使い方についてご説明いたします。
頭語をつける重要性
ビジネス関係者や目上の方に「秋色の候」を使用する際は、必ず頭語を添えるようにしましょう。
頭語は、文章の冒頭に置かれ、その後の本文に敬意を持たせる役割を果たします。
頭語としてよく使われるものには、「謹啓」と「拝啓」があります。
頭語 | 意味 |
---|---|
謹啓 | 謹んで申し上げます |
拝啓 | 申し上げます |
これらの頭語を用いることで、相手に対する敬意を示すことができます。
特に、「謹啓」は非常に丁寧な表現であり、重要な場面での使用に適しています。
頭語と結語のセット
頭語には必ず結語が対となっており、これによって文章が締めくくられます。
具体的には以下のような対応関係があります。
頭語 | 結語 |
---|---|
謹啓 | 謹言、謹白 |
拝啓 | 敬具、敬白 |
結語は、文章の最後に挿入することで、礼儀正しい印象を与えます。
例えば、「謹啓」の場合は「謹言」もしくは「謹白」を使用し、「拝啓」の場合は「敬具」または「敬白」を用います。
前略の使用について
「前略」という頭語も時折見かけますが、これは「前文を略する」という意味を持ち、ビジネスや目上の方に対する挨拶文としては適していません。
正式な場面では避けるようにしましょう。
女性による結語の使用
なお、女性が頭語を用いる場合、結語として「かしこ」を用いることも可能です。
ただし、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の方に対しては避けるのが望ましいでしょう。
頭語 | 女性用結語 |
---|---|
すべて | かしこ |
秋色の候以外の9月の時候の挨拶はある?
秋色の候は秋が半ばに入り、秋らしい天候が続く時期に使える時候の挨拶になります。
夏の暑さが残る9月上旬や中旬には使えないため、9月上旬や中旬に使える時候の挨拶が知りたいという方はおおいでしょう。
そこでここでは、秋雨の候以外に9月に使える時候の挨拶をご紹介します。
涼風の候
8月下旬から9月上旬に使える時候の挨拶です。
涼風の候には「秋めいた涼しい風が吹く時期になりましたね」という意味があるため、秋の半ばや終わりには使えません。
初秋の時期となる9月上旬まで使える時候の挨になりますよ。
爽秋の候
9月上旬から中旬に使える時候の挨拶です。
爽秋の候は「爽やかな秋の時期になりましたね」という意味なので、使いやすい時候の挨拶です。
秋分の候
9月22日頃から10月7日頃まで使える時候の挨拶です。
昼と夜の長さがほぼ同じになる秋分の日から(二十四節気の秋分)次の節気の寒露まで使える時候の挨拶になります。
仲秋の候
9月7日頃から10月7日頃まで使える時候の挨拶です。
旧暦の秋の半ばという意味がある仲秋は、二十四節気の白露から寒露までの期間が該当します。
二十四節気の名称であることや、天候に触れていないことなどから、使いやすい時候の挨拶と言えるでしょう。
秋雨の候
9月下旬から10月上旬に使える時候の挨拶です。
秋雨とは9~10月に降る秋雨前線による秋の長雨を指すため、秋雨の候を使う場合は上記の期間がよいとされています。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
まとめ
秋色の候は9月21日頃から11月7日頃まで使える時候の挨拶です。
長い期間使えるので覚えておくと便利ですよね。
なお、毎年11月7日頃には二十四節気の立冬を迎えて暦の上では冬となります。
立冬を過ぎると、紅葉が見ごろとなっていても秋色の候を使うことができません。
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