歳晩の候という言葉、年末の挨拶として耳にすることはあっても、その正しい使い方や時期については意外と知られていないかもしれません。
12月のどの時期に使うのが適切なのでしょうか?
また、その読み方や具体的な使い方は?
この記事では、歳晩の候の正しい使い時と読み方、さらにはビジネスやプライベートでの適切な使い方や例文、そして手紙の結びの言葉まで、詳しくご紹介します。
年末の挨拶に悩む方にとって、この記事が解決策となることでしょう。
- 「歳晩の候」が使われる正確な時期
- 「歳晩の候」の読み方
- ビジネスや目上の人への手紙での歳晩の候の使い方
- 親しい人へのカジュアルな使い方
- 手紙やはがきでの歳晩の候の結び文の例
歳晩の候を使う時期はいつ?
一般的に下旬とは21日から末日までを指すため、歳晩の候は12月21日から31日まで使える時候の挨拶ということになりますね。
歳晩の候の意味や読み方は?
時候の挨拶は音読みすることが多く、歳晩の候も音読みで「さいばんのこう」となります。
歳晩とは一年の終わり、年の瀬のことで、歳末や年末と同じ意味がありますよ。
候には時期や時候などの意味があることから、歳晩の候は「一年の終わりの時期になりましたね」という意味になります。
歳晩の候の正しい使い方は?
12月に入りと、なんとなくですが町並みの雰囲気が年の瀬らしさを感じやすくなりますよね。
そのため、歳晩の候も12月に入ってすぐに使いたくなってしまう方がいるかも知れません。
12月は一年の終わりの月ではありますが、上旬に時候の挨拶として歳晩の候を使うのは、やや時期尚早と言えるでしょう。
また、12月中旬になると年の瀬が近づいたようにも思えますが、12月に使える時候の挨拶は他にもあり、わざわざ歳晩の候を使う必要もないように思えます。
歳晩の候は年末がいよいよ近づく12月下旬に使うのが、やはり最も適したタイミングと言えそうですね。
歳晩の候を使った例文
歳晩の候は日常会話で使う言葉ではないため、いざ手紙やはがきなどで書こうと思っても、書き出しに悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。
特にビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきなどでは、失礼のないようにしたいものですよね。
そこでここでは、歳晩の候を使った例文をビジネスで使う場合、目上の人に使う場合、親しい人に使う場合の3つのパターン別に分けてそれぞれご紹介いたします。
ビジネスで使う場合
目上の人に使う場合
親しい人に使う場合
なお、親しい人に関しては必ずしも歳晩の候を使う必要はありません。
歳晩の候のような〇〇の候は漢語調といい、時候の挨拶の中では丁寧な表現となります。
ビジネス関係者や目上の人には漢語調を使うのがマナーですが、親しい人に使うと改まりすぎてしまい、よそよそしさを感じさせてしまうことがあります。
そのため、親しい人には漢語調よりもカジュアルな口語調を使うのがよいでしょう。
歳晩の候を口語調にするなら、「一年も終わりの時期になりましたね」のような書き方になりますよ。
歳晩の候の結び文
結び文とは文章の締めくくりに書くもので、ビジネス関係の手紙やはがきなどでは季節に関係なく使える定型文がありますが、時候の挨拶の季節感と結び文を合わせると文章全体に統一感が生まれてまとまります。
ただし、時候の挨拶に使われている言葉や内容を、結び文に重複して使うのはNGです。
歳晩の候を使った場合であれば、結び文には年の瀬や一年の終わりという言葉や内容を含めないようにしましょう。
ここでは、歳晩の候の結び文の例文をご紹介します。
歳晩の候を使うときに注意すること
ビジネス関係者や目上の人に送る手紙やはがきなどでは、歳晩の候の前に必ず頭語をつけましょう。
先ほど、歳晩の候のような〇〇の候は時候の挨拶の中でも丁寧な表現とお伝えしましたが、だからといって文章の冒頭がいきなり歳晩の候になるのはマナーとしてNGです。
頭語には「こんにちは」という意味がありますが、特にビジネス関係者や目上の人に使われる頭語に「謹啓」と「拝啓」があります。
これらには「謹んで申し上げます」という意味があり、相手に対する敬意を表すことができるため、どちらかを使うことをおすすめします。
また、文章の冒頭に頭語をつけたら、終わりは結語で締めるのもマナーになりますよ。
頭語と結語は対になっており、「謹啓」の結語は「謹言」もしくは「謹白」、「拝啓」の結語は「敬具」または「敬白」と決まっているので覚えておくのがよいでしょう。
なお、女性のみですが、どの頭語でも結語に「かしこ」をつけることができます。
しかし、「かしこ」はややカジュアルな印象を与えるため、ビジネス関係者や目上の人には使わない方がよいでしょう。
歳晩の候以外の12月の時候の挨拶はある?
