夜長の候を使う時期や読み方、使い方と例文、結びについて解説しています。
「秋の夜長」という言葉があるように、夜長の候は秋に使える時候の挨拶になります。
ですが、秋と言っても9月なのか、10月なのか、11月なのかによっては、夜長の候が使えるタイミングが変わりますよね。
そこで今回は、夜長の候の使い方を詳しく調べてみました。
夜長の候を使う時期はいつからいつまで?
ただし、この期間については明確には決まっていません。
それは「夜長」について、どう捉えるかが人それぞれに違うからです。
そのため、夜長の候を使う期間については、次の「夜長の候の意味や読み方は?」と「夜長の候の正しい使い方」を読んでいただき、自分なりの解釈で使える時期を決める必要があるでしょう。
夜長の候の意味や読み方は?
時候の挨拶は音読みすることが多いのですが、夜長の候の場合は夜長を訓読みで、候のみ音読みで読み、「よながのこう」と読むのが正しい読み方になります。
夜長は読んで字のごとく、日没が早くなって昼の時間よりも夜の時間が長くなることを指す言葉です。
候には時期や時候などの意味があることから、夜長の候は「夜が長い時期になりましたね」という意味があります。
夜長の候の正しい使い方は?
毎年9月23日頃の秋分の日には昼と夜の長さがほぼ同じになり、以降は少しずつ昼よりも夜の時間が長くなります。
そのため、9月下旬になると「夜が長くなった」と感じる方は多いでしょう。
そして、夜が最も長くなるのが毎年12月22日頃の冬至で、夜の長さで言えば冬至の前後が最も長いということになりますよね。
このようなことから、夜長の候は9月下旬から12月中旬くらいまで使ってもよいのでは?と思う方は多いのではないかと思います。
しかし、旧暦では毎年11月7日頃に立冬を迎えます。
立冬は暦の上で冬となる日なので、秋の季語である夜長を使った時候の挨拶は使えないことになり、夜長の候が使えるのは、9月下旬から11月上旬までが妥当ということになります。
ですが、当サイトでは、夜長の候は10月上旬から中旬に使える時候の挨拶とご紹介していますよね。
9月下旬や11月上旬に使っても間違いではないのですが、秋の夜長を感じる時は、夏の名残のような暑さや冬の到来を思わせる寒さがない、10月がちょうどよい気がするのです。
先ほど「人それぞれ」としたのはこのような理由からなので、夜長の候を9月下旬や11月上旬に使っても問題はありません。
夜長の候を使った例文
夜長の候を使って手紙やはがきなどを送る場合に、書き出しに悩む方は多いですよね。
そこでここでは、夜長の候をビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのパターン別に、それぞれ例文をご紹介します。
ビジネスで使う場合
目上の人に使う場合
親しい人に使う場合
なお、親しい人には必ずしも夜長の候を使う必要はありません。
夜長の候のような〇〇の候は、時候の挨拶の中でも漢語調といい、丁寧な表現となります。
ビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきなどでは使うのがよいのですが、親しい人に使うと相手によっては堅苦しさやよそよそしさを感じてしまうこともあるようです。
親しい人には漢語調よりもカジュアルな口語調を使うとよいでしょう。
夜長の候を口語調にする場合は、「日に日に昼が短くなり、秋の夜長を実感する今日この頃ですね。お元気にしていますか。」のような書き方でよいでしょう。
夜長の候の結び文
結び文には季節に関係なく使える定型文がありますが、時候の挨拶の季節感に合わせた結び文にすると、文章全体に統一感が出ます。
夜長の候を時候の挨拶に使った文章なら、紅葉や行楽のシーズンについて触れたり、季節の変わり目となるので体調を気遣う結び文を入れるのがおすすめですよ。
ここでは、夜長の候の結び文の例文をご紹介します。
夜長の候を使うときに注意すること
夜長の候は時候の挨拶の中では丁寧な表現となりますが、ビジネス関係者や目上の人に使う場合には夜長の候の前に「謹啓」や「拝啓」などの頭語をつけるようにしましょう。
いきなり文章が夜長の候から入ってしまうのはマナー的にNGとなりますよ。
「謹啓」や「拝啓」には「謹んで申し上げます」という意味があり、相手に対する敬意が含まれています。
他にも頭語はありますが、ビジネス関係者や目上の人に使うのであればこの2つを覚えておくのがよいでしょう。
また、頭語には結語が対になっており、「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」、「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」と決まっています。
文章の書き出しに頭語をつけ、終わりに結語を入れましょう。
(結語の入れ方については、結び文の例文を参考にして下さい)
なお、女性のみですが、どの頭語でも結語に「かしこ」をつけることができます。
しかし、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の人に使うのは避けた方がよいでしょう。
夜長の候以外の10月の時候の挨拶はある?
手紙やはがきなどを送る相手の状況などを含めて、季節感のある時候の挨拶を使いたいですよね。
そこでここでは、夜長の候以外の10月の時候の挨拶をご紹介します。
菊花の候
菊花の候は10月上旬から11月上旬に使える時候の挨拶です。
菊のシーズンは6月から11月と長いですが、特に10~11月が見ごろを迎えます。
日本では『春は桜、秋は菊』と言われ、菊は秋を代表する花となっていますよ。
清秋の候
清秋の候は10月から11月上旬の立冬の前日まで使える時候の挨拶になります。
清秋とは秋の澄み渡った空を表す言葉です。
秋の空は空気が澄んでいて、高く見えますよね。
清秋の候には「高く澄んだ秋空が見られる時期になりましたね」という意味がありますよ。
秋冷の候
秋冷の候は9月下旬から10月中に使える時候の挨拶になります。
秋冷とは秋になって肌に感じる冷ややかさのこと。
秋冷の候には「秋が深まり、肌寒さを感じる時期になりましたね」という意味がありますよ。
紅葉の候
紅葉の候は10月上旬から11月上旬の立冬の前日まで使える時候の挨拶です。
ただし、紅葉のシーズンは地域によってかなり違うため、紅葉の候を使う時は手紙やはがきなどを送る相手の地域の状況に合わせるのがよいでしょう。
晩秋の候
晩秋の候は10月上旬から11月上旬まで使える時候の挨拶です。
晩秋とは旧暦で秋の終わりを指す言葉になります。
現代では11月中旬や下旬に秋の終わりを感じることが多いですが、旧暦の立冬(11月7日頃)を過ぎると暦の上では冬になるので、晩秋の候は使えません。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
まとめ
夜長の候は昼と夜の長さがほぼ同じとなる秋分の日以降、立冬(例年11月7日頃)まで使うことができます。
ですが、当サイトでは秋の深まりを実感し、穏やかな夜の時間を過ごしやすい10月上旬から中旬の使用をおすすめしました。
あくまでも当サイトの捉え方となっていますので、夜長の候を9月下旬に使っても間違いではありません。
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