送り火の意味や由来は?いつ行えばいいの?やり方は?

送り火とは?やり方を教えて!準備するものや行う場所や時間帯は?

お盆には、浄土(あの世)から現世(この世)にやっていた先祖や故人の霊が、道に迷うことなく戻れるように『送り火』を焚きます。

しかし、近年は住宅事情や環境問題などから、昔のように自宅前で送り火を焚くことができなくなってしまっていることから、送り火と言われてもよくわからないと思っている方も少なくありません。

そこで今回は、送り火について詳しく調べてみました。

送り火の意味や由来、送り火のやり方などの他、送り火の日程や、その時に行われる行事や風習などもご紹介します。

目次

送り火の意味や由来


送り火は、お盆の初日に浄土から現世へとやってきた先祖や故人の霊が、最終日に浄土へと戻る際に焚く火のことです。

送り火を焚いた時に天に昇る煙に乗って、先祖や故人の霊は浄土に帰っていくと言われています。

お盆はそもそも、盂蘭盆会(うらぼんえ)と言う仏教行事が元となっていますが、仏教の発祥国であるインドや中国では精霊を供養する盂蘭盆会はあっても、日本のような先祖供養の意味を含んでいません。

つまり、お盆に先祖や故人の霊を迎えて供養するのは日本独自の風習と言えます。

また、日本の中でも宗派によっては、お盆に先祖や故人の霊が戻ってくる準備をしたり、お迎えをしないところもあります。

浄土真宗の場合、亡くなった時点で仏となり成仏していると考えられているので、お盆だからと言って特別に先祖や故人の霊をお迎えしないのです。

そのため、迎え火や送り火を焚くこともありません。

送り火はいつ?

送り火はお盆期間の最終日に行うことが多いため、7月がお盆の地域であれば7月16日、8月がお盆の地域であれば8月16日と言うのが一般的です。

ただし、地域によっては最終日前日の7月15日や8月15日に行う場合もあります。

ちなみに、先祖や故人の霊をお迎えする迎え火は、7月がお盆の地域であれば7月13日、8月がお盆の地域であれば8月13日に焚くのが一般的ですが、こちらも必ずこの日にしなければいけないというわけではなく、「お盆が始まる前に先祖や故人の霊をお迎えする」として、7月12日もしくは8月12日に焚く場合もあります。

送り火のやり方について


最近は送り火を行っている個人宅を見かけることが少ないため、送り火のやり方がよくわからないという方も多いのではないかと思います。

そこでここでは、事前に準備するものを始め、行う場所や時間帯などを詳しくご紹介します。

準備するもの

焙烙(ほうろく)

素焼きの平皿のことで、この上で火を焚いて先祖や故人の霊をお見送りします。

焙烙は仏具店で購入ができますが、用意できない時は耐熱用の平皿や灰皿を代用しても構いません。

おがら(苧殻)

麻の皮を剥いだ茎の部分で、焙烙の上に乗せて火をつけます。

麻には昔から魔除けの効果があるとされ、火をつけることで周囲の空気を清浄し、悪い霊を呼び込まないようにするためです。

おがらはお盆時期になるとホームセンターやスーパー、花屋で買うことができます。

おがらがない場合は、松を代用してもよいでしょう。

松も昔から神聖な植物として、神事に使われています。

精霊馬

精霊棚(盆棚)に飾った精霊馬(きゅうりやなすで作った神様の乗り物)を一緒に燃やします。

なお、先祖や故人の霊が浄土に帰る時は、歩みの遅い精霊牛に乗って景色を楽しみながら帰ります。

行う場所

自宅の前や門口で行います。

ただし、昨今の住宅事情などから、自宅前とは言え勝手に火を焚くと注意を受けることがあるかも知れません。

そのため、送り火を行う時は事前に町内会や自治会に確認をするとよいでしょう。

行う時間帯

送り火を焚くのは夕方が一般的です。

夕方と言っても、日が暮れかけて空がうっすら暗くなってきた時間ではなく、どっぷりと日が落ちて真っ暗になったくらいがよいと言われています。

これは、送り火によって先祖や故人の霊をお見送りする時は、少しでも長く一緒にいたいという気持ちを表すものとされるからです。

迎え火の場合はこの逆で、同じ夕方に火を焚きますが、まだ空が明るい時間から焚いて先祖や故人の霊を少しでも早く迎え入れたいという気持ちを表します。

火の焚き方

おがらを適当な大きさに折り、焙烙の上に乗せます。

マッチやライターなどでおがらに直接火をつけて燃やしますが、燃えにくい時は新聞紙など火がつきやすいものを使ってもよいでしょう。

また、おがらがない場合は松や松明を使うこともあります。

送り火に合わせて行う風習


地域によっては、送り火を焚いて家に近い場所(内)から遠い場所(外)へと送り火をまたぐ風習があります。

またぐことで、病気や災いなどから身を守ることができると考えられているようです。

この他に、自分の宗派のお経を唱えたり、地域に伝わる言葉を唱えることもあるようです。

なお、送り火を個人で行うのではなく地域や団体で行っている場合もあります。

京都の大文字焼きや長崎の灯篭流しなどがそうで、これらも送り火と同じ意味があります。

送り火と迎え火の違い


お盆には送り火だけではなく、迎え火も行われます。

やり方や場所などは同じですが、送り火と迎え火は行う日が違い、お盆の最終日に行うことが多い送り火に対し、迎え火はお盆の初日に行うことが多います。

こうした違いは、送り火と迎え火のそもそもの違いが関係しています。

送り火という言葉通り、送り火は先祖や故人の霊が浄土に戻るのをお見送りしますが、一方の迎え火は先祖や故人の霊が浄土から現世へとやってくるのをお迎えするものです。

迎え火を焚くのは、現世へとやってくる際に自宅の場所を間違わないように、火を焚いて目印とするためです。

上記で送り火の時に家に近い場所から遠い場所へと火をまたぐ風習がある地域をご紹介しましたが、迎え火の場合はこれとは逆に、家から遠い場所から近い場所へと火をまたぎます。

こうすることで、やってきた先祖や故人の霊を家の中へと招き入れるという意味があるそうです。

提灯は必要?


迎え火や送り火を焚いて先祖や故人の霊をお迎え、お見送りをするなら提灯はいらないのでは?と考える方もいますが、昔は迎え火の火を提灯に移し、お盆期間中はずっと提灯に火を灯しておくのが一般的でした。

そのため、迎え火、送り火とは別に提灯を用意する必要があります。

また、マンションなどの共同住宅にお住まいだと、迎え火や送り火を焚くことができませんよね。

そのような場合は、提灯が迎え火、送り火の代わりとなるため、どちらにしても提灯は必ず必要と考えた方がよいでしょう。

なお、現在は防災対策として直接火を灯す提灯はほとんど市販されておらず、電気や電池によって灯りがつくようになっています。

まとめ

送り火とは、一般的にお盆の最終日の夕方に、先祖や故人の霊を浄土へとお見送りするために焚く火のことです。

昔は個人が自宅前や門口で行っていましたが、近年は行うのがなかなか難しいのが現状で、送り火を行っているところをあまり見かけないかも知れません。

なお、個人での送り火は減っていますが、京都の大文字焼きや長崎の灯篭流しなど、イベントとして送り火を行っている地域は今も数多くあります。

先祖や故人の霊をお見送りに、今年はそのようなイベントに参加してみるのもよいでしょう。

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