針供養とは?2024年はいつ?豆腐やこんにゃくを使う理由は?
使えなくなった針を供養する儀式である針供養ですが、昨今の日本はそもそも編み物を一切しないという方も多くなり、針供養そのものを知らないという人も増えてきています。
今回は忘れられつつある針供養とはどのようなものなのか、わかりやすく伝えるために意味や由来を徹底的に調べ上げ、皆さんにお届けしてまいります。
針供養と農業の関係性にも注目です。
針供養とは?由来は?
針供養とは「折れ曲がってしまったり、錆びてしまった針を供養すること」です。
この供養によって裁縫の上達を祈る行事でもあります。
そのため、この供養はお寺や神社で行われることが多く今でも東京の浅草寺や京都の法輪寺では行っているようです。
この針供養は中国から伝わったとされていますが、具体的にいつ伝わったのかは不明ですが、清和天皇が針供養の堂を法輪寺に建立されたという情報もあるので9世紀後半の日本にはこの風習があったと思われます。
ただし、この針供養という概念は一部の方々のみが行っていたという情報もあり、本格的に広まったのは鉄の針が大量生産されるようになってかつ和歌山の淡島信仰と結びついた江戸時代中期以降とのことです。
また、東北地方の一部では姑に針山の針を盗んだという無実の罪を着せられて身投げしてしまったお嫁さんを供養するために行われていたという情報もありますので、地方によっては由来も変わっていると考えたほうがいいでしょう。
針を供養するという考え方は地方独自においてもあったようで、この広まった針供養とミックスされることで地方独自の針供養になっているところも多々あるのです。
具体的には、使えなくなった針を土の中に埋めるとか、豆腐に差し込んで神棚にあげて拝むとか地方によってやり方が異なっているので、この違いもポイントとなっています。
「針供養」針仕事を休んで古針や折れ針を供養し,裁縫の上達を祈る女性の行事。 pic.twitter.com/vzw511z7ze
— 美しい日本 (@utsukushi_japan) December 1, 2024
針供養2024年はいつ?
毎年、針供養を行うタイミングは2月8日か12月8日の2択であり、これは十干十二支などで動くものではありません。
つまり、いつでもこのどちらかで針供養が行われるということです。
関西や九州では12月8日に行われるところが多く、東海や東北では2月8日に行われるところが多いといわれております。
2月8日や12月8日とは何の日?
この2月8日や12月8日というのは、日本の年中行事である事八日が該当する日です。
別名八日節供・八日待・事始め/事納め・節供始め/節供納めなどいろんな呼び方があるのですが、何らかのイベントをする日でもあり仕事を休んで家で静養する日でもあります。
地方によっては一つ目小僧や箕借り婆といった妖怪や悪神が家を訪れて害をなす日ともいわれており、厄除けとしてハリセンボンや唐辛子や目籠を飾るところもあるようです。
ただし、一部の地域では「物忌みの日」ではなく、恵比寿様や薬師如来といった神様仏様が山から下りてきて訪ねてくれる日として扱われておりまるで正反対な状態にあります。
こちらの風習があるという人は厄除けではなくこれらの神様仏様を歓迎するための赤飯・餅・団子などをお供えするようです。
このように考え方や風習が点でバラバラなので、非常に判断が難しい日でもあります。
東京では正月準備を始めるという意味で12月8日が「事始め」となり、2月8日が正月行事の終わりとする「事納め」とされていますが、他の地方では2月8日が農作業を始める日として「事始め」となって12月8日が農作業が終わる「事納め」とするとのです。
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どちらにしろ、事八日の日は農作業や裁縫も休みとする日なのでその日が針仕事もお休みして供養する日となったのでしょう。
針供養のやり方について
針供養のやり方は地方独自のルールに基づいて行われるのではっきりと言えません。
目的の「使えなくなった針の供養によって裁縫技術の向上を願う」というのは共通となっているのですが、そのやり方は見事にバラバラです。
一般的には「豆腐やこんにゃくに針を刺す」というやり方になるのですが、それを川や海に流すというところもあれば、針を地中に埋めるというところもありますので参加する予定がある方はどのようなやり方をしているのかチェックしたほうがいいでしょう。
富山県や石川県では針供養には針に触れないという風習があるようで、饅頭や大福を食べたり知人に贈るというのがこの針供養のやり方になっているようです。
本当にやりかたがかなりわかれていますので、参加予定の方は絶対に調べてから参加してください。
針供養で豆腐やこんにゃくを使う理由
針供養は豆腐やこんにゃくといった柔らかいものに刺すというやり方が一般的です。
この理由は「いつも硬いものばかりに刺しているから最後は柔らかいものに刺して休ませる」というもので、針に対する供養の気持ちの表れだと思ってください。
ただし、先ほど記載したようにこの針供養のやり方は地方によってかなり異なっていますので、こんにゃくや豆腐を使わないところもあるのは忘れないようにしてください。
針供養はどこでやるの?
基本的には寺社仏閣で行われますが、今ではかなりマイナーな風習になっていますので針供養というイベントをやっているところも少なくなっています。
有名どころでは祭神が「少彦名命」の浅草寺、人形供養で有名な和歌山県の淡嶋神社、京都の法輪寺あたりでしょうか。
他にも各地の寺社仏閣で針供養は行われているようなので、針供養のイベントに参加したいという方はそばの寺社仏閣で行われるのかのチェックをしてみてください。
もしかして針供養という文化は消える?
昔と比べるとはるかに裁縫をする人は減っているので、針供養という文化がなくなりつつあるのは事実です。
それでも100%ゼロになることはないでしょう。
この文化は人々が裁縫をしないゆえに薄れてはいますが、裁縫を行う業界、つまり服飾に関わる企業や洋服関係の教育機関ではしっかりと残っているようです。
大衆にとってなじみのある文化ではなくなっているのは事実ですが、一部の業界では今でもはっきりと残っている文化となっていますので、100%なくなるということはありえないと思います。
針供養と農業の関係について
農業と針供養は関係ないように見えますが、ちょっとした関係性があるようです。
昔は裁縫技術はかなり重要であり、農作業と同じく大事な仕事の一環だったのですが、この裁縫と農業の節目が12月8日と2月8日の事八日であり、農作業も針仕事も休む日とされていたようです。
針供養とは裁縫仕事が昔ながらの大切なものとして扱われていた証でもあり、農作業に匹敵するぐらいのポジションにいたといえると思います。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は針供養についての情報をまとめました。
今では裁縫をする人は減りましたが、針供養のイベントは寺社仏閣で残っていますし服飾業界ではきちんと受け継がれているのが確認されています。
ただし、針供養の由来やイベントそのものが地方によってかなり異なっていますので、参加してみたいという人は自分たちが住んでいる地域ではどのようなルールになっているのか、いつあるのかも調べたほうがいいでしょう。
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