皆さんは「穀雨の候」って聞いたことありますか?
この言葉、いつからいつまで使えるのか、どんな意味があるのか、読み方はどうなのか、そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
特に手紙やメールでの使い方、書き方に悩むことってありますよね。
書き出しから結びまで、どうやって心を込めて書けばいいのか。
そんな時、例文があればずいぶん助かりますよね。
この記事では、「穀雨の候」について、その使い方から、読み方、いつからいつまでの期間に使えるのか、そして実際に手紙やメールで使う際の書き出しから結びの文まで、わかりやすく解説しています。
この導入文を読んだあなたが、これから穀雨の候を使って、より豊かなコミュニケーションを楽しめるようになることを願っています。
- 「穀雨の候」が4月下旬から5月上旬に使う時候の挨拶であることがわかります。
- 「穀雨の候」の正しい読み方と、その意味について理解できます。
- 手紙やメールでの「穀雨の候」の使い方、特に書き出しと結びの具体例を学べます。
- 「穀雨の候」以外に4月に使える他の時候の挨拶も知ることができます。
穀雨の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?
穀雨の候を使う時期はいつからいつまで?
穀雨の候は4月下旬から5月上旬に使える時候の挨拶です。
時候の挨拶の中には使える期間が明確に決まっていないものもありますが、降雨の候は4月20日頃から5月4日頃までと期間がわかっています。
この期間以外は使うことはできないので注意して下さい。
穀雨の候の読み方
穀雨という言葉自体に馴染みがなくても、穀物(こくもつ)や梅雨(ばいう)と言った言葉が身近のため、穀雨(こくう)の読み方はそれほど難しく感じないのではないでしょうか。
穀雨の候の意味
「穀雨の候」には「穀物がぐんぐん育つ、恵みの雨がよく降る季節となりましたね」という意味があります。
日本の伝統的な暦の中で、春の終わりから初夏にかけてを指す言葉であり、農作物が健やかに育つための、まさに天からの恵みともいえる雨が頻繁に降る季節を表します。
「穀雨」という語は、初めて耳にするとその意味が直ちには理解しづらいかもしれません。
しかし、これは穀物にとっての恵みとなる雨、つまり作物の成長に不可欠な水分を供給してくれる大切な雨を意味するのです。
この季節の雨は、種をまく準備が整った農地にとって、まさに生命を吹き込む源泉となります。
日本は古来から農耕社会であり、四季折々の変化を細やかに観察し、それを生活や文化の中に取り入れてきました。
そうした背景から生まれたのが「二十四節気」という独自の暦の区分です。
この中の一つが「穀雨」であり、昔の人々はこの時期を重要視し、種を蒔いたり、苗を植えるタイミングを見極めたりしていました。
穀雨の候は、特に米をはじめとする穀物の栽培において、生育の基盤を築くために欠かせない時期です。
この時期に適切な量の雨がないと、作物の生育に大きな影響を及ぼすことがあるため、農家の方々にとっては、まさに「天からの贈り物」とも言える重要な季節なのです。
「候」という言葉には、時期や季節、時候などの意味が込められています。
従って、「穀雨の候」とは、穀物を育てる上で不可欠な、恵み豊かな雨が降る貴重な時期に差し掛かったことを喜ぶ心情を表しています。
穀雨の候の正しい使い方は?
