お腹が張る、しかも痛い!原因はガス溜まりや便秘?ひょっとして病気?
下腹部がパンパンに膨らんでつらい。
体のラインに合った服を着ると、お腹だけポッコリと出てしまう。
このような状態は、いわゆる「お腹が張っている」と言われる症状です。
程度の差はあるものの、このお腹の張り、誰にでも一度くらい経験があるのではないでしょうか。
多くの場合、ガスが溜まっていることが原因と言われ、ガスが抜けると症状が治まることから、大したことないものと捉える方も多いようですが、お腹が張ってしまう原因を突きとめておくことはとても大切なことです。
と言うのも、お腹の張りには単にガスが溜まっているだけはなく、思わぬ病気が原因として隠れている可能性があるからです。
そこで今回は、お腹の張りや痛みについて詳しく調べてみました。
お腹が張る原因は?
お腹が張ってしまうのは、主に以下の7つが原因として考えられています。
ガス溜まり
一般的に、お腹が張る原因として最も多いと言われているのが、腸内にガスが溜まっていることだと言われています。
腸内には、悪玉菌と善玉菌、そして日和見菌という腸内細菌が存在しており、健康な人の腸の場合、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の割合でバランスをとっていると言われていますが、悪玉菌が増えてしまうとこのバランスが崩れ、腸の活動が鈍くなりガス(おなら)が溜まりやすくなってしまいます。
便秘
悪玉菌優勢の腸内は、ガスが溜まりやすくなるだけではなく、便も詰りやすくなり便秘の原因となってしまいます。
便が長時間腸に滞っているとやがて発酵してガスを発生させ、さらに腸内の環境を悪化させます。
妊娠初期
妊娠初期は、お腹が張りやすくなると言われています。
これは、妊娠によって子宮が成長すると、子宮や周辺の筋肉が伸びるために引っ張られるような感覚が生じるから、と考えられています。
通常は心配のいらないものとなっていますが、張りがお腹全体というよりは一部だけの場合や、一時間に何度も起こる、出血を伴うなどの時は、子宮の収縮による張りの可能性があり、流産の危険があるためただちに病院を受診するようにして下さい。
生理前
生理前は、妊娠に備えて子宮や卵巣の働きが活発になります。
特に子宮は内膜を厚くするために膨張するため、腸を圧迫するので、必然的に腸の動きが悪くなりガスが溜まりやすくなってしまいます。
暴飲暴食
暴飲暴食をすると、許容範囲外の食べ物が胃に入ってくるため、きちんと消化されずに腸に流れてしまいます。
すると、未消化の食べ物が腸内に長く留まることになってしまい、発酵が進んでガスを発生させます。
ストレス
ストレスを感じると、消化器官の働きが鈍くなることから、腸のぜん動運動が落ちて便が溜まりやすくなり、ガスや便秘が元になってお腹の張りを感じることがあります。
呑気症
呑気症とは、ストレスによって無意識に空気を多く吸い込んでしまう疾患です。
呑気症になると、通常の3倍程度多くの空気が胃に入るため、お腹の膨満感を始め、ゲップやおなかが多くなるといった症状が現れます。
食後に異常にお腹が張る場合の原因は?
お腹の張りが食後になると顕著に現れる場合は、「胃下垂」が原因かも知れません。
胃下垂とは、その名の通り胃が下に垂れている状態のことを言います。
通常であればみぞおちにあるはずの胃の下部が、重症になるとおへそや骨盤の辺りにまで落ち込んでしまうため、胃に食べ物が入るとその重みで腸が圧迫され、下腹部が異様に出っ張ってしまいます。
主な症状として、お腹の張りの他に、胃もたれや胸やけ、ゲップが多くなるなどがあります。
なお、胃下垂は自覚症状だけで判断がつきにくいため、胃の不快感や痛みが強くなって初めて病院を受診するケースが多いと言われています。
お腹が張る原因になる病気は?
