新茶の候と聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
この美しい日本の季節の挨拶は、いつからいつまで使えるのでしょう?
また、その意味や読み方は?
手紙やはがきでの使い方、書き方、書き出しから結びまで、正しく心温まる挨拶を伝えるにはどうすればいいのでしょうか。
そんな疑問を持つ方々へ、この記事では「新茶の候」の魅力とその豊かな背景を解き明かし、誰もが使いやすい例文とともにその正しい使い方をご紹介します。
初夏の清新な息吹を感じさせる「新茶の候」。
この時期ならではの挨拶を通じて、大切な人との絆を深めましょう。
読み進めることで、新茶の季節をより豊かに、心に残る挨拶として伝える方法が見えてきますよ。
- 新茶の候が使われる正確な期間についてわかります。
- 「新茶の候」の読み方が「しんちゃのこう」であることを理解できます。
- 新茶の候の意味として、新茶の摘み取りが始まる季節を指す挨拶であることが明確になります。
- 様々な文脈での「新茶の候」の例文や使い方、書き出しから結びの書き方までが学べます。
新茶の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?
新茶の候を使う時期はいつからいつまで?
新茶の候は5月上旬(八十八夜から5月10日ごろまで)に使える時候の挨拶になります。
一般的に上旬とは1日から10日までを指す言葉のため、新茶の候は5月1日から10日まで使える時候の挨拶ということになりますよ。
詳しい説明は次でしていますが、新茶は立春(例年2月3日頃)から88日後は5月1日以降に摘まれた茶葉のことを指すため、新茶の候は5月上旬に使うのがよい時候の挨拶ということになります。
新茶の候の読み方
時候の挨拶は音読みが多いのですが、新茶を「しんちゃ」と読むのは難しくないので覚えやすい方が多いでしょう。
新茶の候の意味
「新茶の候」は「新茶の摘み取りが始まる初夏の季節になりましたね」という意味の言葉です。
「新茶」と呼ばれる一番茶は、その年の最初の収穫であり、新鮮な香りと味わいが楽しめる特別なお茶として重宝されています。
一年に四回収穫されるお茶の葉の中で、春に摘み取られるこの一番茶は、豊かな自然の恵みをふんだんに受けた最高品質のお茶とされ、古来より特別な価値があるとされてきました。
ここで興味深いのは、「八十八夜」という期間の存在です。
立春から数えて88日目にあたるこの日は、一番茶の摘み取りが始まる重要な目安とされています。
この八十八夜に摘まれる新茶には、「1年間健康で過ごせる」という良い意味が込められているといわれています。
このように、新茶はただの飲み物ではなく、健康や幸福を願う思いが込められた存在なんですね。
また、「候」という言葉には、ただ「時期」を指すだけではなく、「時候」や「季節の挨拶」というニュアンスも含まれています。
ですから、「新茶の候」と言うときは、「新茶が楽しめる素晴らしい時期がやってきましたね」という温かみのある挨拶として使われるのです。
新茶の候の正しい使い方は?
現在、新茶の収穫時期は地域によって異なり、暖かい南の地域では4月中旬頃から始まり、少しずつ北上して5月中旬くらいまで行われています。
ですが、新茶の候を4月中旬や5月中旬に使うことはできません。
先ほども触れましたが、昔は新茶を立春から88日目の八十八夜に摘んでいました。
八十八夜は雑節といい、節分や彼岸などと同じ季節を表す名称の一つです。
旧暦が使われていた時代に作られた雑節や二十四節気は、現代の暦と季節感が合わないこともありますが、基本的には今もそのままで使われています。
そのため、例え実際に新茶の収穫が4月中旬や5月中旬に行われているとしても、新茶の候は5月上旬にしか使うことができません。
新茶の候を使った例文
新茶の候のような時候の挨拶は、使い慣れていないと書き出しに悩んでしまうものですよね。
そこでここでは、新茶の候を使った例文をご紹介します。
手紙やはがきなどを送る相手によって文章は変わるため、ビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのケース別に掲載しています。
ビジネスで使う場合
書き出し文
- 謹啓 新茶の候、貴社におかれましてはなお一層のご発展のことと大慶至極に存じます。平素は格別のご高配をいただき心から感謝申し上げます。
- 拝啓 新茶の候、貴社にはますますご隆盛の由、大慶に存じます。毎々格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 新茶の候、貴社にはご清栄の段、何よりと存じます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
結び文
- 新緑の香りが漂うこの時期にあたり、貴社がさらに栄えますよう心から願っています。
- 爽やかな晴れた五月の天気が続く、気持ちの良い時期です。貴社の継続的な成功と進歩を心より祈っております。
- 真夏の到来を感じさせる今日この頃、貴社が今後も益々活躍されますようにと願っております。
目上の人に使う場合
書き出し文
- 謹啓 新茶の候、〇〇様にはますますご壮健のことと拝察いたしお慶び申し上げます。
- 拝啓 新茶の候、皆様にはご清祥にお過ごしのことと存じます。
- 拝啓 新茶の候、〇〇様ますますご活躍の事と拝聴いたしております。
結び文
- 木々が緑色に輝き、自然が息吹を取り戻すこの時期に、○○様のさらなる成功を心よりお祈り申し上げます。
- 心地よい風が吹き抜ける季節が到来しました。○○様におかれましては、健康に注意され、穏やかな日々をお過ごしいただけることを願っております。
- ホトトギスの声が聞こえる季節になりました。どうぞお体を大切にされ、風邪など引かれないよう十分にご自愛ください。
親しい人に使う場合
書き出し文
- こいのぼりが空を舞う時期がやってきました。皆さま、健やかにお過ごしでいらっしゃいますか。
- 夏を感じさせる風が吹くこの季節、皆様の健康はいかがですか。
- 新緑が風に揺れるこの季節、〇〇様のさらなるご活躍をお祈りしております。
結び文
- 新茶の季節が到来しましたね。この時期の新茶を楽しみ、健康的な夏を迎えられますように。
- 夏が近づいているこの時期、季節が変わるにあたり、どうぞご自愛いただき、健康に留意してお過ごしください。
- 5月の心地よい風が吹く中、〇〇様には引き続き健康で穏やかな日々をお過ごしいただけますよう願っております。
時候の挨拶には漢語調と口語調の2種類があり、新茶の候などの〇〇の候は漢語調になります。
漢語調は丁寧な表現になるため、親しい人には必ずしも使う必要はありません。
かしこまった挨拶をする間柄ではないと思う場合は、漢語調よりもカジュアルな口語調を使うとよいでしょう。
口語調の例文としては、「新茶のおいしい季節になりましたね、お元気にしていますか」のような書き方で構いません。
結び文とは?
