お盆に飾るきゅうりとなすで作った精霊馬の置き方は?処分の方法は?
お盆になると、きゅうりやなすに割りばしなどを刺した飾りを、精霊棚(盆棚)やお墓で見かけることがあります。
これらは精霊馬(精霊牛)と言いますが、一体どのような意味があるのでしょうか。
また、どうしてきゅうりやなすを使うのか、他の野菜ではダメだったのか少し不思議ですよね。
そこで今回は、お盆に飾る精霊馬について調べてみました。
精霊馬の作り方や置き方、処分の仕方などをご紹介します。
お盆に飾るきゅうりとなすの意味
お盆に飾るきゅうりとなすは、精霊馬(しょうりょううま)と言います。
これは、お盆になって先祖や故人の霊が極楽浄土(あの世)から現世(この世)へと戻ってくる時や、この世からあの世へ帰る時に乗る乗り物とされています。
ちなみに、きゅうりは精霊馬で、なすは精霊牛(しょうりょううし)と呼びますが、2つを合わせて精霊馬と表現することが多いです。
先祖や故人の霊が乗る乗り物がどうして馬と牛なのか?と思いますが、馬は先祖の霊がこの世にやってくる時に乗る乗り物です。
理由は、「足の速い馬に乗って、一刻も早く私達の元に帰ってきてほしいから」です。
一方、あの世に帰る時は牛になります。
「牛は歩みが遅いため、ゆっくりと景色を楽しみながら帰れるように」という願いが込められていると言われています。
ただし、地域によってはこの意味が全く逆で、先祖の霊がこの世にやってくる時は「ゆっくりと景色を楽しみながら来られるように」精霊牛を、あの世に帰る時は「急いで帰れるように」精霊馬を飾るところもあります。
さらには、帰りに牛に乗るのは馬よりも荷物が運べるため、たくさんのお土産を持って帰ってもらいたいからという理由の場合もあります。
なお、きゅうりとなすが使われているのは、どちらも夏を代表する野菜であり、入手が容易かったからだと言われています。
精霊馬の作り方
用意するのは、きゅうりとなす、それに割りばし(もしくは爪楊枝やマッチ棒など)でOKです。
きゅうり
まっすぐよりも、少し曲がっている方が馬らしさが出ます。
片方の端が上を向いているとよいでしょう。
割りばし1本を4等分にカットし、それを足に見立ててきゅうりに刺します。
(次に、なすで作る精霊牛の説明をしていますが、馬は牛よりも割りばしを長めにすることで、より馬らしくなります)
さらに、後ろ足は前足よりもやや短めにすると、より動物らしさが出ます。
また、足の前後の間隔を広めにとるのもポイントです。
(割りばしの代わりに爪楊枝やマッチ棒を使う時にも同様に行いましょう)
なす
きゅうりと同じように、少し曲がっているもの、ヘタの部分が上に跳ねているものを選ぶとよいでしょう。
ヘタを頭にして、きゅうりより短めにカットした割りばしを足に見立てて刺します。
前足を長め、後ろ足を長めに作るとよいでしょう。
※なお、ここでは最もポピュラーな作り方を説明しましたが、最近はオリジナルで作る人も多く、YouTubeなどの動画サイトでは作り方を詳しくご紹介してます。
参考までに一つ動画を掲載しますので、よかったら参考になさってみて下さい。
精霊馬の置き方
精霊馬の置き方は様々ですが、一般的には精霊棚(盆棚)に飾ります。
精霊棚は仏壇の前に設置し、経机や小机の上に真菰(まこも)のゴザを敷き、その上にお供え物と一緒に精霊馬を置きます。
(精霊棚についても、大中小の机を用意して段差ができるように棚を作るなど、地域などによって異なります)
精霊棚のどの部分に置くかは特に決まっていませんが、精霊馬や精霊牛が先祖の霊を乗せる乗り物という話によって、迎え盆となる8月13日(もしくは7月13日)には、きゅうりとなすの頭を精霊棚の内側に向け、送り盆となる8月16日(もしくは7月16日)は、精霊棚の外側に向けます。
