残春の候っていつからいつまで使うのが正しいのか、皆さん疑問に思ったことはありませんか?
この挨拶は、春の終わりと夏の訪れを感じさせる独特の期間を表すものですが、具体的に「いつからいつまで」使用するのが適切なのか、またその「意味」や「読み方」はどうなのでしょうか?
さらに、手紙やはがきでの「使い方」や「書き方」、特に「書き出し」と「結び」において、どのように表現すれば相手に心地よい印象を与えられるのか、多くの人が抱えるこのような問題に対して、わかりやすい「例文」を交えながら、一緒に解決の糸口を見つけていきましょう。
この記事では、残春の候にまつわるあらゆる疑問を明らかにし、皆さんが自信を持って使えるようになるためのポイントをお伝えします。
- 「残春の候」が4月下旬から5月上旬までの時期に使われる時候の挨拶であることがわかります。
- 「残春の候」の読み方が「ざんしゅんのこう」であることがわかります。
- 「残春の候」の意味として、「春の終わりと夏の始まりを感じさせる季節」を指すことがわかります。
- 手紙やはがきでの「残春の候」の使い方や例文、書き出しと結びの書き方についてわかります。
残春の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?
残春の候を使う時期はいつからいつまで?
残春の候は4月下旬から5月上旬まで使える時候の挨拶になります。
下旬は21日~31日(月末)の期間なので、残春の候は4月21日から使えるということになりますね。
また、例年5月5日頃は立夏となり暦の上では夏となります。
残春の候は春の時候の挨拶になるので、立夏を過ぎると使えないことから、4月21日~5月4日頃まで使える時候の挨拶となりますよ。
残春の候の読み方
残春の候の意味
「残春の候」は、「春の名残と夏の訪れを感じる季節になりましたね」という意味の言葉です。
春の終わりと夏の始まりの狭間に位置するこの時期は、ほろ苦い春の名残を惜しみながらも、新たな季節の訪れを予感させる独特の雰囲気があります。
「残春」という言葉自体が持つ、「春の終わり」というニュアンスは、季節の移ろいを象徴するものです。
冬から解放され、生命が芽吹き始める春。
その生命力に満ち溢れた季節もやがて終わりを迎え、次の季節へと移り変わろうとしています。
ここでいう「候」は、季節や気候、時候を指し示す言葉であり、季節の変わり目、特に春から夏へと移行するこの時期の気候や雰囲気を表しています。
このように、「残春の候」という言葉一つに、季節の移り変わりを感じさせる深い意味が込められています。
春の終わりを告げ、夏の訪れを予感させるこの時期は、日本の四季の美しさを改めて実感させてくれる特別な時期です。
それは同時に、過ぎ去りゆく時を惜しみつつも、新たな季節の到来を心待ちにする、人々の心情を映し出す言葉でもあります。
残春の候の正しい使い方は?
旧暦では春を初春(春の初め)・仲春(春の半ば)・晩春(春の終わり)と分けていて、晩春は春が終わってもうすぐ夏がくる時期を指していますよ。
そのため、本来であれば残春の候は二十四節気の清明(例年4月5日頃)から立夏(例年5月5日頃)の前日まで使える時候の挨拶になります。
しかし、4月上旬や中旬は多くの地域が桜の開花・満開を迎えており、春が終わるというよりも、春真っ盛りのイメージを持っているのではないでしょうか。
4月上旬や中旬に使っても間違いではないのですが、時候の挨拶は手紙やはがきを送る地域の気候や状況に合わせて使うのがよいとされているので、残春の候は桜が散った後の4月下旬から使うことをおすすめします。
残春の候を使った例文
ビジネスで使う場合や、目上の人に送る手紙やはがきの時候の挨拶の使い方に悩むことはないでしょう。
誤った使い方をしてしまうと相手に失礼になってしまうので、慎重に行いたいものですよね。
そこでここでは、残春の候を使った例文をご紹介します。
ビジネスで使う場合
書き出し文
- 謹啓 残春の候、貴社にはますますご清栄の由大慶に存じます。毎々格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 残春の候、貴社におかれましてはなお一層のご発展のことと大慶至極に存じます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 残春の候、貴社におかれましては益々ご盛栄の御事慶賀の至りに存じます。日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
結び文
- 涼しく爽やかな夏の時期にさしかかり、貴社がさらに繁栄されますよう心から願っております。
- 新緑が風に揺れるこの季節、貴社の一層の発展と益々のご活躍を深くお祈りしております。
- 心地よい風が吹くこの時期に、貴社の更なる繁栄を切に願っております。
目上の人に使う場合
書き出し文
- 謹啓 残春の候、〇〇様におかれましては、ますますお元気でご活躍の段、なによりに存じます。
- 拝啓 残春の候、○○様には一段とご健勝のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 残春の候、〇〇様変わらずご活躍の事とお喜び申し上げます。
結び文
- 野山が生い茂る美しい季節に差し掛かり、○○様がさらに輝かしい成果を達成されますよう心から願っております。
- 五月の晴れた空が広がるこの時期、どうぞご健康には十分にご留意いただき、素晴らしい夏をお迎えください。
- 季節の移り変わりに伴い、どうぞお体には十分気を付けて、健康を維持されますようお願い申し上げます。
親しい人に使う場合
書き出し文
- 夏がもう間近に迫っていますね。○○様は最近いかがお過ごしでしょうか。
- 鯉のぼり泳ぐ雄大な景色の季節ですね。お体の調子はいかがですか?
