秋風の候を使う時期や読み方、使い方と例文、結びについて解説しています。
秋風の候は秋になってまもなくの、まだ夏の温かさを含んだ風を指す言葉なのでしょうか。
それとも、秋の終わりの冬に近づいた寒さを感じさせる風という意味なのか気になりますよね。
時候の挨拶は、使うタイミングを間違えてしまってはいけません。
そのため、秋風の候の使うタイミングを正確に知りたいという方は多いでしょう。
そこで今回は、秋風の候の使い方を詳しく調べてみました。
秋風の候を使う時期はいつからいつまで?
秋風の候は、9月全般に使える時候の挨拶です。
この言葉は、秋の訪れを感じさせる涼やかな風が吹き始める時期を指し、9月のどの時期においても適用可能です。
一般的に、日本の時候の挨拶は季節の変化を反映しており、それぞれの月や時期に特有の表現が使われます。
その中で、秋風の候は非常に柔軟であり、9月の初めから終わりまでの期間、つまり9月1日から9月30日まで使用できるため、覚えやすく使いやすい表現です。
秋風の候の意味や読み方は?
「秋風の候」は、「あきかぜのこう」と読みます。
季節の挨拶としてよく使われるこの表現には、豊かな日本語の美しさが詰まっています。
まず、「秋風」を「あきかぜ」と読むことは、多くの方にとって難しくないでしょう。
時候の挨拶では、言葉が音読みされることが一般的ですが、「秋風の候」では少し違います。
「秋風」は訓読みで「あきかぜ」と読み、「候」だけが音読みで「こう」となります。このような組み合わせが、言葉に独特のリズムと美しさを与えているのです。
では、「秋風の候」という表現の具体的な意味について見てみましょう。
「秋風」は文字通り秋に吹く風を指し、涼しさや爽やかさを感じさせます。
「候」には、時期や季節を示す意味があります。
したがって、「秋風の候」とは「心地よい秋の風が吹く季節になりましたね」という意味になります。
秋風の候の正しい使い方は?
秋風には秋になって吹く涼しい風、という意味があります。
新暦では9~11月が秋に該当しますが、秋風の意味を考えると10月や11月に秋風の候を使うのは適しているとは言えません。
10月や11月に吹く風は、秋の始まりの風というよりも、秋が深まり、冬に近づいて吹く冷たい風だからです。
このようなことから、秋風の候が実際に使えるのは秋の始まりとなる9月のみ、ということになります。
秋風の候を使った例文
秋風の候を使った文章は、書き出しに悩んでしまう方は多いですよね。
そこでここでは、秋風の候を使った例文を3つのケース別にそれぞれご紹介します。
手紙やはがきなどを送る相手に合わせて、例文を元に文章を作成してみましょう。
ビジネスで使う場合
- 拝啓 秋風の候、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 秋風の候、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。
- 拝啓 秋風の候、日ごとに涼しさが増してまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 拝啓 秋風の候、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 拝啓 秋風の候、秋の訪れを感じる季節となりましたが、皆様のご健康をお祈りいたします。
目上の人に使う場合
親しい人に使う場合
なお、親しい人に対して必ずしも秋風の候を使う必要はありません。
秋風の候などの〇〇の候は、時候の挨拶の中でも丁寧な表現となるので、親しい人が受け取るとよそよそしさを感じてしまうこともあります。
親しい人には秋風の候を使わず、「秋の心地よい風が吹く季節になりましたね。お元気ですか」のような書き出しがよいでしょう。
秋風の候の結び文
結び文とは文章の締めくくりに書く文です。
結び文には季節に関係なく使える定型文がありますが、時候の挨拶の季節感に結び文を合わせることで、文章全体に統一感が生まれます。
ここでは、秋風の候を使った場合の結び文の例文をご紹介します。
- 朝晩は冷え込むようになり、秋の深まりを感じる頃です。どうぞお風邪など召されませぬようご自愛ください。 敬具
- 秋の夜長が続く中、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。 敬具
- 秋桜が美しく咲き誇る季節となりました。どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。 敬具