結び文には季節に関係なく使える定型文がありますが、新茶の候を書き出しに使った文章であれば、結び文の季節感を合わせることで全体に統一感が出るのでおすすめです。
ここでは、新茶の候を使った時の結び文の例文をご紹介します。
- 風薫る爽やかな時節、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。謹言
- 梅雨入りも間近でございます。体調を崩されませぬよう、〇〇様のご健康を心よりお祈り申し上げます。敬具
- 暦の上ではもう夏です。次第に暑くなりますが、どうかお体大切にしてくださいね。かしこ
新茶の候を使うときに注意すること
新茶の候を使って文章を書く時は、親しい人に送る場合を除いて基本的には最初に頭語をつけるのがよいでしょう。
頭語には様々な種類がありますが、ビジネス関係者や目上の人に使うものとして一般的なのは「謹啓」と「拝啓」です。
これらには「謹んで申し上げます」という丁寧な意味があるので、新茶の候などの時候の挨拶の前につけて使います。
なお、頭語には結語が対となり、「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」、「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」になりますよ。
文章の最後に頭語に合った結語を入れるようにしましょう。
女性のみ、どの頭語でも結語に「かしこ」を使うことができますが、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の人に使うには不向きと言えます。
新茶の候以外の5月の時候の挨拶はある?
新茶の候は5月上旬しか使えない時候の挨拶のため、5月中旬や下旬に使える時候の挨拶が知りたい方は多いでしょう。
ここでは、5月に使える新茶の候以外の時候の挨拶をご紹介します。
立夏の候
5月5日頃から19日頃まで使える時候の挨拶です。
立夏とは二十四節気の一つで、旧暦では夏の始まりという意味がありますよ。
小満の候
5月21日頃から6月5日頃まで使える時候の挨拶になります。
小満は二十四節気の一つで、太陽の光を浴びて万物がすくすくと成長するという意味があります。
小満や立夏など二十四節気にちなんだ時候の挨拶は、使える期間が明確に決まっています。
軽暑の候
5月全般に使える時候の挨拶です。
軽暑には春の穏やかな日差しが夏らしい強さに変わり、少しずつ暑さが増してくるという意味がありますよ。
ただし、暖かい南の地域ではすでに夏本番の暑さを迎えていたり、寒い北の地域では暑さを感じられない天候の可能性もあるので、そのような場合は使わない方がよいでしょう。
新緑の候
5月全般に使える時候の挨拶になります。
本格的な夏を前に、木々や草の若葉の瑞々しさを感じられる時期になりましたね、という意味があります。
すでに本格的な夏を迎え、緑が濃くなっている地域に送る手紙やはがきには使わない方がよいでしょう。
薫風の候
5月全般に使える時候の挨拶になります。
薫風とは若葉の香り混じった風のことで、「葉の青々とした香りが風に漂う時期になりましたね、」という意味になりますよ。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
新茶の候のまとめ
新茶の候は、新茶の摘み取りが始まる初夏の季節を楽しむ時候の挨拶ですね。
特に5月上旬、立春から数えて88日目の八十八夜を迎えた後の期間がベストタイミング。
読み方は「しんちゃのこう」と言います。
この時期には、「新茶の季節がやってきましたね」と感じることができる特別な時。
手紙やはがきでは、この美しい季節を感じさせる挨拶を使って、相手に新緑の清々しさや季節の移ろいを伝えましょう。
新茶の香り高いこの時期を共に喜び合う、そんな温かい挨拶には最適ですよ。
この記事のポイントをまとめますと
- 新茶の候は5月上旬に使う時候の挨拶
- 八十八夜から5月10日ごろまでが適期
- 読み方は「しんちゃのこう」
- 「新茶の候」は新茶の摘み取りが始まる季節を指す
- 一番茶はその年の最初の収穫であり特別な価値がある
- 立春から88日目が八十八夜
- 八十八夜に摘まれる新茶は健康と幸福の願いを込められている
- 時候の挨拶としての「候」には季節の挨拶の意味がある
- 新茶の収穫期間は地域により異なるが、時候の挨拶としては5月上旬固定
- 5月には新茶の候以外にも立夏の候や小満の候などがある
- 新茶の候は文化的な背景が深く、季節感や健康への願いを表現する
コメント