急性副鼻腔炎の症状と治し方!効果的な市販薬は?風邪との違いは?
外の冷たい空気を吸った時や、花粉、ホコリなどが舞っているところに行くと、くしゃみが出ることがありますよね。
これは、鼻の中の粘膜がウイルスや細菌などが体内に入り込んだり、温度差の激しい空気が肺に流れ込むのを防ぐために感知して起こると言われています。
鼻水が出ると鼻をかむ必要があるため面倒・・と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、体を健全に保つためには欠かせない防衛反応の一つと言えるでしょう。
しかし、かんでもすぐに鼻水が溜まってしまったり、息を吸うのもつらくなるほどの鼻づまりを起こしてしまうと、いくら防衛反応とは言えちょっと厄介に感じてしまいますよね。
本来であれば体を守るための鼻水が、日常生活に支障をきたすほどひどい場合は、急性副鼻腔炎の可能性があります。
もしかしたら聞き慣れない言葉かも知れませんが、急性副鼻腔炎は実はとても身近な疾患で、知らないうちに発症していることもよくあるようです。
そこで今回は、急性副鼻腔炎について調べてみました。
急性副鼻腔炎の原因や症状を始めとして、対処法や予防法、症状が似ている風邪との違いなどを詳しくご紹介したいと思います。
急性副鼻腔炎とは?
急性副鼻腔炎とは、副鼻腔内で起こる急性の炎症のことを言います。
私達が一般的に認識している鼻は、いわゆる鼻腔のことで鼻の穴から繋がる鼻の内部のことを指していますが、鼻には鼻腔以外にも副鼻腔と呼ばれる空洞が存在します。
副鼻腔は鼻腔の周囲にあり、頬の奥にある上顎洞、目の間にある篩骨洞、鼻の奥側にある蝶形骨洞、目の上にある前頭洞の4ヶ所からなります。
これらの副鼻腔は、自然孔と呼ばれる細い穴を通じて鼻腔と繋がっており、鼻腔と同じように空気に混じって侵入した細菌やホコリを排出する働きを持っていますが、一方で鼻腔内で感染した細菌も穴を通じて副鼻腔へと侵入してしまうことがあります。
副鼻腔内で細菌感染が起こると、細菌が増殖して炎症を起こし、やがて副鼻腔内に膿が溜まって様々な症状を引き起こしますが、これが副鼻腔炎と呼ばれるものになります。
鼻水や鼻づまりの症状が主であるため、風邪などと間違いやすいと言えますが、副鼻腔炎は炎症が起こっているため、鼻水の種類や症状の出方が風邪とは異なります。
急性副鼻腔炎の原因は?
急性副鼻腔炎を発症する主な原因は、肺炎球菌やインフルエンザ、ブドウ球菌などの細菌感染によるものと言われています。
風邪を引いた後、熱や咳などは治まったのに、鼻水や鼻づまりだけがなかなか改善されない場合には、急性副鼻腔炎を発症している可能性があります。
また、花粉症などアレルギー疾患を持っている方は、常に鼻水が出ているような状態のため、急性副鼻腔炎になっていてもわからなかったり、逆に急性副鼻腔炎の症状が現れたことで、自分がアレルギー疾患を持っていることに気付くケースもあるようです。
この他に、急性副鼻腔炎は、疲れや体調不良など抵抗力が弱くなっている時にも発症しやすいので注意が必要です。
なお、急性副鼻腔炎には、細菌感染以外にも潜水や航空機など気圧の激しい変化に伴って副鼻腔内に痛みが生じる気圧性副鼻腔炎もあります。
急性副鼻腔炎の症状
急性副鼻腔炎は、軽い場合には鼻水や鼻づまりといった症状のみですが、炎症が悪化すると悪臭を伴う膿の混じった鼻水が出たり、鼻水が喉に落ちて咳が出るようになります。
また、炎症によって発熱や痛みが生じることもあります。
副鼻腔は、上記でもご説明した通り、鼻腔の周囲にある空洞のことを指しています。
そのため、炎症の起こっている場所によって、頬や目の奥、おでこ、頭などの痛みが発生することがあります。
鼻水が出る症状と頬の痛みや頭痛は、聞いただけではなかなか同じ原因と結び付きにくいかも知れませんが、放置してしまうと稀に副鼻腔の炎症が目や脳にまで及ぶこともあります。
まぶたが腫れる、物がよく見えない、強い頭痛がある、意識がないなどの症状がある時は、すぐに病院へ行って検査を受けるようにしましょう。
急性副鼻腔炎と風邪との違いは?