穀雨は文字通り、「穀物を育てる雨」という意味を持ち、農作物が生長するための大切な時期を指します。
しかし、「穀雨の候」という表現は、単に雨が多い時期を示すわけではありません。
この表現は、二十四節気の一つである穀雨の期間に限定されており、その特定の時期にのみ適切に使われるべき時候の挨拶なのです。
穀雨の期間は、一般的に4月20日頃から5月5日頃までを指し、この時期には自然と共に生きる私たちにとって重要な雨が降ることが期待されます。
ただし、穀雨の期間であっても、実際には雨が降らず晴れた日が続くこともあります。
そんな時でも、「穀雨の候」を用いることは可能です。この表現は、単に天候の状態を述べるのではなく、季節の節目を感じ取り、それを敬う心を表すものだからです。
それでも、手紙やはがきを送る際には、その時期や状況に最も適した表現を選ぶことが大切です。
穀雨の期間であっても、その時の天候や相手の状況によっては、「穀雨の候」よりも他の時候の挨拶を選んだ方がふさわしい場合もあります。
例えば、穀雨の時期でも、特に乾燥している地域や状況においては、別の言葉を選ぶことが相手に対する配慮となります。
穀雨の候を使った例文
穀雨の候を使った文章は、普段使い慣れた口調とは異なるため、書き出しに悩んでしまうという方は多いのではないでしょうか。
穀雨の候を使った例文があれば、参考になりますよね。
穀雨の候をビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのパターン別にご紹介します。
ビジネスで使う場合
書き出し文
- 謹啓 穀雨の候、貴社にはますますご清栄の由大慶に存じます。毎々格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 穀雨の候、貴社におかれましてはなお一層のご発展のことと大慶至極に存じます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 穀雨の候、貴社におかれましては益々ご盛栄の御事慶賀の至りに存じます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
結び文
- 新緑が美しい季節を迎え、引き続き皆様からの変わらない支持を賜れますようお願い申し上げます。
- 恵みの雨が植物を潤す季節が到来しました。貴社がさらに発展されることを心よりお祈りしています。
- 初夏の訪れと共に、これからも更なるご指導と励ましをいただけますようお願い申し上げます。
目上の人に使う場合
書き出し文
- 謹啓 穀雨の候、〇〇様にはますますご壮健のことと拝察いたしお慶び申し上げます。
- 拝啓 穀雨の候、〇〇様にはいっそうご活躍のことと慶賀の至りに存じます。
- 拝啓 穀雨の候、過日はなにとご愛顧にあずかり、感謝の念にたえません。
結び文
- 最近は五月晴れがよく見られる季節になりました。皆様がこれからも益々発展されますように心より願っております。
- 本格的な夏がもうすぐ始まります。平和な気持ちで、涼しげな毎日を過ごされますようにお願い申し上げます。
- 花が美しく咲き誇る素晴らしい時期です。〇〇様が爽やかな夏をお迎えください。
親しい人に使う場合
書き出し文
- 新しい生活のバタバタもようやく一段落したこの時期に、皆さんのご様子はいかがでしょうか。
- 春の温かな光が感じられるようになった今日この頃、〇〇様におかれましても引き続き素晴らしい活躍をされていることと思います。
- すぐにでも夏が訪れそうな気配が漂うこの時期、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
結び文
- 春から夏にかけての季節の移り変わりの時期です。どうか無理をしないよう、体調管理に気をつけてください。
- 長い休暇がもうすぐ始まります。どうか自分の健康を第一に考え、大切にしてください。
- 春が去るのはさびしいですが、健康に留意しながら、どうぞお体にお気を付けて爽やかな夏をお迎えください。
なお、親しい人へ送る手紙やはがきなどでは、必ずしも穀雨の候のような形(漢語調)を使う必要はありません。
漢語調よりもカジュアルな口語調の時候の挨拶を使ってもよいでしょう。
その場合は、穀雨の候は使わず、「桜前線も日本列島を通過しましたね。お変わりなくお過ごしでしょうか」と書き出しても構いません。
穀雨の候の結び文
結び文とは文章の締めくくりに書く文です。
ビジネス文章では、季節に関係なく使える定型文もありますが、時候の挨拶の季節感に合わせた結び文にすると、文章全体がまとまります。
ここでは、穀雨の候を使った場合の結び文の例文をご紹介します。
- 若草萌る好季節、貴社益々のご発展をお祈り致しますとともに、倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。謹言
- 新天地での更なるご活躍を、心よりお祈り申し上げます。敬具
- 花冷えの季節です。風邪など引かぬよう気をつけて下さいね。かしこ
穀雨の候を使うときに注意すること
穀雨の候を文章に使う時は、書き出しにはせずに、その前に頭語をつけましょう。
ビジネスで一般的に使われる頭語には「謹啓」や「拝啓」がありますが。これらには「謹んで申し上げます」という丁寧な意味があります。
相手への敬意を示すものになるので、ビジネス関係や目上の人に送る手紙やはがきなどでは、必ず使うようにしましょう。
なお、親しい人へ書く手紙やはがきなどでは、いきなり時候の挨拶から入っても問題はありません。
そして、文章に頭語をつけたら、最後は結語で締めるのがマナーになりますよ。
頭語と結語はペアになっており、「謹啓」の結語は「謹白」または「謹白」、「拝啓」の結語は「敬具」もしくは「敬白」になります。
女性のみが使える結語に「かしこ」がありますが、「かしこ」はややカジュアルな表現となるため、ビジネス関係や目上の人に送る手紙やはがきなどには使わない方がよいでしょう。
穀雨の候以外の4月の時候の挨拶はある?
