建国記念の日は何をする日?建国記念日との違いは?
建国記念の日は、国民の祝日に制定されている日です。
一体いつなのか気になるところですが、それよりも建国記念日でも意味が通じるのに、どうしてわざわざ「の」が入っているのか、ちょっと不思議ではありませんか?
そこで今回は、建国記念の日について調べてみました。
建国記念の日の由来を知ると、「の」が入っている意味もすっきりとわかります。
建国記念の日の意味や由来
建国記念の日は、「建国をしのび、国を愛する心を養う日」を趣旨として、昭和41年に制定されました。
世界各国に建国記念日はありますが、何をもって建国と見なすかはその国によって異なります。
イギリスの植民地だったアメリカは、独立を勝ち取った日を独立記念日としてこの日を建国記念日としていますし、フランスはフランス革命が起こった日を革命記念日(建国記念日)としています。
しかし、日本の場合は過去に独立を勝ち取った日も、革命を起こした日もありません。
歴史的に非常に古くから国が存在していたことはわかっていますが、それがいつなのかは定かではありません。
そのため、日本の建国記念日は、初代天皇である神武天皇の即位日を『紀元節』として昔からお祝いしていましたが、戦後に「天皇崇拝によって日本人の団結力が高まると、再びアメリカにとって脅威になり得る」とするGHQによって紀元節は廃止されました。
その後、紀元節を復活させようとする動きが高まり、紀元節という名称を建国記念の日と替えて、国民の祝日に制定されました。

2023年の建国記念の日はいつ?
2023年の建国記念の日は、2月11日です。
建国記念の日は、神武天皇の即位日が由来で、それは旧暦の紀元前660年1月1日となっています。
現在の暦は、明治6年の改暦によって太陽暦(グレゴリオ暦)のため、旧暦とは日付にズレが生じることから、新暦に換算して2月11日となりました。
なお、建国記念の日の日付は「政令で定める日」となっていますが、毎年2月11日になります。
建国記念の日は何をする日?
建国記念の日は国民の祝日のため、仕事や学校が休みという方が多いでしょう。
土日以外の休日にワクワクし、「どこに遊びに行こう」「何をしよう」と色々計画を立てているかも知れません。
また、受験生にとっては高校入試、大学入試のラストスパートの時期のため、一日を勉強に費やしてしまうかも知れませんね。
休日をどのように使ってもそれは個人の自由ですが、「特に何もない。何も考えていない」という方は、ぜひこの機会に日本の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
日本書記や古事記などに目を通してみたり、歴史が学べるフォーラムなどに参加してみるのもよいかも知れません。
「建国記念の日」と「建国記念日」の違いは?
それに対し日本の建国記念の日は、建国した日を祝うのではなく、建国そのものを祝うのが趣旨となっています。
これは日本が「いつ建国されたのか」が定かではないためです。
「の」が入るのと入らないのとでは、意味に随分と違いが出ることがよくわかりますね。
なお、世界各国では次のように建国記念日が定められています。
アメリカ 7月4日
1776年の大陸会議にてアメリカ独立宣言に署名がされた日。
独立記念日(インディペンデンスデイ)と呼ばれています。
アルゼンチン 7月9日
1816年にスペインから独立を果たした日。
独立宣言の日と呼ばれています。
イタリア 6月2日
1946年、国民投票にとってそれまでの国政から共和制へと変更された日。
共和国記念日と呼ばれています。
インド 8月15日
1947年、イギリスから独立をした日。
独立記念日と呼ばれています。
ウクライナ 8月24日
1991年のソビエト連邦崩壊により、独立を宣言した日。
独立記念日と呼ばれています。
カナダ 7月1日
1867年、イギリスから自治権を獲得した日。
カナダの日と呼ばれています。
キューバ 1月1日
1959年、キューバ革命を達成した日。
解放記念日と呼ばれています。
シンガポール 8月9日
1965年、マレーシア連邦から分離後、独立を果たした日。
独立記念日と呼ばれています。
タイ 6月24日
1932年、絶対王政から立憲政治に移行した日。
革命記念日と呼ばれています。
中国 10月1日
1949年、天安門にて毛沢東が新中国の建国宣言をした日。
国慶節と呼ばれています。
ドイツ 10月3日
1990年、東ドイツと西ドイツが再統一された日。
ドイツ統一の日と呼ばれています。
ブラジル 9月7日
1822年、ポルトガルからの独立を宣言した日。
独立記念日と呼ばれています。
ベトナム 9月2日
1945年、ベトナム独立宣言をした日。
国慶節と呼ばれています。
南スーダン 7月8日
2011年、スーダンから分離した日。
独立記念日と呼ばれています。
建国記念の日に行われるイベント
建国記念の日が制定される以前より、紀元節のお祝いとして全国各地の神社では「紀元節祭」が行われていました。
そして、紀元節が建国記念の日となってからも、「建国祭」として引き続き行事が行われています。
また、民間の団体が主催するイベントも開催されており、「奉祝パレード」と称してマーチングバンドが道を行進したり、地域の神輿が町を練り歩く様子が見られるところもあります。
このようなイベントの中で特に有名なのは、東京の神宮外苑銀杏並木通りから、原宿表参道を通り明治神宮の大前まで行われる「建国記念の日奉祝パレード」です。
「建国記念の日奉祝パレード」では、マーチングバンドの演奏だけではなくコンテストも行われることから、毎年多くの見物客が訪れます。
この他には、地方のコミュニティセンターなどで、講師を招いて古事記や神武天皇の話を聞く講演会などが開催されているようです。
「建国記念の日と言っても、特に何もすることなく自宅にいる」という方は、ぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか。
建国記念の日を反対する人がいる理由
日本という国が誕生した明確な日ではないものの、日本の建国を記念するための建国記念の日は、祝日の一つとしてあってもよいと考える方が多いのではないかと思いますが、一方で建国記念の日に反対する方もいます。
その理由としては、建国記念の日は神武天皇の即位の日とされていますが、神武天皇はそもそも実在する人物ではなかったからです。
明治政府が説明する、神武天皇の即位日(紀元前660年)は日本は縄文時代であり、当時は暦も文字もなかったと言われています。
そのため、歴史上に実在しない人物のお祝いすること自体が非科学的であると考えられます。
また、天皇制を重んじることで、戦前の軍国主義を支持する人が増えることへの懸念もあると言われています。
なお、歴史学者でもあった昭和天皇の実弟であった三笠宮崇仁殿下は、建国記念の日の制定については史実である根拠がないとして反対をしたという話もあります。
まとめ
2月11日の国民の祝日は、「建国記念の日」です。
建国記念日と混同してしまいがちですが、日本は歴史が古い国でありながら、いつ国ができたかについては不明のため、建国記念日ではなく建国記念の日としています。
毎年、建国記念の日には、各地の神社、仏閣で建国祭が開かれます。
また、マーチングバンドの演奏やコンテストが行われる地域や、歴史を勉強する講演会などが行われているので、この機会に日本という国の始まりや成り立ちを学んでみる日にしてみるのもよいかも知れません。
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