急性副鼻腔炎は、風邪などの感染症が切っ掛けで発症する場合が多いため、最風邪との区別がつきにくいと思われます。
風邪に感染したばかりの時は、鼻水の色は無色透明でサラサラしていますが、症状が進むと菌と戦った白血球が混じるため黄色や緑色に変化します。
急性副鼻腔炎の鼻水も風邪が進行した時と同様に色が付いていることから、鼻水だけを見たらすぐにどちらが原因なのか判断がしにくく、「風邪なのかな、それとも急性副鼻腔炎なのかな・・」と悩んでしまうと言えるでしょう。
そのため、風邪によるものなのか急性副鼻腔炎によるものなのかは、鼻水だけではなく経過を見ることが大切になります。
風邪による鼻水であれば、症状が回復するとともに鼻水の色も元に戻りますが、急性副鼻腔炎の場合は炎症が続いている限り鼻水の色はそのままです。
つまり、鼻水が透明→黄色や緑→透明になった場合は風邪だと判断できますが、透明→黄色や緑が続く時は急性副鼻腔炎を疑った方がよいでしょう。
慢性副鼻腔炎と急性副鼻腔炎の違いは?
急性副鼻腔炎は、炎症が治まることで症状が改善しますが、慢性副鼻腔炎の場合は炎症がなかなか治まらずに長く続いてしまうもの、一般的には3ヶ月以上急性副鼻腔炎の症状がある場合には慢性副鼻腔炎と診断されます。
また、3ヶ月継続しなくても、急性副鼻腔炎を短い周期で何度も繰り返す時も慢性副鼻腔炎と診断されるケースもあります。
慢性副鼻腔炎は、蓄膿症とも呼ばれるもので、上記の通り急性副鼻腔炎を何度も繰り返してしまうことでも発症しますが、鼻の形や体質など親からの遺伝的な要素や、事故などによって鼻の骨や形が変形していると発症しやすいと言われています。
慢性副鼻腔炎は、長期的に急性副鼻腔炎が続いている状態になるため、鼻呼吸がしづらくなり口が開いてしまうことから、口臭が起こりやすくなります。
さらに、鼻水や鼻づまりの症状によって集中力が切れたり、イライラいたりと、精神的にも大きな負担が強いられやすくなります。
このため、慢性副鼻腔炎に移行する前にしっかりと治療や対処をしておくことが必要です。
急性副鼻腔炎の診断方法
急性副鼻腔炎が疑われる場合は、次のような検査を行って診断をします。
①レントゲン検査
X線を用いて鼻腔内の状態を調べます。
急性副鼻腔炎の場合、レントゲン検査によって多くが診断できると言われています。
②CT検査
脳や目などへの進行が考えられる場合は、レントゲンだけではなく頭部CTを撮影してより詳しく調べます。
③鼻鏡検査
カメラを鼻腔内に入れ、鼻の粘膜の状態やポリープなどの有無を調べることがあります。
④細菌検査
鼻腔内の分泌物を採取し、どのような細菌に感染しているかを調べます。
急性副鼻腔炎の対処法
急性副鼻腔炎かも?と思ったら、病院で治療を受ける必要がありますが、自分でできる対処法を知っておくのも大切ですよね。