また、迎え盆は精霊馬のみを玄関の方向に向け、送り盆は精霊牛のみを玄関の方向に向けることもあります。
この他にも、先祖の霊は東から入ってきて、西の方向に向かって帰ると考えられている地域では、きゅうりを西向きに、なすを東向きに飾ることもあります。
さらに、精霊馬は精霊棚ではなく玄関や門に飾る場合もあります。
このように、精霊馬の置き方や飾り方は地域や宗派によって全く違います。
引っ越しなどでやってきたばかりで事情がよくわからないという時は、事前に地域の人に確認しておくのがよいでしょう。
精霊馬や精霊牛の処分の方法
お盆に飾った精霊馬や精霊牛は、昔は送り火と同じ意味を持つ精霊流しの際に、川や海に流していましたが、現在は環境問題などから個々が行うのは自治体で禁止されています。
あらかじめ許可を取っているお寺や団体などに持って行き、流してもらう分には構いませんが、行っているところが少なく、探しても見つからないことも多いでしょう。
そこでここでは、精霊流し以外の精霊馬の処分方法をご紹介します。
① 送り火で燃やす
先祖や故人の霊があの世に戻る際に焚く送り火では、お供え物や精霊馬を一緒に燃やします。
先祖の霊は送り火の煙に乗ってあの世に帰ると言われているので、精霊流しと同様に昔から行われているものになります。
ただし、昨今は送り火についても、自宅前だからと言って許可なく行えないケースもあるため、誰もができる処分方法とは言えないでしょう。
お寺で送り火やお焚き上げを行っている場合は、持参すると処分してもらえますので、事前に問い合わせてみるとよいでしょう。
② 土に埋める
精霊馬は元はきゅうりやなすなので、庭がある場合には土に埋めて処分することができます。
③ 燃えるごみに出す
そのまま他のごみと一緒に出して構いませんが、先祖の霊を迎える(送る)ために使われたもののため、塩や酒で清めた後に半紙などに包んで捨てるとよいでしょう。
浄土真宗はきゅうりとなすを飾らない?
実はこれは、どの宗派にも通じる考え方ではありません。
中でも浄土真宗は、他の宗派とは違うお盆を過ごすことで知られています。
浄土真宗の開祖である親鸞(しんらん)は、「お盆に先祖の霊が帰ってくることはない」としています。
そのため、先祖の霊が乗る精霊馬や精霊牛を飾る必要がないのです。
もちろん、精霊棚も用意しませんし、迎え火や送り火も焚きません。
盆提灯についてはお寺によって考え方が違い、先祖の霊が道に迷わないように目印にするものではないものの、飾る分には問題ないというところもあれば、飾ること自体をしない場合もあります。
とは言え、浄土真宗はお盆を行わないわけでなく、「歓喜会(かんぎえ)」と言って、自宅に親戚などが集まってお経を読んだり、お寺で法話会が開かれたりします。
お盆の期間についても、8月13日~16日もしくは7月13日~16日となっており、その点は他の宗派と変わりません。
まとめ
お盆に飾る精霊馬は、先祖の霊があの世からこの世に降りてくる時(この世からあの世に帰る時)に乗る、乗り物という意味があります。
きゅうりやなすを使うのは、夏に旬を迎える野菜のため、どの家庭でも用意しやすかったからと言われています。
きゅうりやなすに割りばしなどを刺して、それぞれを馬、牛に見立て、他のお供え物と一緒に精霊棚に飾りますが、浄土真宗ではお盆に先祖の霊がこの世に戻ってくるという考え方がないため、一般的なお盆の行事は行いませんが、浄土真宗独自の「歓喜会」が開かれ、自宅に僧侶を招いて親鸞の教えや読経を読んだり、お寺にて法話会が開かれます。
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