暮秋の候を使う時期や読み方、使い方と例文、結びについて解説しています。
暮秋の候には秋という字が入っていますが、いつ使うのがよい時候の挨拶なのでしょうか。
時候の挨拶を使った文章はビジネス関係者や目上の人などに送ることが多いので、マナー違反がないように使いたいですよね。
そこで今回は、暮秋の候の使い方を調べてみました。
暮秋の候を使う時期はいつからいつまで?
一般的に上旬とは1日から10日までなので、暮秋の候は10月1日から11月10日まで使える時候の挨拶ということになりますね。
ですが、実際に暮秋の候を使うタイミングについては、やや慎重になるのがよいでしょう。
その理由については、「暮秋の候の正しい使い方」でご紹介します。
暮秋の候の意味や読み方は?
暮は『くれ』、秋は『あき』、候は『そうろう』と読んでしまいたくなりますが、時候の挨拶は音読みすることが多く、暮秋の候も「ぼしゅうのこう」と読むのが正しいです。
暮秋とは秋が暮れると書く通り、秋の終わりを意味する言葉です。
候には時期や時候などの意味があることから、暮秋の候とは「秋も終わりの時期になりましたね」という意味になりますよ。
暮秋の候の正しい使い方は?
暮秋の候は「秋も終わり時期になりましたね」という意味とわかりましたが、10月から11月にかけてはむしろ秋の始まりなのでは?と思う方が多いのではないかと思います。
時候の挨拶は旧暦(太陰暦)に作られ、秋の終わりは旧暦9月が該当します。
旧暦と新暦(現在の暦)には約1ヵ月の違いがあり、旧暦9月は新暦の10月となるので、10月から11月に暮秋の候を使うことは間違いにはなりません。
ただし、現在の10月上旬から中旬はまだ暑さが残る地域もあるので、暮秋の候を時候の挨拶として使うのはややふさわしくないという感じがあるでしょう。
10月下旬になると、多くの地域で気温が下がり始めるので、暮秋の候を使っても違和感は少ないのではないかと思います。
また、毎年11月7日頃には暦の上で冬となる立冬になります。
暮秋の候は秋に使う時候の挨拶なので、立冬を過ぎると使うことはできません。
このようなことから、暮秋の候は10月上旬から使える時候の挨拶となっているものの、季節感をすり合わせるなら10月下旬から立冬の前日(11月6日頃)まで使うのがよいでしょう。
暮秋の候を使った例文
暮秋の候を使った文章の書き出しに悩んでしまう方は多いようです。
普段使いの言葉ではないので、どのように書けばよいかよくわからないですよね。
そこでここでは、暮秋の候を使った例文をご紹介します。
手紙やはがきなどを送る相手によって書く内容は変わるので、暮秋の候をビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのパターン別にしています。
ビジネスで使う場合
目上の人に使う場合
親しい人に使う場合
なお、親しい人に使う場合は必ずしも暮秋の候を使う必要はありせん。
時候の挨拶には丁寧な表現である漢語調と、カジュアルな口語調があり、暮秋の候は漢語調になります。
漢語調を親しい人に使うと、相手との関係性によってはよそよそしさや堅苦しさを感じてしまうようです。
親しい人へは、漢語調よりもカジュアルな口語調を使ってもよいでしょう。
暮秋の候を口語調にするなら「秋も終わりの時期になりましたね」や「暮れ行く秋に寂しさを感じる時期ですね」のような書き方でよいでしょう。
暮秋の候の結び文
結び文には季節に関係なく使える定型文もありますが、時候の挨拶の季節感に合わせた結び文にすると、文章全体に統一感や締まりが出るのでおすすめですよ。
ただし、時候の挨拶と結び文には同じ内容となる言葉を入れるのはNGです。
見ごろとなる紅葉について触れたり、季節の変わり目に体調を気遣う文章がよいでしょう。
ここでは、暮秋の候を使った時の結び文の例文をご紹介します。
暮秋の候を使うときに注意すること
先ほど、時候の挨拶の中でも漢語調は丁寧な表現とお伝えしました。
そのため、文章の書き出しを暮秋の候にしてしまう方がいるのですが、実はそれではマナー違反となってしまいます。
特にビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきなどで、いきなり暮秋の候から書き出してしまうと、「常識のない人」と思われてしまいます。
そのため、必ず暮秋の候の前に頭語をつけようにしましょう。
頭語とは「こんにちは」の意味がある言葉なのですが、一般的によく使われるのは「謹啓」と「拝啓」になります。
これらには「謹んで申し上げます」という意味があり、相手への敬意を表すことができますよ。
また、文章の書き出しに頭語をつけたら、終わりは結語で締めるのもマナーになります。
頭語と結語は対になっており、「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」、「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」と決まっているので覚えておくのがよいでしょう。
なお、女性のみですが、どの頭語でも結語に「かしこ」をつけることができます。
ですが、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の人には使わないようにしましょう。
暮秋の候以外の10月の時候の挨拶はある?
暮秋の候は使える期間が長く、実際の天候にも左右されないため、使いやすい時候の挨拶と言えますが、より状況に合った時候の挨拶を使いたいと思う方もいますよね。
そこでここでは、暮秋の候以外に10月に使える時候の挨拶をご紹介します。
菊花の候
菊花の候は10月上旬から11月上旬に使える時候の挨拶です。
菊は6月から12月とシーズンが長い花なのですが、秋を代表する花となっています。
菊の種類などによっては地域で菊のシーズンが違うため、手紙やはがきなどを送る相手の地域の状況に合わせて使うのがよいでしょう。
清秋の候
清秋の候は10月から11月上旬の立冬の前日まで使える時候の挨拶になります。
清秋とは書いて字の如く、秋の清々しいさ、秋晴れの空を意味する言葉となっていますよ。
そのため、天候不良によって雨や曇りが続いている時は、あまり使わない方がよいでしょう。
夜長の候
夜長の候は10月上旬から中旬に使える時候の挨拶です。
夜長には、秋になると日が暮れるのが早くなって夜が長くなるという意味がありますよ。
紅葉の候
紅葉の候は10月上旬から11月上旬の立冬の前日まで使える時候の挨拶になります。
紅葉が始まる時期は地域によってかなり異なるため、手紙やはがきなどを送る相手の住んでいる地域の状況に合わせるのがよいでしょう。
なお、紅葉が見ごろを迎え、山の木々が一面赤や黄色の紅葉で彩られることを錦秋と言います。
錦秋にはまるで錦の織物のように紅葉が美しいという意味があり、紅葉の候と同時期に錦秋の候として使うこともできます。
晩秋の候
晩秋の候は10月上旬から11月上旬まで使える時候の挨拶です。
秋の終わりの時期という意味の晩秋は、暮秋の候と同様に二十四節気の寒露と霜降が該当します。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
まとめ
暮秋の候は10月上旬から11月上旬に使える時候の挨拶ですが、実際の季節感などを考慮するのであれば10月下旬から11月上旬に使うのがよいでしょう。
また、11月7日頃に立冬を迎えると暦の上では冬になるため、暮秋の候は使うことができません。
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