歳神様とはどんな神様なのでしょうか?
お正月になると、私たちは自然と歳神様の存在を感じます。
しかし、実際に歳神様がどのような神様なのか、その由来やお迎えする理由については、あまり詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、お正月の風習の根底にある歳神様の意味や役割を掘り下げ、その神秘的な魅力に迫ります。
歳神様を迎えることで、私たちの生活にどのような豊かさがもたらされるのか、一緒に探ってみましょう。
- 歳神様が新年の初日の出と共に訪れる神様であること
- 門松や鏡餅が歳神様をお迎えするための大切な役割を持つこと
- 歳神様が一年の豊作や家庭の安全を守る神様としての意味
- お正月の風習が家族の幸せと健康を願う心から生まれたものであること
- 歳神様をお迎えする際の準備やお供え物に関する知識
歳神様とは
歳神様(としがみさま)とは、元旦の初日の出とともに、一年の福徳を持って高い山から家々に訪れ、その家の一年の守護を統べる来訪神です。
またご先祖様の魂が山の方へ行き、七代後にして、その家を守る神様「祖霊(それい)」として戻ってくるとする地域もありました。
歳神様はどんな神様?
日本の伝統と文化に深く根ざした歳神様(年神様)は、その多面的な存在について理解を深めることで、日本人の生活や信仰に対する洞察を得ることができます。
歳神様は、日本各地で信仰され、農耕に深く関わる神様としての役割を担ってきました。
この神様の多様な側面を探ることで、その重要性と意義を明らかにしていきましょう。
穀物神としての歳神様
歳神様は、日本の農耕民にとってなくてはならない存在でした。
一年間の豊作や五穀豊穣をもたらす穀物神として、深い敬意を持って祀られてきました。
江戸時代の国学者、本居宣長によると、「歳」という字は元々「年」を意味するものではなく、「登志(とし)」、すなわち穀物を指していたとされます。
このことから、歳神様が稲の豊作を願う神様であったことが伺えます。
来訪神としての歳神様
時代の変遷と共に、歳神様は年神様としての側面を強く持つようになりました。
特にお正月に訪れる来訪神としての役割が強調されるようになります。
初日の出と共にやってくるとされ、山から下りてくる姿が一般的にイメージされています。
また、古代日本では一年を二年に分けて考える文化があり、歳神様は年に二度訪れるとされていました。
この考え方は、夏越大祓や年越の祓いなどの行事にも影響を与えています。
神道の豊穣神としての歳神様
歳神様は、大歳神やその子神である御年神と同一視されることもあります。
これらは豊穣をもたらす神々として知られ、多くの神社で祀られています。
この側面からも、歳神様が農耕と密接に関連していることがわかります。
先祖の霊としての歳神様
民間信仰においては、歳神様は先祖の霊や様々な神々が習合した存在として捉えられています。
民俗学者の柳田國男は、歳神様を家々の祖霊であり、福の神として解釈しています。
日本には自然や日常生活の中に神々が存在するという考え方が根強く、歳神様もその一つとして位置づけられています。
歳神様の多様な側面を通じて、日本の伝統的な生活や信仰の深さを感じ取ることができます。
季節の変わり目に力をもたらすとされる歳神様は、日本人の生活に深く根差した重要な存在であると言えるでしょう。
歳神様をお迎えする意味
歳神様(年神様)をお迎えする意味とは、私たちの日常生活に深く根差した、心温まる伝統です。
日本の文化において、歳神様はただの一つの形ではなく、多様な側面を持つ神様として知られています。