- 秋の味覚が楽しめる頃となりました。どうぞ健康に留意し、実り多き秋をお過ごしください。 敬具
- 秋冷が身に染みる季節となってまいりました。どうかお体を大切に、温かくしてお過ごしください。 敬具
秋風の候を使うときに注意すること
秋風の候は、手紙やはがきなどで季節の挨拶としてよく用いられる表現です。
しかし、ビジネス関係者や目上の方に送る際には、いくつかの点に注意する必要があります。
まず、秋風の候を使う前に、適切な頭語をつけることが重要です。
頭語とは、手紙の冒頭に書く挨拶のことで、相手に対する敬意や親しみを表します。
特に、ビジネス関係者や目上の方に対しては、「謹んで申し上げます」という意味を持つ「謹啓」や「拝啓」を使用するとよいでしょう。
これらの頭語は、相手への敬意を示すため、ビジネスシーンでは欠かせないマナーとなっています。
さらに、手紙の終わりには必ず結語をつけることが求められます。
結語は、「さようなら」の意味を持つ挨拶であり、頭語に対応した結語を選ぶことが重要です。
以下に、主な頭語と対応する結語をまとめました。
頭語 | 対応する結語 |
---|---|
謹啓 | 謹言、謹白 |
拝啓 | 敬具、敬白 |
女性の場合、どの頭語に対しても結語として「かしこ」を使うことができますが、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の方に送る手紙やはがきでは避けた方が無難です。
具体的には、以下のような構成で手紙を書くと良いでしょう:
謹啓
秋風の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
(本文)
謹言
このように、頭語と結語を適切に使い分けることで、相手に対する敬意をしっかりと伝えることができます。
また、季節の挨拶である「秋風の候」を効果的に用いることで、手紙の印象をより一層豊かにすることができます。
これらのポイントを押さえて、ビジネスシーンやフォーマルな場面での手紙やはがきを書く際には、ぜひご参考にしてください。
適切な挨拶とマナーを守ることで、相手との関係をより良好に保つことができるでしょう。
秋風の候以外の9月の時候の挨拶はある?
9月全般に渡って使うことができ、天気や天候に左右されにくい秋風の候は、使いやすい時候の挨拶と言えますよね。
とは言え、もう少し状況を取り入れた時候の挨拶を使いたいと言う方や、他の時候の挨拶も知りたい場合もあるでしょう。
そこでここでは、秋風の候以外に9月に使える時候の挨拶をご紹介します。
涼風の候
涼風の候は8月下旬から9月上旬に使える時候の挨拶です。
涼風は秋風に似た言葉に思えますが、初秋から仲秋へと秋が深まる時期に使う秋風の候に対し、涼風の候は「夏も終わりに近づき、秋めいた涼しい風が吹く時期になりましたね」という意味があり、初秋に使う時候の挨拶となります。
爽秋の候
爽秋の候は9月上旬から中旬に使える時候の挨拶になります。
「爽やかで心地のよい季節になりましたね」という意味があり、秋らしい天気の時に使いたい時候の挨拶となっていますよ。
白露の候
白露の候は、9月7日頃から21日頃に使える時候の挨拶になります。
白露は二十四節気の一つで、「草や木に白い露がつく時期になりました」という意味があります。
二十四節気にちなんだ時候の挨拶のため、実際に草木に露がなくても、白露の時期になれば使うことができますよ。
秋分の候
秋分の候は9月22日頃から10月7日頃まで使える時候の挨拶です。
秋分の日が有名ですが、時候の挨拶の秋分とは二十四節気における秋分の期間(次の寒露まで)が該当します。
仲秋の候
仲秋の候は9月7日頃から10月7日頃まで使える時候の挨拶です。
仲秋とは旧暦の秋の半ばを指す言葉になります。
秋冷の候
秋冷の候は9月下旬から10月中に使える時候の挨拶です。
秋冷には秋が深まって肌に感じる寒さや冷たさという意味があります。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
秋風の候のまとめ
秋風の候は9月全般に使える時候の挨拶です。
「秋」風なので、10月や11月に使ってもよいのでは?と思うかも知れませんが、秋風とは一般的に秋の始めの涼しい風のことを指す言葉です。
秋が深まり、冷たさが増した風のことではないので、10月や11月には使えないので注意しましょう。
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