症状が軽く、数日で治まり、その後特に体調不良などがなければ、「ガスが溜まっていたのかも」「便秘のせいかな」と自己判断してしまう場合も少なくありません。
しかし、症状が重い場合や、お腹の張りが長期的に続く時は、病気が原因の可能性が考えられます。
では、お腹の張りが症状として現れる病気には、一体どのようなものがあるのでしょうか。
急性胃炎・慢性胃炎
急性胃炎及び慢性胃炎の場合、胃液の過剰分泌によって胃の膨満感や胸やけ、胃痛などが症状として現れます。
胃下垂・胃腸虚弱(機能性胃腸症)
一部の女性の中では、「胃下垂の人は食べても太らない」という誤った誤解を生んでいますが、実際に胃下垂を患っている方の多くは、お腹の張りや便秘、胃の不快感、胸やけ、ゲップといった症状に苦しんでいます。
また、最近は「胃の調子が悪い」「胃が痛い」などの症状を訴え、病院で胃カメラを飲んでも原因が掴めない〝機能性胃腸症〟と診断される方が増えています。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腹部の張りや痛み、便秘、下痢といった症状が繰り返し現れるのに、腸の検査をしてもどこにも異常が認められない病気です。
発症の詳しい原因はわかっていませんが、ストレスが溜まることによって脳と密接な関係のある腸の働きが阻害され、症状を引き起こすものと考えられています。
腸閉塞
腸閉塞とは、小腸及び大腸が狭くなることで、食べ物や消化液が通りにくくなる病気です。
おならや便が出なくなる、悪心、吐き気、お腹の張り、腸がゴロゴロするなどの症状が現れ、腸が完全に詰ると激しい腹痛や嘔吐が起こります。
大腸がん
大腸ガンは、ガンができた場所によって現れる症状が違いますが、腸内でガン細胞が大きくなると排便障害が起こり、ガスが溜まってお腹が張りやすくなるといった症状が出ます。
胆のう炎・肝炎・膵炎・腹膜炎など
常にお腹が張っている、黄疸やむくみがある、吐き気や食欲不振といった症状が伴う場合は、胆のう炎や肝炎、膵炎、腹膜炎などの可能性があります。
婦人科系の疾患
子宮筋腫があると、下腹部の膨満感や張りの他に、筋腫によって膀胱が圧迫され頻尿になったり、経血量が増えるといった症状が現れます。
また、症状が表に出づらいと言われている卵巣ガンは、腹水が溜まって下腹部に張りを感じることがあるため、急にお腹だけポッコリと出てきた時は、病気を疑って病院へ罹るようにして下さい。
ガスが溜まってお腹が張っている場合の解消法
ガス溜まりによるお腹の張りは、圧迫されて苦しいだけではなく、「思いもかけない時に、いきなりおならが出たらどうしよう」という不安を感じやすいものです。
そのため、できるだけ早くに解消したいと思う方も多いと思います。
そこでここでは、ガスが溜まってお腹が張っている場合の解消法をいくつかご紹介したいと思います。
お腹が張っている部分を温める
そのため、お腹が張っている部分にカイロなどをあてて温めることで、血行を促進し張りをやわらげることができます。
食べ物で解消する
お腹の張りの原因の一つである便秘は、食物繊維を積極的に摂取することで解消されやすいというのは、広く認識されていることですよね。
しかし、実は食物繊維には2種類があり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分かれています。
一般的に食物繊維が豊富な食べ物として挙げられる、ごぼうやきのこ類は不溶性食物繊維が多く含まれているのですが、すでに便が詰まっている時に摂取すると、返って便を固くしてしまい余計にガスを発生させて、お腹の張りを悪化させてしまうことがあります。
このため、お腹の張りを伴う便秘の時には、長いもや海藻などに多く含まれる水溶性食物繊維を多く摂る方が効果があります。
ガス抜きマッサージをする
1.床に仰向けに寝ます。
2.両手をお腹にあて、おへそを中心に「の」の字を描くようにさすります。
3.1分間行いましょう。
お腹のガス抜きポーズ
1.床に仰向けになって寝ます。
2.両膝を立てたら、両手で膝を抱えます。
3.大きく息を吸って、吐きながら膝を胸の方へ引き寄せます。
4.膝を胸に寄せたまま、ゆったりとした呼吸を5~6回続けましょう。
5.元に戻して終了です。
ツボを押してみる
1.お腹のくびれに両手をあて、腰を左右にひねりながら親指に力を入れます。これを10回繰り返します。
2.次に、床に仰向けになって寝そべり、両膝を立てます。