穀雨の候は4月下旬から使える時候の挨拶のため、上旬や中旬に使える時候の挨拶が知りたいですよね。
また、より季節を感じられる時候の挨拶を使いたいという方も多いでしょう。
そこでここでは、穀雨の候以外に4月に使える時候の挨拶をご紹介します。
春和の候
4月中に使える時候の挨拶です。
春に和むと書く通り、春和の候には春らしい穏やかな日差しを感じる時期になりましたね、という意味がありますよ。
春陽の候
4月中に使える時候の挨拶になります。
春陽の候は、春らしい暖かい陽気を感じる時期になりましたねという意味があります。
春陽の候と春和の候は使う時期や意味が同じ時候の挨拶ということになりますね。
春爛漫の候
4月中に使える時候の挨拶です。
爛漫とは花が咲き乱れる様子を表す言葉で、春がつくことから春に咲く花が咲き乱れる時期になりましたね、という意味になります。
桜花の候
3月下旬から4月中旬まで使える時候の挨拶になります。
春を告げる花と言えば桜を思い浮かべる方は多いですよね。
桜花の候は桜の咲く時期になりましたねという意味になりますが、日本は南北に長い地形をしているため、地域によっては桜が終わっていたり、反対にまだ咲いていないところもあります。
そのため、桜花の候を使うときは、手紙やはがきを送る地域の状況に合わせるのがよいでしょう。
麗春の候
4月下旬から5月上旬に使える時候の挨拶です。
麗春はひなげしの別称で、麗春の候はひなげしが咲く時期になりましたね、という意味になりますが、地域によっては4月中旬頃にひなげしが開花するところもあるようです。
その場合は4月中旬であっても麗春の候を使っても問題はありません。
晩春の候
4月上旬から5月上旬まで使える時候の挨拶になります。
晩春とは旧暦の春の終わりの時期を指す言葉です。
具体的には、二十四節気の清明(例年4月4日頃)から立夏(例年5月4日頃)の前日までになります。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
穀雨の候のまとめ
穀雨の候って、4月下旬から5月上旬にかけての特別な時期ですね。
この時期、穀物がぐんぐん育つ恵みの雨がよく降るんです。
「こくうのこう」と読み、春の終わりから初夏にかけてを意味しています。
手紙やメールにこの挨拶を入れると、季節感が出て素敵ですよ。
例文や結びの言葉も参考にして、心温まるメッセージを相手に伝えてみてはいかがでしょうか。
大切なのは、穀雨の候が持つ「新しい生命を育む」、そんな希望に満ちた時期を大切にする心です。
この記事のポイントをまとめますと
- 穀雨の候は4月下旬から5月上旬に使われる
- 読み方は「こくうのこう」
- 意味は穀物が育つ恵みの雨の季節
- 春の終わりから初夏を指す
- 農作物の健やかな成長を願う時期
- 例文にはビジネス、目上の人、親しい人への使い分けがある
- 頭語「謹啓」「拝啓」を使った正式な手紙の書き方が示される
- 結語には「謹言」「敬具」「かしこ」が使える
- 女性が使える結語「かしこ」はカジュアルな表現
- 他の4月の時候の挨拶として春和の候、春陽の候、春爛漫の候、桜花の候、麗春の候、晩春の候がある
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