この記事は、名月の候を使う時期や読み方、使い方と例文、結びについて解説しています。
夜に月を眺めて「綺麗だな」と思う時がありますよね。
名月の候は、そんなタイミングで使ってもよい時候の挨拶なのでしょうか。
名月の候が使える時期などが知りたい方は多いでしょう。
そこで今回は、名月の候の使い方を詳しく調べてみました。
名月の候
名月の候は、秋の美しい時期、すなわち9月中旬から10月初旬にかけての期間を指す言葉です。
「名月」は「仲秋の名月」を意味し、「仲秋の名月」と「中秋の名月」の2つの表現が存在します。
「仲秋の名月」は旧暦8月の月全体を指し、特定の日に限らないのに対し、「中秋の名月」は旧暦8月15日の十五夜を示します。
しかし、旧暦と現在のカレンダーには差異があるため、この日付は年によって異なります。
名月の候を使う時期はいつからいつまで?
ただし、この期間ずっと、いつでも名月の候が使えるということではありません。
名月の候の意味については、次で詳しくご紹介しているのでここでは省略しますが、名月とは中秋の名月を指す言葉です。
そのため、名月の候は中秋の名月が見られる時期に使える時候の挨拶になります。
名月の候が使える具体的な時期については、「名月の候の正しい使い方」でご紹介します。
名月の候の意味や読み方は?
名月を「めいげつ」と読むのはあまり難しくありませんが、候はそうろうと読んでしまう方が多いのではないでしょうか。
時候の挨拶は音読みすることが多く、候は「こう」と読むのが正解になりますよ。
名月とは旧暦の8月15日の月を指す言葉です。
秋は空気が澄んでいるので、他の季節と比べて月がとても綺麗に見えますよね。
旧暦の8月15日に見られる満月を中秋の名月と言い、昔から『十五夜』としてお月見の行事が行われていました。
また、候には時期や時候などの意味があることから、名月の候には「十五夜の満月が綺麗な時期になりましたね」という意味がありますよ。
名月の候の正しい使い方は?
月は約29日の周期で満ち欠けを繰り返しているため、1ヶ月に1回は満月が訪れます。
そのため、満月になるタイミングであればいつでも、名月の候を使うことができると思うかも知れません。
しかし、名月の候は旧暦8月15日(新暦では9月中旬から10月下旬)にしか使うことができません。
また、先ほども少し触れましたが、名月の候は9月中旬から10月下旬ならいつでも使えるというわけではなく、あくまでも旧暦8月15日に該当する日の前後となっています。
例えば、2023年の十五夜は9月29日なので、名月の候を使えるのは9月29日前後ということになります。
ちなみに2024年の十五夜は9月17日となっていますよ。
このように、名月の候はその年の旧暦8月15日の日付によって変わるため、およそ9月中旬から10月下旬ということは言えるものの、実際に使える期間についてはその年によって変わります。
名月の候を使った例文
時候の挨拶を使った文章は、社会人として身に着けたいマナーの一つ。
ですが、普段使い慣れていないため、特に書き出しはどのように書いてよいのか悩んでしまうという方は多いでしょう。
そこでここでは、名月の候を使った文章の例文をご紹介します。
ビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのパターン別となっているので、手紙やはがきなどを送る相手に合わせて参考になさってみて下さい。
ビジネスで使う場合
目上の人に使う場合
親しい人に使う場合
なお、親しい人には名月の候を使う必要はありません。
名月の候のような〇〇の候は、時候の挨拶の中でも丁寧な表現となるため、親しい人に使うとよそよそしさを感じてしまうからです。
親しい人への文章の書き出しは、「月が綺麗な時期になりましたね」のような書き出しの方がよいでしょう。
名月の候の結び文
結び文には季節に関係なく使える定型文がありますが、時候の挨拶の季節感に合わせた結び文にすると、文章全体に統一感が生まれます。
名月の候を時候の挨拶に使うのではあれば、秋の始まりを感じさせる結び文がよいでしょう。
ここでは、名月の候を使った場合の結び文の例文をご紹介します。
名月の候を使うときに注意すること
名月の候を使うときに注意したいのは、手紙やはがきなどを送る相手に合わせて頭語をつける、ということです。
時候の挨拶の中でも名月の候のような〇〇の候は、漢語調といってそれ自体が丁寧な表現なのですが、ビジネス関係者や目上の人に対していきなり「名月の候」から始まる文章を送るのはNGになります。
正しいマナーで送るなら、「謹啓 名月の候」のような書き出しがよいでしょう。
一般的によく使われる頭語の「謹啓」や「拝啓」には、「謹んで申し上げます」という意味があり、相手に敬意を表すことができます。
また、頭語には結語が対になっているので、文章の締めくくりに結語をつけるのも忘れないでください。
「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」、「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」と決まっているので、こちらも併せて覚えておくのがよいでしょう。
なお、女性のみですがどの頭語でも結語に「かしこ」をつけることができますが、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきなどでは使わないようにして下さい。
名月の候以外の9月の時候の挨拶はある?
名月の候は、仲秋の名月(十五夜)の前後に使える時候の挨拶になるので、それ以外は使うことができませんよね。
そのため、9月に使える名月の候以外の時候の挨拶を知りたい方は多いでしょう。
ここでは、名月の候以外に9月に使える時候の挨拶をご紹介します。
涼風の候
8月下旬から9月上旬に使える時候の挨拶です。
涼風は涼しい風と書きますが、秋が近くなる時期のみに使うことができます。
涼風の候には「秋めいた涼しい風が吹く時期になりましたね」という意味がありますよ。

白露の候
9月7日頃から21日頃に使える時候の挨拶になります。
白露は二十四節気の一つで、「草や木に白い露がつく時期になりました」という意味があります。

秋分の候
9月22日頃から10月7日頃まで使える時候の挨拶です。
秋分も二十四節気の一つで、昼と夜の長がほぼ同じという意味があります。
秋分の日はその日のみを指しますが、二十四節気の秋分は次の節気の寒露まで使える時候の挨拶になりますよ。

仲秋の候
9月7日頃から10月7日頃まで使える時候の挨拶です。
仲秋には旧暦の秋の半ばという意味があり、二十四節気の白露から寒露までの約1ヵ月の間に使える時候の挨拶になりますよ。

秋晴の候
9月下旬から10月中旬に使える時候の挨拶になりますが、明確にこの期間と決まっているわけではありません。
「秋の晴れた空が美しい時期になりましたね」という意味の通り、9月中旬や10月下旬に使っても問題はないとされています。

Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
まとめ
名月の候は旧暦8月15日の十五夜に該当する時期に使える時候の挨拶です。
旧暦8月15日を新暦に直すと、その年によって日付に違いがあるため、名月の候は毎年使える時期が変わることになりますね。
おおよそですが9月中旬から10月下旬の期間に十五夜となります。
名月の候は十五夜の前後にしか使えないので、使える期間がとても短い時候の挨拶と言えます。
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