3.下の背骨から指2本分外に握りこぶしを入れ、体を左右に倒しながらこぶしに体重を掛けます。
4.左のこぶしに体重を載せたら、3秒ずつキープして下さい。
5.右も同じように行います。
運動をする
1.床にうつ伏せになります。
2.両足のかかとでお尻を軽く叩くように、足を交互にバタバタとさせます。
便秘でお腹が張っている場合の解消法
便秘は、便が腸に詰まった状態になるため、ガスが発生してお腹が張ってしまいます。
便秘によるお腹の張りを解消するためには、根本の原因である便秘を解消するのに越したことはないですが、腸内に溜まったガスを抜いてあげるだけでも、お腹の張りを緩和することができます。
特に、起床時は腸の動きが活発になっているため、このタイミングでガスを上手く抜くことができると、その後お腹の張りに悩まされることが少なくなります。
やり方はとても簡単で、
①床に仰向けになって寝ます。
②膝を立てた状態でお腹に指をあて、骨盤の上(右側)→肋骨の下(右側)→肋骨の下(左側)→骨盤の上(左側)→膀胱の上の順で時計回りに5回ずつ押していきます。
なお、この方法を毎朝行うことで、ガス抜きだけではなく便意を催しやすくなるというメリットもありますので、是非毎日続けてみましょう。
生理前のお腹の張りを解消する方法
生理前は、女性ホルモンの関係でお腹が張りやすくなってしまいがち。
毎度のこととは言え、お腹が張って苦しいのはつらいものです。
どうにかならないかなと思っている方も多いと思いますが、そのような方は次のことに気を付けてみましょう。
1.お腹を絞めつけないようにする
細身のパンツを穿いたり、ガードルなどで下腹部を絞めつけないようにしましょう。
血行不良が起こって腸がむくんでしまうと、お腹の張りが強くなってしまいます。
2.冷たい飲み物を控えましょう
冷たい飲み物は体を冷やします。
体が冷えると血行が悪くなり、腸がむくんでお腹を圧迫してしまいます。
生理前や生理中はなるべく温かい飲み物を摂るようにして、体温を下げないようにして下さい。
3.シャワーで済ませず、しっかりと湯船に浸かりましょう
湯船に浸かることで、体の芯から温まり血行を促進してお腹の張りを解消します。
お腹のガス解消におすすめの薬(市販薬)
お腹のガス溜まりや張りを解消する方法を行ってもなかなか症状がよくならない時は、市販薬を飲んでみるのも一つの方法と言えます。
ここでは、お腹のガス解消にお勧めの市販薬をご紹介します。
ガスピタンa
お腹が張って痛いと感じた時、水なしですぐ飲めます。
参考URL:https://www.kobayashi.co.jp/seihin/gpt/
ラッパ整腸薬BF
また、3種類の乳酸菌が配合されているので、善玉菌を増やし腸の状態を正します。
参考URL:https://www.seirogan.co.jp/bf/product/
パンラクミン錠
生きたまま腸に届く乳酸菌によって、腸内の環境をすみやかに整えます。
水なしでも飲め、味もさわやかなヨーグルト味です。
参考URL:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/panlacmin/
お腹が張った時、病院は何科に行けばいい?
お腹の張りがひどい時や長期間治まらない時など、病院へ行くことを検討すると思いますが、その場合受診するのは消化器科となります。
消化器科は、口から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、膵臓、胆のう、肝臓といった臓器や組織の専門科となります。
お腹の張りは、これらのどこかに原因が考えられるケースが多いため、まずは消化器科を受診するのがよいと思います。
もし、近くの病院に消化器科がなければ内科でも構いません。
なお、女性の場合、消化器科や内科で異常がないと言われても、子宮や卵巣といった女性特有の臓器が原因でお腹の張りが起こる場合もあることから、婦人科への受診も検討しましょう。
まとめ
お腹の張りが長く続く場合や、痛みが強い時などは、躊躇わずに病院で診てもらうのが安心です。
また、腸にガスが溜まりやすい方や便秘になりやすい方というのは、将来大きな病気になる可能性が高いと考えられます。
たかがガス溜まりと思わず、できるだけ早めに解消しておくようにしましょう。
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