それでは、この神様をお迎えする際の意味や目的について、もう少し詳しくお話ししましょう。
五穀豊穣
日本は古来より農耕社会であり、五穀豊穣は生活の基盤でした。
歳神様への祈りは、稲や麦などの穀物が豊かに実り、食べ物に困らない一年であることを願うものです。
長寿
また、歳神様は長寿をもたらす神様としても信仰されています。
家族や親族が健康で長生きすることを願い、お迎えします。
無病息災
日々の生活で健康を保つことは、昔も今も変わらず大切なことです。
歳神様には病気や災害から身を守り、平穏無事な一年を過ごせるよう祈ります。
家内安全
家族の安全と幸せを願う心は、歳神様への信仰にも表れています。
家族みんなが安心して暮らせるよう、神様に祈りを捧げます。
商売繁盛
商売を営む人々にとって、歳神様は繁栄と成功をもたらす存在です。
新年に商売繁盛を願い、神様をお迎えする習慣があります。
伝統行事と習慣
どんど焼き
お正月に飾られた門松やしめ縄を焼き、その煙で身を清める行事です。
これは歳神様への感謝と、新たな年の幸運を願う意味が込められています。
お年玉
子どもたちに贈られるお年玉は、歳神様からの祝福としての意味合いも持ちます。
これにより、子どもたちの健やかな成長と幸せを願います。
このように、歳神様をお迎えする行事や習慣は、私たちの幸せを願う心から生まれたものなのです。
日本の伝統文化には、そうした温かい思いやりが込められているのですね。
歳神様の由来
歳神様の由来に関しては諸説あります。
- まず一つ目は、歳神様は神道の神様とされ、その数は八百万に及ぶと言われています。神道とは他宗教のように唯一の神の存在を信じるものではなく万物に神様は宿るという考えで、山や川、気象、森、野生動物といったものを崇拝するものです。
- 次に二つ目は、日本は古来から農耕を行っていた事から一年の始めにその年の豊作を願うため、歳神様を「穀物神」として祀ってきました。歳神様の「とし」は穀物、主に稲が語源となっている事から、歳神様は稲の豊作をもたらす神様として日本では昔から大切に扱われていたとされています。
- そして三つ目は、家族や家を災いから守る先祖の霊としての側面も持ち合わせています。この考え方は、家庭や個人の生活に密接に関わるものであり、歳神様が家族の安全や幸福を守る存在として信仰されてきたことを示しています。
これらの側面を総合すると、歳神様は自然界の神秘、農耕文化の守護、家庭の平安という、日本人の生活の様々な側面に関わる重要な神様であると言えます。
農耕と家庭の安全を守る神様としての役割は、特に日本の庶民にとって重要であり、その信仰は今もなお色褪せることがありません。
歳神様のこれらの側面は、日本の自然観、家族観、そして農耕文化を深く理解する上で、非常に重要な鍵となります。
それぞれの側面を知ることで、歳神様の深い意味と、日本文化の豊かさをより深く感じることができるでしょう。
歳神様はいつどこにやってくるの?
歳神様は初日の出と共に山から下りて来て、各家にやってくると言われています。
お正月には歳神様という新年の神様が山から降りてきて家に飾ってある鏡餅に魂を宿す。
昔はその魂の宿った鏡餅のことを「御年魂」といい歳神様の力をもらい一年元気にすごせるようにと家長がこれを子供達に分け与えていた。この御年魂がいつしかお餅でなくなりお年玉というお金を渡す風習になった。 pic.twitter.com/hSu3oENweQ
— ちぃ☆ (@utakoww) January 2, 2022
まんが日本昔ばなし「としがみさま」
歳神様を迎える準備はどうすればいいの?
