季節によって違う雨の名前と種類!
雨が降ると、通勤通学に支障が出たり、洗濯物が干せない、外出が減る、傘を持ち歩くのが面倒など、何かとネガティブな気持ちになることが多いですよね。
雨が降るとどこかで自分の代わりに誰かが泣いている・・なんて歌もあった気がします。
とにかく、なんとなく淋しい気持ちになってしまうのが雨ではないでしょうか。
しかし、雨は生活する上では欠かせない貴重な水源です。
特に昔は水を溜めておくには限界があったため、農家の方々にとってはまさに恵みの雨だったと言えます。
そんな雨には、実はいくつも名前や種類があることをご存知でしたか?
また、季節によって呼び名が違う場合もあるのです。
そこで今回は、知っているようであまり知られていない、雨の様々な種類や名前について調べてみました。
日本人と雨の関係
日本は温帯湿潤気候(もしくは冷帯湿潤気候)に属し、世界的に見ても降水量が多いことで知られています。
そのため、古来よりに日本人にとって雨はとても身近なものであったと言えます。
雨は農作物にとって恵みである一方、生活上では不便を強いられることも多く、厄介な存在であったと言えますが、そのような中、日本人は季節や降り方によって微妙に異なる雨に様々な名前を付け、その変化を感じ取っていたと言われています。
一説には、日本で呼ばれている雨の名前は400にも及ぶと言われていることから、いかに先人が雨を細かく観察、そして分類していたかがよくわかりますよね。
今回はそんな雨の種類や名前を、季節ごとに詳しくご紹介したいと思います。
春の雨の種類と名前
入学式や入社式など、気分を新たに生活を始める人が多い春は、雨が降ると気持ちが下がってしまいがちですよね。
春は一時的に雨が降って、後に良い天気が続くというよりも、降ったり止んだりを繰り返す場合が多く、古くからその様子にちなんだ雨の呼び名が多くあります。
桜雨(さくらあめ)
桜が咲く時期、3月下旬から4月上旬にかけて降る雨のこと。
春時雨(はるしぐれ)
春の時期に降る雨の中でも、降ったり止んだりを繰り返す雨のことを言います。
花時雨(はなしぐれ)
桜の時期に降る時雨のことを言います。
時雨とは降ったり止んだりを繰り返す雨のことを言います。
春霖(しゅんりん)
天気がぐずつきやすい時期(3月から4月)に降る雨のことを言います。
春の長雨はこの時期の雨のことを指しています。
菜種梅雨(なたねづゆ)
3月下旬から4月上旬にかけて、関東より西の地方での天気のくずつきを言います。
春雨(はるさめ)
3月下旬から4月にかけて、しとしとと降る雨のことを言います。
梅雨の雨の種類と名前
梅雨が明けたら暑い夏がやってくるという人々の思いは、今も昔も変わらないのかも知れません。
梅雨を表す雨の名前は多数ありますが、いくつかをここでご紹介したいと思います。
五月雨
梅雨を指す言葉。
旧暦の5月に降ることから五月の雨と書いて「さみだれ」と読みます。
入梅
梅雨に入ることを指す言葉。
梅雨は梅の実が熟す時に降り始めると言われていることから、このように言われています。
走り梅雨、迎え梅雨
5月の中旬から下旬にかけての、ぐずついた天気を表す言葉。
送り梅雨
梅雨が明ける頃に降る雨の呼び名です。
戻り梅雨
梅雨が明けた後に、再び降り続く雨のことを言います。
卯の花腐し
旧暦の4月から5月にかけて降る雨のことを言います。
旧暦では4月は卯月と表します。
夏の雨の種類と名前
夏は、それまで快晴だったのが突然猛烈な雨に襲われるイメージが強い時期ではないでしょうか。
ちなみに、よく使われる「夕立」は、夏に降る雨の呼び名です。
この他にも、日本古来の伝説にちなんだ雨の名前も存在します。
その日に降った雨は、もしかしたら天から降り注ぐ涙かも知れないなんて、ちょっとロマンチックな気持ちになりますよね。
夕立
夏の夕方に降る激しい雨のことを言います。
翆雨(すいう)・緑雨
初夏に降る雨のことを言います。
木々や青葉を艶やかに見せることから、このように呼ばれています。
半夏雨
夏至から11日後の半夏生に降る雨のことを言います。
洗車雨
7月6日に降る雨のことを言います。
七夕伝説の織姫と彦星が会うために乗る牛車を洗う水を雨になぞらえて表現しているものです。
酒涙雨(さいるいう)
7月7日に降る雨のことを言います。
七夕で再会した織姫と彦星が再び離れてしまう時に流す涙に例えたものや、会えなかった悲しみで流す涙に例えたとされています。
秋雨の種類と名前
気温が安定している時期なので外へ出かけたい気持ちを家の中で抑えているのも、なかなか根気がいりますよね。
しかし、秋の長雨が過ぎると季節は本格的に冬へと移行します。
このように、雨は季節の節目に降ることも多く、一雨ごとに次の季節へと近づいていきます。
秋雨
8月下旬から10月にかけて降り続く長雨のことを言います。
秋入梅
秋の長雨に入る時期のことを言います。
冬の雨の種類と名前
気温がマイナスになると雨は雪に変わりますが、その手前では雪になる寸前の冷たい氷のような雨が降ることがありますよね。
冬の雨は、時に雪よりも冷たく厳しいものです。
しっかりと防寒をして冬の雨に備えましょう。
時雨
秋の終わりから冬の始まりの時期にかけて降るにわか雨のことを言います。
ずっと降り続くのではなく、ざーっと降ってぴたっと止む雨を指しています。
山茶花梅雨(さざんかづゆ)
山茶花が咲く11月下旬から12月上旬に降る雨のことを言います。
氷雨
晩秋から初冬にかけて降る、氷が混じった冷たい雨のことを言います。
凍雨
氷が雨のように降ることを言います。
雪が雨に変わる時によく見られると言われています。
村時雨
ひとしきり強く降って通り過ぎていく雨のことを言います。
冬雨・寒雨
冬の時期に降る冷たい雨のことを言います。
番外編:恵みの雨の種類と名前
雨には外出が不便になる、洗濯や買い物などの家事ができないといった、悪いイメージを持つ方も多いですが、一方で雨が降らないと農作物の成長に影響が出てしまうことになります。
特に夏の暑い時期は、日照りによる植物や穀物のダメージが懸念されることから、雨は私達にとっても恵みであると言えるでしょう。
ここでは、恵みの雨に関する名前をご紹介したいと思います。
穀雨
種まきや田植えの時期に降る雨のことを言います。
穀雨は二十四節気の一つにも数えられ、この時期に降る雨は「百穀春雨」とも呼ばれ、穀物に恵みをもたらすと昔から言われており、古来は穀雨に合わせて農作業を開始していたと言われています。
瑞雨
夏の時期に穀物の成長を助ける雨のことを言います。
甘雨(かんう)
タイミングのよい時期に降り、植物や穀物などに潤いを与えて、成長を促す雨のことを言います。
喜雨
夏に日照りが続いている時に降る雨のことを言います。
慈雨
日照りが続いている時に降る雨のことを言います。
植物や穀物を潤し、成長させる雨を指しています。
まとめ
雨には降る季節や降り方によって様々な名前があることがわかりました。
これらを全て区別することは難しいですが、名前があることを知るだけでも、雨をこれよりもずっと身近に感じるのではないでしょうか。
日本は他の国に比べ、降水量が2倍近くも多い、言わば雨大国。
雨を避けずには暮らしていけないのであれば、少しでも明るい気持ちで迎えられるといいですよね。
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