穀雨の意味や由来と読み方や旬な食べ物と季節の花や風習!
季節感のズレを修正するために、旧暦が使われていた時代に中国で誕生した二十四節気。
その風習は日本にも伝わり、天候に作業が左右されやすい農作業に携わる方にとっては、季節を読む手段として欠かせないものとなりました。
新暦の現在では日付と季節感にズレを感じることはないため、二十四節気によって季節を読むことはなくなりましたが、「暦の上では春」「今日は大寒」などのように、二十四節気による季節の到来を感じることは少なくありません。
そのような中、あまり聞き慣れないのが穀雨ではないでしょうか。
穀雨とはどの季節を指す名称なのか、意味や由来について調べてみるとともに、2024年の穀雨はいつなのかについてもお答えします。
穀雨の意味は?
穀雨とは、「種まきや田植えの時期に降る雨」という意味があります。
農作物が育つには雨は欠かすことができません。
そのため、穀雨の時期を目安に種まきや田植えの作業を開始していたと言われています。
穀雨に降る雨は『百穀春雨(ひゃっこくはるさめ)』とも言われ、農作物にとって恵みとなります。
暦便覧(太玄斎こと常陸宍戸藩の第5代藩主、松平頼救が刊行した書籍)には、「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記載されており、この時期に降る雨がいかに重要と思われていたかを物語っています。
穀雨の読み方
穀は穀物、雨は梅雨などでよく見かけるので、そのまま読めばOKというわけです。
このように、二十四節気には読み方は素直なものもあれば、一見すると読めない難解なものもあります。
しかし、二十四節気は中国が発祥の上、漢字を使った季節の表現のため、日本人にとっては比較的馴染みがあり、意味も通りやすいものが多いでしょう。
2024年の穀雨はいつ?
2024年の穀雨は4月19日(金)です。
日付は毎年変わります。
変わると言っても一週間、二週間変わるわけではなく、穀雨の場合はおおよそ4月19~20日と思ってよいでしょう。
なお、二十四節気は新しい節気になってから、次の節気までの期間を指すこともあります。
穀雨であれば、次の節気は夏の始まりとなる立夏です。
2024年の立夏は5月5日なので、穀雨は4月19日から5月4日までと言うこともできます。
ちなみに、二十四節気は節気ごとに15日で区切っているので、期間としては穀雨も15日間になります。
穀雨の旬な食べ物
春らしさを感じる食べ物には様々なものがありますが、筍が出回るようになり、筍ご飯が食卓にのぼると「春がきた」と実感する方は多いのではないでしょうか。
筍の旬は3~5月となっており、まさに降雨の時期の旬な食べ物になります。
筍以外にも、ホタルイカやシラスと言った海産物も、穀雨の時期に旬を迎える食べ物です。
この他に、アスパラガスやいちごなど、4~5月にかけては山菜、野菜、果物、魚と数多くの食材がスーパーに並びます。
穀雨の季節の花
チューリップは種類によって見ごろとなる時期が異なりますが、主に4~5月の穀雨に旬を迎えます。
愛らしいチューリップは春というよりも初夏のイメージが強いですが、穀雨の次の節気は夏の始まりを意味する立夏のため、チューリップは春から夏へと季節が変わる穀雨の時期の花になります。
また、チューリップ以外ではヨモギも穀雨の時期を代表する植物です。
ヨモギは古くから薬草として用いられていますが、草餅の原料として有名ですよね。
さらに、道端などでよく見かけるレンゲソウも穀雨に咲く花の一種です。
レンゲソウは田んぼに植えられているのを見かけたことがあると思いますが、それは土の肥料とするためです。
稲を植え付ける前の田んぼにレンゲソウを作っておくと、根粒菌が土の中の窒素を植物の養分に変える働きがあり、結果として土の飼料が増えると言われています。(緑肥と言います)
穀雨の主な風習
穀雨には昔から行われている風習は特にないのですが、ヨモギが旬を迎える時期のため、和菓子屋さんではヨモギ餅を穀雨の和菓子として販売するところも多いようです。
ヨモギは道端などに自生している雑草で、昔は自分で採ってヨモギ餅を作る家も多かったようですが、手間なく旬を味わいたいならぜひ和菓子屋で購入してみてはいかがでしょうか。
また、後述していますが、穀雨には新茶も出回ります。
新茶と旬のヨモギを使ったヨモギ餅の組み合わせは、穀雨ならではの組み合わせとも言えます。
穀雨と八十八夜の関係
雑節は中国から伝わった二十四節気とは異なり、日本で生まれた独自の暦日です。
二十四節気は中国の黄河中域が発祥の暦で、日本とは気候や季節が少し違うため、農作業の目安として取り入れるには不十分な部分も多かったと言われています。
雑節は二十四節気を補う形で、日本の天候に合った暦を入れたものになります。
八十八夜は、二十四節気の立春から数えて88日目を指す名称になります。
立春から88日目前後の5月上旬は、日に日に夏に近づく最中であるにも関わらず、忘れ霜と言って急に寒くなって霜が降りることがあります。
八十八夜はその注意喚起を促す農業にちなんだ名称となっていますが、それだけではなく、八、十、八という字を組み合わせると『米』になることから、豊作を願って農村部では様々な行事が行われていたと言われています。
また、八十八夜と言うと「夏も近づく八十八夜~♪」という歌い出しの童謡を思い出す方もいるかも知れません。
これは『茶摘み』という曲なのですが、八十八夜に摘まれた新茶は栄養価が高く、昔から不老不死の効果があるとしてとても大切に扱われていました。
今も、お茶の名産地では八十八夜に新茶にちなんだイベントや行事が数多く行われています。
穀雨と二十四節気との関係
二十四節気は、春の節気から始まり、1番目は立春です。
そこから、雨水、啓蟄、春分、清明と続き、春の最後の節気が穀雨となります。
穀雨が過ぎたら、次は夏の節気、立夏が始まります。
つまり穀雨は、暦の上で春から夏に変わる節目の節気ということになります。
このように、二十四節気は一年を24つにわけ、それぞれに季節にちなんだ名称をつけており、農作業の目安として使われていました。
穀雨の場合は、農作物にとって恵みの雨が降る時期なので、種まきや田植えをする上で欠かせないタイミングだったと言われています。
そのため、穀雨の時期に降る雨には「瑞雨(穀物の成長を助けるという意味)」や「催花雨(植物の成長を助け、開花を促す雨)」とも呼ばれています。
穀雨のまとめ
2024年の穀雨は4月19日です。
穀雨を始めとした節気は、次の節気までの期間を指すこともあり、その場合は穀雨は4月19日から5月4日までとなります。
穀雨には「種まきや田植えの時期に降る雨」という意味があり、この時期に降る雨は「瑞雨」や「催花雨」など、植物の成長に欠かせない恵みの雨となるため、農作業の開始の目安とされてきました。
なお、穀雨の期間の最後の方には、雑節の八十八夜があります。
八十八夜は立春から数えて88日目のことを言いますが、季節が春から夏へと近づく一方で、突然霜が降りて農作物に被害が及ぶ時期でもあります。
そのため、昔の人は八十八夜が近づいたら霜に注意をしながら作業をしていたと言われています。
なお、八十八夜に摘んだ新茶は不老不死の効果があるとされ、今もお茶の名産地では新茶のイベントが数多く開催されています。
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