そこでここでは、急性副鼻腔炎の対処法をいくつかご紹介したいと思います。
①鼻をかむ
急性副鼻腔炎の症状を進行させないためにも、こまめに鼻をかんで鼻の中の膿を出すことが必要です。
ただし、間違った鼻のかみ方をすると、中耳に圧力がかかって中耳炎などを引き起こすことがあるので、左右の鼻を同時にかんだり、強くかんだりしないようにしましょう。
②アロマオイルを利用する
アロマオイルの中には、鼻水や鼻づまりの症状を緩和する作用があるものがあります。
ハンカチに垂らしたり、マスクに染み込ませるなどして吸うことで、症状を落ち着かせることができます。
<お勧めのアロマオイル>
・ユーカリ
・ティーツリー
・ペパーミント
③ツボを刺激する
鼻水や鼻づまりを解消するツボを押して、症状の改善を図ります。
上星(じょうせい)
前髪の生え際から指一本分上にあるツボです。
10秒程度強めに押して離すというのを繰り返していると、鼻の通りがよくなると言われています。
迎香(げいこう)
小鼻の横を頬骨に沿って押すと、鼻の通りがよくなると言われています。
印堂(いんどう)
眉間の間にあるツボです。少し強めに上向きに押すと鼻水や鼻づまりが解消されると言われています。
④清潔を保つ
急性副鼻腔炎は、風邪などの感染症以外にも、花粉やハウスダストなどのアレルギーが鼻の粘膜を刺激することで、炎症を起こす場合もあります。
元々アレルギー体質だと自覚している方はもちろんですが、それ以外の方でも普段から自宅の掃除や空気清浄機などの利用で、鼻から吸い込む空気を綺麗に保つことが大切になります。
急性副鼻腔炎の治し方!自然治癒でも治るの?
①鼻の洗浄や消毒
副鼻腔内に溜まった膿や鼻水を除去する処置を行います。
また、ネブライザーと言われる霧状にした液剤を副鼻腔に直接吹きかけることもあります。
②薬物療法
急性副鼻腔炎は細菌が原因のため、抗生物質を使用して治療にあたります。
この他に、症状に応じて去痰剤や解熱鎮痛剤などを使用したり、アレルギー性鼻炎を併発している場合にはアレルギー薬を使用することもあります。
なお、急性副鼻腔炎は炎症が治まると症状が回復することから、自然治癒する可能性もあるようです。
ただし、自然治癒を待って症状を放置した結果、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に移行してしまった場合は、残念ながら自然治癒は見込めなくなります。
慢性副鼻腔炎になると、鼻づまりや鼻水の症状が長く続くだけではなく、頭痛や顔の痛みなどが起こりやすくなりますし、症状が重い時は手術をする必要も出てきます。
このような事態を招かないためにも、副鼻腔炎は急性のうちに適切に対応しておくことが大切だと言えるでしょう。
急性副鼻腔炎は病院の何科を受診すればいいの?