歳神様をお迎えするには、まずはお正月前に大掃除を始めましょう。
日本では昔から12月13日を「すす払い」として家の中の塵や埃を払う行事が行われてきましたが、今現在は13日にこだわらず年末が近くなってきたら掃除を始める方も多いようです。
または神棚のみ13日に掃除をするいう方もいらっしゃいます。
そして、12月も最後の週になってきたら、お正月飾りを飾り始めます。
門松、しめ縄、鏡餅などがこれに当たりますが、出来れば28日には出して飾って下さい。
29日は9が苦を連想させるため避けるべきですし、31日では「一夜飾り」といって歳神様に失礼に当たります。
さらに、31日にはおせち料理の準備も忘れてはいけません。
今年も残りわずかとなりましたね。
当社では歳神様をお迎えする為、“門松・しめ縄等”のお正月飾りを整えました。
「歳神様」はあなたや家族を守ってくれる神様です。皆さま、お正月の準備を整え、清々しい新年を迎えてはいかがでしょうか。
※奉納された木製の手作り鏡餅#水天宮 #歳神様 #お正月 pic.twitter.com/TAhgwLbcVZ— 水天宮 (@suitengu_info) December 19, 2021
歳神様のまつり方
家の中に神棚がある場合は、神棚に御札やお供え物を上げましょう。
神棚がない場合は、家の中でなるべく高い場所(本棚やタンスなど)にお供えをして歳神様をお祀りします。
歳神様を祭る期間はいつからいつまで?
お正月には門松や鏡餅、しめ縄などを飾りますが、これらは全て歳神様をお迎えするためのもの。
歳神様は、毎年お正月とお盆の2回やって来ると言われています。
歳神様については、先祖や稲作(お米)の神様、または八百万の神など諸説ありますが、どちらにしても私達にとって大切な存在であるのは間違いないため、できる限りのおもてなしをする必要があります。
門松は歳神様が山から下りてきた時に、目印となるものと言われています。
また、鏡餅は歳神様が依り代として宿るものと言われています。
このようにして歳神様を迎い入れる準備を万全に整えて初めて、新年の日の出とともに歳神様が我が家にやって来ます。
そして、一般的には松の内が終わると歳神様は山へと帰られると考えられています。
松の内は地域によって期間が異なり、関東地方では1月7日、関西地方では1月15日となっているので、住んでいる地域によって確認するのがよいでしょう。
歳神様にお供えするものは何?ダメなものはある?
鏡餅は歳神様の魂が宿るものと言われており、鏡開きの際に鏡餅を食べるのは、食べることで歳神様の力を頂くという意味があるからです。
そのため、鏡餅は神棚に飾るか、神棚がない場合はできるだけ高い場所に飾るのが基本となります。
床の間があればそこに、歳神棚や恵方棚を作り、お供え物をするとよいでしょう。
また、この他にお米や野菜、果物などを飾ってもよいと言われています。
歳神様は農作物の神様とも言われているので、このような食物を飾るのはOKとされています。
ただし、神様へのお供え物として臭いのきついものはNGとなっています。
にんにくなど臭いが出やすいものはお供えしないように気をつけましょう。
歳神様のまとめ
歳神様は、新年の初日の出と共に高い山から家々に訪れ、一年の福徳と守護をもたらす大切な神様です。
日本の伝統では、門松や鏡餅を飾り、歳神様のお迎えの準備をします。
門松は神様の目印、鏡餅は神様の宿る場所とされ、鏡開きで食べることで健康と幸運を願います。
歳神様は農耕や家庭の安全を守る神としても信仰され、お正月の美しい風習として、今も私たちの生活に深く根付いています。
この記事のポイントをまとめますと
- 歳神様は新年の初日の出と共に高い山から家々に訪れる
- 一年の福徳と守護をもたらす神様として尊ばれる
- 門松は歳神様のための目印として家の前に置かれる
- 鏡餅は歳神様が宿る場所とされ、家族の健康を願う
- 鏡開きで鏡餅を食べることは歳神様の力を受ける意味がある
- 稲作や家庭の安全を守る神としても信仰される
- お正月の準備には大掃除やお正月飾りが欠かせない
- お正月飾りには門松やしめ縄、鏡餅が含まれる
- 松の内が終わると歳神様は山へ帰るとされる
- お供え物として鏡餅が重要で、臭いの強いものは避ける
- お正月の風習は家族の幸せと健康を願う心から生まれたもの
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