おせち料理の中身の具材や食材の種類や意味
おせち料理とは元々、一年のうちに五度ある『五節句』の時に食べられていた『お節供(おせちく)料理』を全て含んで言っていましたが、やがて五節句の中でもっとも重要な日とされるお正月(元旦)に食べるお節供料理だけを、おせち料理として食べるようになっていったのです。
また、おせち料理は歳神様にお供えする食べ物であるため、普段の食卓にはあまり登場しない食材を多く登場し、見た目も豪華なご馳走がたくさん詰まっています。
それと同時に、家族の健康や安全への願いが込められた料理でもあるため、おせち料理に使われる食材や具材には一つ一つにきちんとした意味があるのです。
おせち料理に入っている具材の意味や由来
おせち料理と言って思い出すものと言えば、海老や数の子、黒豆、煮物、伊達巻、栗きんとん、紅白なますなど、色々あると思います。
これらにはそれぞれにおせち料理ならではの意味が込められており、中でも子孫繁栄、五穀豊穣、無病息災といった願いは、昔から今の時代にも続く大切な意味だと思います。
それでは、おせち料理に使われる食材の意味や由来を具体的に調べてみましょう。
海老
海老のように腰が曲がるまで長生き出来ますようにという意味から、長寿を願ったものです。また、身が赤く美しいことから、縁起物や魔除けの意味もあります。
数の子
ニシンからたくさんの卵が産まれる事から、子孫繁栄の意味が込められたものです。
黒豆
まめに働き、まめに暮らせるようにという願いから。そして、敢えてシワが出るように煮て、シワができるほどの長寿を願うという意味もあります。
きんかん
「金冠」という当て字から、金運を得られるようにという願いから。
伊達巻
「伊達」という言葉には元々、人目を引く、お洒落な、といった意味があることから、「華やかな卵巻の料理」として〝晴れの料理〟を演出するものと言われています。さらに、巻物に似ていることから、学問成就や文化の繁栄を願うという意味もあります。
栗きんとん
栗金団と書くことから、財産を成す、金運に恵まれるといった意味があるとされています。また、戦国時代には戦の際に殻や渋皮を除いた栗を保存食として食べた事から、搗ち栗(臼で搗いた栗の事)が「勝ち栗」となり縁起のよい食べ物として昔から食べられていたようです。
紅白なます
お祝いの水引を模したもの。紅白には「おめでたい」という意味もあります。また、大根とニンジンは土中に根を張ることから、家族の土台を築くことを願うという意味もあります。
たたき牛蒡(ごぼう)
ごぼうは土の奥深くまで根を張るので、安泰に暮らせるといった意味と、ごぼうは昔から薬としても使われていたので、無病息災の意味もあるようです。
いくら
数の子同様、たくさんの卵が産まれることから子宝に恵まれますようにといった意味があります。いくらがおせち料理に使われるようになったのは、最近のことのようです。
鯛
「めでたい」という語呂合わせから。
八幡巻き
ごぼうを使うのでたたき牛蒡と意味は同じようですが、ごぼうや野菜を肉(鶏肉や牛肉)で巻いて甘辛い味付けにするのでおせち料理があまり食べられない子供にも食べやすい一品となっています。
昆布巻き
よろこぶに掛けた語呂合わせ。また、昆布に「子生」の字を当てられることから、子宝を願うという意味もあります。
ぶり
出世魚であることから、立身出世を願う。
ごまめ・田作り
イワシを刻んだものを田んぼ肥料にしていたことから、豊作を願う。
れんこん
極楽浄土の池には蓮の花が咲くことから、穢れのないことを表し、そして、穴が多く空いていることから、見通しの良い1年を祈る。
紅白かまぼこ
形がが日の出に似ていることから、新年に相応しいとされる。また、紅白の紅は魔除けや喜び、白は神聖さを表します。
くわい
大きな芽が出ていることから、立身出世を願う。
手綱こんにゃく
手綱を締めるように心を引き締め、戦いに備えるという意味があり、また、結び目があることから、良縁や家庭円満を願う。
おせち料理は、なぜ日持ちする料理が多いの?
お正月とはそもそも、歳神様をお迎えをして、おもてなしをするための日です。
その時に、台所に入って家事を行うのは歳神様に失礼に当たるという事で昔から避けられてきました。
そのため、歳神様がいらっしゃる間には料理をしないで済むように、日持ちのするものを作って重箱に詰めていたのです。
しかし近年は、一年中食事の支度に追われる女性にせめてお正月の時くらいは休んでもらおうという意味の方が強く受け取られているようです。
おせち料理は、何段重ねがあるの?何段目に何を詰めるの?
おせち料理に使われる重箱には、「おめでたい事が積み重なりますように」という意味があります。
また、それぞれの皿に盛りつけてしまうと保存に場所を取ったり、蓋を用意しなければいけなかった事から、重ねられる重箱は場所も取らず上の段が蓋替わりとなるので重宝されていたようです。
そんな重箱ですが、地域によって三段重もしくは五段重が使われます。
さらに、段によって詰めるものが変わってきます。
四・五段重の場合
- 一の重は祝い肴を入れます。黒豆や田作り、数の子などです。
- 二の重は口取り、酢の物を入れます。蒲鉾や伊達巻、栗きんとん、紅白なますなどです。
- 三の重には海の幸や焼き物を入れます。鯛やぶり、海老、蟹やいくらなどです。
- 与の重は、山の幸や煮物を入れます。里芋や人参、れんこんなどです。ちなみに四は〝死〟を連想させるため、四の重とは書かずに与の重と書きます。
- 五の重ですが、ここには通常何も入れません。これにはきちんと意味があり「まだまだ増える余地がある事、将来に余裕がある事」を示すためのもの、と言われています。
三段重の場合
- 一の重は祝い肴・口取りを入れます。黒豆や栗きんとん、蒲鉾や昆布巻き、伊達巻などです。
- 二の重は酢の物と焼き物を入れます。紅白なますや酢だこ、ぶりや鯛などです。
- 三の重には煮物を入れます。昆布やこんにゃく、れんこん、くわいなどです。
祝い肴(ざかな)三種って何?
祝い肴三種とは、これさえ揃えばおせち料理として体裁が整う、お正月を迎える事が出来ると言われるものを言います。
逆にこの祝い肴三種がないおせち料理は、おせち料理として成り立っていないとされます。
この祝い肴三種は関西と関東では種類が違い、
- 関西では黒豆、数の子、たたき牛蒡の三つとされ、
- 関東では黒豆、数の子、田作りとされています。
まとめ
子供の頃、おせち料理と言うと「食べたい」と思えるものがあまりなく、母親に「ハンバーグを作って」「カレーが食べたい」と言って駄々をこねた記憶はありませんでしょうか。
子供にとって田作りや煮物はあまり魅力的な料理として映らなく、また同じものを数日食べ続けるハメになるお正月は、そういう意味ではあまり楽しみな時間とは言えなかったのかも知れません。
しかし、おせち料理の由来や意味を知るとただ漠然を食べていた頃に比べると、有難みや感謝の気持ちが起き、そして何より伝統を受け継ぐ事への自負のようなものが芽生えてきます。
来年のお正月は、お子さんとおせち料理の由来や意味を話しながらお正月を過ごすのもよいかも知れませんね。
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