急性副鼻腔炎かな?と思って病院へ行く時は、耳鼻咽頭科を受診するようにしましょう。
最初に風邪を引いていた時などは、引き続き同じ内科や小児科で診てもらう方も多いと思いますが、そのようなケースでは「まだ風邪が治っていないのかも」と言われ、診断が見過ごされることもあります。
急性副鼻腔炎の専門科は耳鼻咽頭科になりますので、思い当たる症状がある時はできるだけ耳鼻咽頭科で診てもらうようにして下さい。
急性副鼻腔炎の予防法
急性副鼻腔炎は多くの場合、風邪やインフルエンザなどの感染症が切っ掛けで発症すると言われていることから、風邪やインフルエンザに感染しないこと、もしくは感染した場合も重症化させずにできるだけ早めに治すことが、最もよい予防方法になります。
風邪やインフルエンザは、同じように感染者と接触しても感染しない方もいます。
感染しない方は、体の免疫機能が整っており、ウイルスや菌に強いということが考えられますが、ではそのような体はどうやって作るのでしょうか。
①規則正しい生活習慣を身に付ける
夜遅くまで起きていたり、休みの日は遅くまで寝ているといった生活は、体が本来持っているリズムを崩してしまい、免疫機能や抵抗力を低下させてしまいやすくなります。
また、睡眠時間が不足すると疲労が抜けにくくなり、ウイルスや細菌などに感染しやすくなると言われています。」
②正しい食生活を送る
インスタント食品や外食は、栄養バランスが偏りやすく、体に必要な栄養が不足する可能性があります。
毎日毎食自炊というのは難しいかも知れませんが、コンビニで食料を調達する時なども、炭水化物ばかりにならないように、野菜やたんぱく質などを意識して摂るようにしましょう。
③うがい、手洗いをする
風邪の菌を体内に持ちこまないために、外出から戻ったらうがいと手洗いを行いましょう。
④適度な運動をする
運動をして体力をつけることは、万が一風邪などに感染しても重症化を防ぎ、急性副鼻腔炎の予防になります。
ただし、運動しすぎは返って疲労を溜めることになるため、適度な運動を継続的に行う方がよいでしょう。
⑤ストレスを溜めない
ストレスを溜めていると、自律神経が乱れて体調不良を起こしやすくなります。
ストレスを感じたら、そのまま放置しないでできるだけ早く解消するように努めましょう。
急性副鼻腔炎におすすめの市販薬
鼻水や鼻づまりがなかなか治らず、症状がつらいという場合は市販薬を利用してみるのもよいかも知れません。
急性副鼻腔炎に効く市販薬というのは販売されていないようですが、急性副鼻腔炎が進行した慢性副鼻腔炎には効果がある市販薬はありますので、ここではそちらをご紹介したいと思います。
チクナイン
副鼻腔炎や慢性鼻炎の症状がある時に、お試し下さい。
なお、薬は錠剤と顆粒の2種類がありますので、飲みやすい方を選ぶことができます。
参考URL: https://www.kobayashi.co.jp/brand/chikunain/about_tkn.html
ベルエムピL錠
慢性副鼻腔炎に有効と言われている漢方が処方されている錠剤です。
鼻炎などを緩和する薬の中には、眠くなりやすい成分が含まれていることがありますが、こちらは眠くなる成分が含まれていません。
参考URL: https://www.kracie.co.jp/products/ph/1202019_2220.html
コールタイジン点鼻薬a
飲むタイプではなく、鼻腔内に直接噴霧するタイプの市販薬です。
参考URL:https://alinamin-kenko.jp/products/bien/cortyzine.html
急性副鼻腔炎におすすめの漢方
鼻炎によいと言われている市販薬の多くに生薬が使用されているように、昔から鼻水や鼻づまりには漢方薬が効くと言われています。
ただし、漢方薬は西洋薬のように症状に対して処方されるものではなく、体質に合わせて体質を改善するために処方されるため、下記でご紹介するものが必ずしもご自身に合っているとは限りません。
漢方薬を服用する時は漢方医または薬剤師に相談し、適切なものを飲むようにしましょう。
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
鼻づまりや慢性鼻炎などの症状があり、副鼻腔炎に処方される一般的な漢方になります。
参考URL: https://www.kracie.co.jp/products/ph/1201567_2220.html
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
鼻腔内に溜まった膿を排出作用に優れています。
参考URL: https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/013/index.html
葛根湯加川芎辛夷
サラサラとしていた鼻水が、色が付いたりドロッとしたものに変わってきた時に服用すると、より有効と言われている漢方です。
参考URL: https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/006/index.html
まとめ
風邪を引いて、色のついた鼻水だけがしつこく残る時は、風邪が長引いているのではなく、急性副鼻腔炎を発症している可能性があります。
急性副鼻腔炎は、体力や免疫力がある方の場合、自然治癒することもありますが、放っておくと慢性副鼻腔炎に移行し、症状の悪化が懸念されるものです。
自己判断はせず、症状が改善しない時は病院へ行って適切な治療を受けるようにしましょう。
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