年の瀬とはいつからいつまで?その意味や使い方と語源や由来は?
一年の最後の月となる年の瀬12月。
昔は、お盆だけではなくお正月にも先祖の霊を供養していたことから、お坊さんがお経を上げるため西へ東へと走り回っていた様子から「師走」と呼ばれるようになったほど、忙しくなる時期ですよね。
また、大掃除を始めとしておせち料理の用意や、クリスマスのプレゼントなど、お金を使う機会も増えてきますが、12月に入ると周囲から聞こえ始めるのが「年の瀬」という言葉。
何となく雰囲気からして年末に近付く時期のこと、12月のこと、というのはわかるものの、年の瀬とはそもそもどのような意味があるのでしょうか。
また、12月になるとよく聞くようになりますが、年の瀬とはいつからいつまでを指すのでしょうか。
そこで今回は、年の瀬について調べてみました。
年の瀬の以外な意味や使い方についてもご紹介したいと思います。
年の瀬の意味は?
年の瀬には、年末や年の暮れ、という意味があります。
実際に「年の瀬が近づく」のように使用したことがある方も多いと思いますが、ではどうして「年末が近づく」や「年の暮れが近付く」ではなく、年の瀬と言うのでしょうか。
実は、年の瀬の〝瀬〟には、川の浅い箇所、流れの速い場所という意味があります。
船で通る際に急流や激流が行く手を阻む困難な場所を指しているのですが、この様子を「支払いがたまって困っている状態」や「支払いをすると食事や暖をすることができなくなる」ことになぞらえているのが、語源と言われています。
つまりは、単純に一年の末や暮れが近付いているというよりは、鬼気迫った状況を洗わす言葉が「年の瀬」なのです。
年の瀬の語源や由来は?
「年の瀬」という言葉は、江戸時代の「ツケ払い」に由来します。
商品を買う際、後払いで代金を支払う「掛け売り」が江戸時代には多く行われていました。そして「掛け売り」による「ツケ」の支払いは盆や年末にまとめて支払うのが多かったようです。
当時はこのツケの支払いにより生活が苦しくなり、食べ物さえも購入できないといった困難な状況に陥ってしまう人も大勢いました。
このような人たちにとって年末とは、生活が苦しくなり命も脅かされる時期となります。
「掛け売り」のツケをしっかり清算し、無事に年を越せるかどうか。必然的に慌ただしくなり、危機迫る時期を川の「瀬」にたとえ、「年の瀬」と言うようになったのです。
現在でも「ツケ払い」はありますが、当時は命がけの支払いでした。切迫した状況でバタバタとツケ払いに奔走したのが「年の瀬」だったのです。
年の瀬とはいつからいつまで?
年の瀬は、一般的には12月に入ると使われる言葉のようですが、中旬を過ぎたあたりからは特に「年の瀬」の意味を実感される方も多いことから、12月15日頃から挨拶文に「年の瀬」という言葉を入れる方が多いようです。
年の瀬の使い方
年の瀬という言葉は、年末や年の暮れという意味で使うことができます。
ここでは、年の瀬を用いた挨拶文をご紹介します。
年の瀬を感じる
12月に入り、1年の終わりを感じる気持ちが込められています。12月初旬に使うのが一般的です。
・年の瀬を感じる頃となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
・寒さもひとしお身にしみ、年の瀬を感じる頃になりました。
年の瀬が近づく
12月に入ってから1週間から2週間の間で使います。
・年の瀬が近づき、今年最後のセールに向けてお忙しい日々が続いていることと存じます。
・年の瀬か近づきましたが、くれぐれもお体に気を付けてお過ごしください。
年の瀬を迎える
12月中旬前後ぐらいから使います。
・年の瀬を迎え、なにかとお忙しい日々を過ごされていると思います。
・年の瀬を迎え、今年も残りわずかとなりました。
年の瀬が迫る
中旬以降、年末が差し迫っている頃に使います。
・年の瀬も迫り、一段と慌ただしさが増していると存じます。
・年の瀬が迫る中、正月商戦の準備でお忙しいことと思います。
良い年の瀬
多忙な時期ですが良い年末をお迎えくださいという意味で、年末の挨拶として使われます。
・本年はいろいろお世話になりました。良い年の瀬をお迎えください。
年の瀬が含まれる言葉は、12月であれば使用しても問題はないようですが、言葉の意味からすると12月後半に使用される方が多いようです。
「年の瀬迫る」「良い年の瀬」「年の瀬を迎える」の言い換えは?
年の瀬が、年末や年の暮れという意味であることから、
- 年の瀬迫るは年末が迫る、
- 良い年の瀬は良い年末、
- 年の瀬を迎えるは年の暮れを迎える、
という言葉にそれぞれ変換できます。
ただし、年の瀬は年末や年の暮れに比べて、もっと慌しく押し詰まっている様子に捉えられることは念頭に置いて使用するのがよいかも知れません。
年の瀬の対義語
年の瀬の対義語・反対語としては、年のはじめを意味する「年始」、年のはじめや年始を意味する「年頭」、年が改まって新しい年になることを意味する「年明け」、一年の最初の日である1月1日を意味する「元日」などがあります。
年の瀬の類語
年の瀬の類語・類義語としては、年の終わりや年末を意味する「暮れ」、年の暮れや年末を意味する「年尾」、年末や歳末を意味する「節季」、年の最終の日である12月31日を意味する「大晦日」などがあります。
「年の瀬」と「年末」の意味の違い
年の瀬と年末の違いを分かりやすく言うと、年の瀬とは年末の慌ただしさを表し、年末とは年の終わりを意味するという違いです。
また、年の瀬と年末という言葉は、どちらも一年の終わりのころを意味します。
月単位で言えば12月を指す言葉ですが、どちらもはっきりとした期間の定義はありません。
そのため、12月を表すために、どちらの言葉を使っても間違いではありません。
まとめ
年の瀬の瀬が、川からきている言葉とは驚きでした。
しかも、年末や年の暮れのように時期を表すだけではなく、12月の忙しない雰囲気そのものも含めた言葉だと知って、やはり日本語は奥が深いなと再認識したところです。
このように、普段何気なく使っている日本語には私達が知らない隠れた意味があることも多く、調べることで新しい知識を得ることができます。
これから、年の瀬という言葉を見聞きするたび、脳裏には川の浅くて流れが急な部分が思い浮かぶと思いますが、言葉と連動して情景が想像できるのも日本語の素晴らしさと言えますよね。
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