12月上旬や中旬に使える時候の挨拶が知りたい、もしくは12月下旬に使える歳晩の候以外の時候の挨拶が知りたい方は多いでしょう。
そこでここでは、12月に使える歳晩の候以外の時候の挨拶をご紹介します。
大雪の候
大雪の候は12月7日頃から21日頃まで使える時候の挨拶です。
大雪には激しくたくさん積もった雪という意味がありますが、時候の挨拶として使う場合は二十四節気の大雪にちなんでおり、雪が多く降る時期という意味になります。
そのため、実際にたくさん雪が降っていなくても、上記の期間に大雪の候を使うことができますよ。
師走の候
師走の候は12月全般に使える時候の挨拶です。
師走は12月の和風月名となっており、聞き馴染みがある方は多いですよね。
12月であればいつでも使える時候の挨拶のため、覚えておくと便利でしょう。
寒気の候
寒気の候は12月全般に使える時候の挨拶です。
寒気には、気温が下がって寒いという意味があるので、12月に使えるといっても天気が温暖な状況では使わない方がよいでしょう。
冬至の候
冬至の候は12月22日頃から1月5日頃まで使える時候の挨拶です。
冬至は二十四節気の一つで、一年で最も日が短く夜が長い日という意味がありますが、時候の挨拶として使う場合は次の節気である小寒まで使うことができますよ。
年末厳寒の候
年末厳寒の候は12月下旬に使える時候の挨拶です。
年末とは12月下旬を指す言葉で、厳寒とは寒さが厳しいという意味になります。
なお、時候の挨拶には厳寒の候がありますが、こちらは一年で最も寒いとされる小寒から大寒の期間を指し、1月に使える時候の挨拶となっています。
Wordであいさつ文や定型文を挿入する方法
仕事上で取引先の相手にあいさつ文を送る、目上の人に手紙やはがきを出す時などに、「書き出しに悩んでしまい、なかなか作業が進まない」なんてことはよくあるのではないでしょうか。
そのような時はWordを利用してみましょう。
Wordにはあいさつ文のテンプレートがあるので、参考にすると作業が捗りやすくなりますよ。
ここではwordを使ったあいさつ文や定型文の挿入方法をご紹介します。
手順
①Wordを開きます
②挿入タブをクリックします
③テキストのところにある「あいさつ文」をクリックします
④あいさつ文の挿入を選びます
⑤何月のあいさつ文を作成するのか、最初に月を選びましょう
⑥月のあいさつ、安否のあいさつ、感謝のあいさつをそれぞれ選びます
⑦選んだら「OK」をクリックしてください
⑧Wordに選んだ文章が表示されます
ポイント
Wordではあいさつ文だけではなく、あいさつ文の後に続ける「起こし言葉」や「結び言葉」も選ぶことができますよ。
挿入タブ→テキストのあいさつ文をクリックした後、起こし言葉もしくは結び言葉を選んでください。
歳晩の候のまとめ
「歳晩の候」とは、12月21日から31日に使う時候の挨拶で、「さいばんのこう」と読みます。
一年の終わりを意味し、年末の雰囲気を感じさせる表現です。
ビジネス文書や目上の方への手紙では、敬意を込めて「謹啓 歳晩の候」といった形で使われます。
親しい人へは、もう少しカジュアルな言い回しで「歳晩の候、寒さが増してきましたね」と使うと良いでしょう。
歳晩の候を使う際は、頭語や結語を正しく使い、季節感を大切にすることがポイントです。
また、12月には「大雪の候」「師走の候」など他の時候の挨拶もありますので、シーンに合わせて使い分けると良いですね。
この記事のポイントをまとめますと
- 「歳晩の候」は12月21日から31日に使う時候の挨拶
- 読み方は「さいばんのこう」
- 一年の終わり、年の瀬を意味する表現
- ビジネス文書や目上の方への手紙で敬意を表して使用
- 親しい人へはカジュアルな言い回しで適用
- 正しい頭語と結語の使用が重要
- 季節感を大切にすることがポイント
- 12月には「大雪の候」「師走の候」など他の挨拶も存在
- 挨拶の選択はシーンに合わせて行う
- 漢語調の表現はビジネスや目上の人に適している
- 口語調での表現は親しい人向け
- 「歳晩の候」は日常会話ではなく、特に手紙やはがきで使用
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