- 新緑が心地よい、爽やかな季節になりましたね。皆様、元気に過ごされていますか?
結び文
- もう夏が訪れる気配が風に感じられる時期になりましたね。風邪などをひかないよう、どうかご自愛ください。
- 新茶が話題になるこの季節に、〇〇さまがいつも通り健康で過ごされますよう願っております。
- もう間もなく暦で夏になりますね。季節が変わるこの時期、体調を崩しやすいので、どうぞお体を大切になさってください。
結び文とは?
文章を締めくくる結び文には、季節に関係なく使える定型文がありますが、時候の挨拶に季節感を合わせることで文章全体に統一感や風情が出るのでおすすめですよ。
ここでは、残暑の候を時候の挨拶に使った場合の、結び文の例文をご紹介します。
- 花冷えの季節、ご自愛専一にてのご活躍をお祈り申し上げます。
- 新天地での〇〇様のいっそうのご活躍を心よりお祈りいたしております。
- 連休もすぐそこです。楽しい毎日をお過ごしください。
残春の候を使うときに注意すること
残暑の候は時候の挨拶の中でも漢語調といい、それ自体が丁寧な表現になります。
そのため、親しい人や知人への手紙やはがきでは、文章の始まりが残暑の候でも問題はないでしょう。
しかし、ビジネス関係者や目上の人など、より丁寧さが求められる相手に送る手紙やはがきでは、マナーとしてNGとなります。
ビジネス関係者や目上の人への手紙やはがきには、必ず頭語をつけるようにしましょう。
頭語とは「拝啓」や「謹啓」などのことで、これらには「つつしんで申し上げます」という意味があります。
相手に敬意を表す表現のため、「拝啓 残暑の候~・・・」のように書き出すのがよいでしょう。
また、頭語をつけたら文章の終わりは結語で締めてください。
「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」、「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」になりますよ。
残春の候以外の時候の挨拶はある?
残春の候は使える期間が短いため、4月に使える他の時候の挨拶を知っていると安心ですよね。
ここでは、残春の候以外の4月に使える時候の挨拶をご紹介します。
春暖の候
3月中旬から4月中旬まで使える時候の挨拶になります。
春暖は春の暖かさと書きますが、春半ばというよりも少しずつ春に近づいている様子を表したものになりますよ。
そのため、まだ比較的気温が低い3月中旬くらいから使うことができる時候の挨拶になりますね。
桜花の候
3月下旬から4月中旬まで使える時候の挨拶です。
桜花とは文字通り桜の咲いている時期を指す言葉のため、すでに桜が散っている地域へ送る手紙やはがきには使うことができません。
南の方は開花が早い分、散る時期も早くなるので使用するときは注意してください。
陽春の候
4月初めから終わりまで使える時候の挨拶になります。
陽春とは春の麗らかな陽気という意味なので、春らしい気温が続くようになったタイミングで使うのがよいでしょう。
春爛漫の候
4月中に使える時候の挨拶です。
春爛漫とは春の花が咲き乱れる様子を表す言葉になるため、北の地方など気温がまだ低く、花があまり咲いていない地域に手紙やはがきを送る場合は、使うタイミングに注意必要ですね。
麗春の候
4月下旬から5月上旬に使える時候の挨拶になります。
麗春とはひなげしのことで、地域によって4~6月と開花時期が変わります。
手紙やはがきを送る地域の状況に合わせるのがよいでしょう。
晩春の候
二十四節気の清明(例年4月4日頃)から立夏(例年5月4日頃)の前日まで使える時候の挨拶になります。
立夏を過ぎると暦の上では夏となるので、晩春の候は使えません。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
残春の候のまとめ
「残春の候」とは、春の名残を惜しみつつ夏の訪れを感じる4月下旬から5月上旬の期間を指します。
この時期は、春が終わりかけ、新緑の季節へと移り変わる独特の雰囲気がありますね。
挨拶状や手紙で「残春の候」を用いる場合、相手に季節の変わり目を感じさせる丁寧な表現として活用できます。
「ざんしゅんのこう」と読み、季節感あふれる文脈で使うと、相手に心地よい印象を与えることができますよ。
この記事のポイントをまとめますと
- 残春の候は4月下旬から5月上旬に使う時候の挨拶
- 読み方は「ざんしゅんのこう」
- 意味は春の終わりと夏の訪れを感じさせる季節
- 4月21日から5月4日頃までが適期
- 立夏を過ぎると使用不可
- 桜が散った後の時期に相応しい
- ビジネス文書では「謹啓 残春の候」から始める
- 結び文には季節感を盛り込むことが推奨される
- 親しい人への手紙でも使用可能
- 相手の地域の気候や状況に合わせて使うべき
- 春暖の候、桜花の候など他の時期の挨拶も存在
- 頭語「謹啓」や「拝啓」と結語「敬具」や「謹言」を正しく使う
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