入梅の読み方と意味や由来!2023年はいつ?
6月は梅雨の時期。
カレンダーを見てみると、“入梅”と書いてあることから、この日くらいに梅雨に入るという意味なのかなと思ってしまいますが、入梅と梅雨入りは似て非なるもの。
そこで今回は、入梅について調べてみました。
入梅の意味や由来はもちろんのこと、以外と読めない人も多いので読み方や、入梅の候の使い方などもご紹介したいと思います。
2023年の入梅はいつ?
2023年は、6月11日(日)です。
この日からおよそ30日間(7月10日頃まで)が梅雨の時期ということになります。
入梅は、元々は二十四節気の「芒種」が過ぎてから最初に訪れる壬(みずのえ)の日とされていましたが、現在は太陽黄経が80度になる日を入梅としています。
入梅とは?意味や由来!
入梅は雑節の一つで、「にゅうばい」と読みます。
雑節については後に詳しくご紹介していますが、雑節は知らなくても節分や彼岸なら知っているという方は多いのではないかと思います。
節分も彼岸も雑節の一種なので、入梅とは仲間と言うことになります。
入梅には、梅の実が熟す時期、梅雨に入る時期という意味があります。
昔は暦の上の入梅を知ることで、梅雨に入るおおよその時期を見極め、農作業の目安にしていたと言われています。
入梅の意味や由来
入梅を始め、節分や彼岸などの雑節は、二十四節気、七十二候と同じ季節を表す名称となっています。
昔は、現在のような太陽暦(地球が太陽を一周する期間を一年とするもの)ではなく、太陰暦(月の満ち欠けによって一年を決めるもの)が使われていたので、一ヵ月が29.5日と今よりも短く、一年も355日となっていました。
そのため、一年、二年と積み重なるとどんどんと季節とのズレが生じてしまっていたことから、このズレを修正するために二十四節気や七十二候が作られたのです。
二十四節気は、太陽の見かけ上の通り道(黄道)を24等分にし、それぞれの角度に入る時に季節に合わせた名称を付けた物です。
例えば、太陽黄経が315度の立春は春の始まりとされています。
よくテレビのニュースなどで、まだまだ外は寒いのに「暦の上では春です」と聞くのは、立春のことを指しています。
このように、太陽黄経によって季節をよりわかりやすくしたものが二十四節気なのですが、発祥が中国のため、日本の気候とはそもそも合わない部分も多くあります。
それに対し、雑節は日本独自の気候に合わせて考えられたものとなっているので、二十四節気を補う形でより季節感を正確に掴むために用いられてきました。
中でも、梅雨がいつくらいに始まるのかは、農業に従事している人にとってはとても重要な情報と言えるため、雑節の入梅によっておおよその目安を知ることで、種まきや田植えの時期を見極めていたと言われています。
「入梅」と「梅雨入り」の違いは何?
入梅が梅雨入りを表す言葉であれば、梅雨入りと意味は同じということになりますよね。
しかしこの2つは、似て非なるものとして考えられています。
その理由は、入梅はあくまでも雑節において、梅雨入りが予想される日(この日辺りから梅雨になるだろうと考えられる日)を、太陽黄経より導き出したもの。
一方の梅雨入りは、気象庁が気象データに基づいて発表するものです。
例え、カレンダーの6月10日のところに入梅と書いていても、必ずその日に梅雨になるわけではありませんが、梅雨入りの場合は「今日から梅雨入り」したことが明確です。
ただし、梅雨入りの判定自体は細かい気象条件があるわけではなく、毎日雨や曇りの日が続き、その後も雨が多い日が予想された時に発表となることが多いようです。
そのため、梅雨入りと発表になった後に、天気予報が外れて晴れになることもあります。
「入梅の候」とは?読み方は?意味は何?
入梅の候は、手紙やはがきを書く際に時候の挨拶に使う言葉です。
時候の挨拶とは、天候などに応じた季節感や心情を表す言葉で、拝啓などの頭語の後に続ける文章となります。
友達などに気軽に出す手紙やはがきには使うことは少ないかも知れませんが、ビジネスシーンでは時候の挨拶が必要不可欠となるケースが多くあります。
いざ使う時になって、よくわからない・・となってしまう前に、常識として覚えておくのがよいですよね。
なお、入梅の候に関しては、北海道在住の方に送る場合は使用はできません。
なぜなら、北海道には梅雨がないと言われているからです。
そのため、北海道に本社がある取引先や恩師などに手紙やはがきを送る時は、例え入梅の時期であっても入梅の候を使わないようにしましょう。
入梅の時期に使える時候の挨拶には、「初夏の候」や「梅雨の候」「長雨の候」などがあります。
入梅の候の時期はいつからいつまで使えるの?
時候の挨拶は、入梅の候だけではなく、二十四節気の節気ごとに存在します。
そして、節気の期間に伴って使用する事項の挨拶が変わります。
例えば、2023年の立春は2月3日、次の雨水が2月19日となっているのですが、立春の候は立春となる2月3日から雨水となる前日までの2月18日まで、雨水の候は2月19日から次の節気である啓蟄が3月6日なので、3月4日まで使うことができます。
ただし入梅の場合、二十四節気のように次の節気があるわけではありません。
そのため、明確にいつからいつまで使えるという期間が決まってはいません。
また、入梅に対して梅雨が明けることを「出梅(しゅつばい)」と言います。
出梅は夏至の後の最初の庚(かのえ)の日と言われていますが、入梅の候は出梅の頃まで使用できません。
なぜなら、入梅には梅雨の入る時期という意味があるからです。
このようなことから、入梅の候は一般的に 6月の上旬から中旬頃まで使える時候の挨拶となっています。
「入梅の候」の使い方を事例を踏まえて教えて!
入梅の候を使った、手紙やはがきの書き方をご紹介したいと思います。
入梅の候に限らず、時候の挨拶を使う場合には、基本的には「頭語」+「時候の挨拶」+「健康などを気遣う言葉」がセットになります。
頭語は拝啓や謹啓などの言葉で、これらを使う場合は最後は必ず結語(敬具、かしこなど)を使うのも忘れずにしましょう。
それでは、入梅の候を使った例文をご紹介します。
●拝啓 入梅の候、貴社におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
●拝啓 入梅の候、皆様方は益々ご活躍の事と存じ上げ申します。
●拝啓 入梅の候、ぐずついた天気が続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか。
また、入梅の候ではありませんが、入梅の時期にも関わらず梅雨になっていない時は、「入梅とは言うものの、天候に恵まれ、今年は空梅雨になりそうですがいかがお過ごしですか?」のような使い方もできます。
まとめ
入梅は雑節の一つで、にゅうばいと読みます。
意味は梅雨に入る時期を出す言葉となりますが、梅雨入りとは意味合いが異なります。
入梅は、その昔、農作業をしている方にとって梅雨の時期の目安となっていたもので、その日から梅雨になるわけではありません。
実際の梅雨入りは気象庁の発表によるものになるため、間違えないようにしましょう。
また、手紙やはがきに使う時候の挨拶に「入梅の候」がありますが、この文言が使えるのは6月上旬から中旬までとなっており、梅雨のない北海道の人へ送ることはできないので注意して下さい。
コメント